見出し画像

KIKO / GENUINE BLOCK MEERSCHAUM / 5F

レストア前

メシャムパイプ、kikoのサンドブラスト風です。
メシャム、特にkikoのが一本は欲しかったのですが、わざわざ買うのはな〜とロット売りに紛れてくるのを待ってて、ついに来た。

メシャムとは、海泡石という、貝殻や微生物が体積し化石化した軽石みたいなもので、給水率が高く、ブライヤーと違って連続使用してもOKという優れものらしい。
ブライヤーと比べて雑味もなくなるそう。

メシャムパイプは基本トルコで作られています。
変なおっさんの顔型パイプとかが多いです。
最初は真っ白なのが、使用するうちにタバコの油とかが染み込んで飴色になってきます。
時間をかけて、それこそ何代にもわたって使用して育てるのも楽しみの一つとされています。

が。
素手で触るとシミができるから手袋推奨とか、爪で引っ掻いただけで傷がつくとか、かなりデリケートらしい。
とてもじゃないけど自分には無理。
ぶっちゃけ使い込まれた変色も綺麗と思えないし。

で、kiko。
これは、タンザニアのキリマンジャロパイプ株式会社というところで作られてたブランドの名前。

メシャムはアフリカでも採れました。
ただし、トルコのメシャムが真っ白なのに対して、アフリカンメシャムは茶色、黒、黄色の色合いで、トルコ産に劣るとされています。

が、トルコ産に比べて圧縮されており、たぶん硬い。
それは給水率とかがトルコ産に比べて劣っているってことなんですが、イコール、トルコ産みたいに飴色に染まっていかないです。

だがそれが良い。
扱いが雑で良いです
バリバリ素手で触ります。
サンドブラストみたいな彫りとかもできます。

なので、上質とされるトルコ産より、アフリカンメシャムが欲しかった。
できればサンドブラストみたいな彫りのやつ。
ブライヤーと比べて違和感ないやつ。

で。
ちょうど良いやつがロット売りに紛れてて喜んでたんですが…

割れたー。

ステムがなかなか取れずにいじくり回してたらバキッと…

メシャムはテノン部がネジになってて、シャンクにねじ込む形式が多いのですが、ここが緩みがち。
どうやらこいつもユルユルになったみたいで、ボンドか接着剤でホゾを補強してたみたい…

まあ、高いものじゃないし、初メシャムで色々試してみたかったので良しとする。

刻印は、GENUINE BLOCK MEERSCHAUM / 5F。
刻印内容は、情報少なかったので良くわかりません。
あんまり調べてないけど。

ボウル内はカーボンついてる。
メシャムはブライヤーと違ってカーボンは要らないらしいので、雑に使われてた感。
ボウルトップが黒いのは多分染色。
ボウル上部が茶色いのも。

トルコ産メシャムは、質がいいので真っ白スタートですが、アフリカンメシャムは色味が悪いので最初から着色されています。
このパイプの場合、トルコ産みたいに飴色に育っていかないから、初めから使い込まれた感の染色がされてるんだと思います。

ステムは既に他パイプと一緒に洗浄済み。
写真撮り忘れた。
今回はステム周りの記事は省略で。
まあ、いつも通りです。

側面にはゾウのロゴ。
かわいい。
ほぼ消えてるけど。
底面にはTANGANIKA。
タンガニーカってのは、誤字とかローカル呼びとかじゃなくて、ちゃんとした地名らしい。
かつてはドイツ領東アフリカ、1964年以降はタンザニア連合共和国の一部となったところらしい。
ここがアフリカンメシャムの採れるところ。
政治的なあれこれがあって、現在ではタンガニーカという呼び方はされないみたいです。

ボタンのところが結構削れてたので、レストア後半にプラリペアで補修しました。
記事は省略。


ボウルのお掃除

初メシャムで、メシャム用の手入れ方法を色々調べてみたけど、情報が錯綜してて良くわからなかったです。
メシャムは脆いので、水やアルコールは御法度というものもあれば、きちんと乾かせば平気だからガンガン沸騰したお湯で煮込むべしとか。
個人的には煮込んでみたかったけど、初だし、一般的な方法でやってみます。

ナイフでカーボンをゴリゴリ。
メシャムは脆いので、リーマーは使いません。

アルコールメソッドは行いません。
給水率が高いから、アルコールもすぐに吸水しちゃって、薬品臭さがついちゃうって話や、長時間つけちゃうとボロボロに崩れちゃうって話があります。
本当かどうかはわからんけど。

そのかわり、ヤスリかけてカーボンを完全に取り除くらしいので、240とかのヤスリでボウル内をゴシゴシ。
つるつる。

ついでにボウルトップもヤスリがけ。
黒の染色が取れちゃった。
カーボンなのか染色なのか分からんかったのよ…

シャンクは、エタノール染み込ませた綿棒とかブラシとかモールでゴシゴシ。
ブライヤーの時みたいに、モールが白くはならないらしい。
ずっと多少モールに色は残る。
それでもできるだけ綺麗に。

シャンク内綺麗になったら、ネジ山に接着剤を塗っておきます。
ネジがゆるゆるなので、接着剤で固めてからステムねじ込んで、ネジ山復活を目論む。

で。
割れの補修。
エポキシ系という、2液を混合するタイプの接着剤でくっつけます。
接着力が強く、耐熱性と耐薬品性に優れ、パイプのクラックとかによく使われてます。
ゾウのマークのパイプを、ゴリラで接着。
アフリカン。

初めて使う。
ゴリラのこいつは、注射器みたいに2液を同時にぎゅーっと押し出します。
パッケージの蓋のところが容器がわりになるみたい。

んで、2液を混ぜ混ぜ。
こっからは時間との勝負で、何分以内に混ぜて、何分以内に塗って、みたいな指定が接着剤ごとに設定されています。
写真撮ってる場合じゃない。

接着したら、クリップとかでぎゅーっと固定。
このまま24時間待ちます。

くっついた。
外面はマーフィーのオイルソープ原液を歯ブラシにつけてゴシゴシ。
流水洗いじゃなくて、濡らした布で拭き取るらしい。

側面の黒染色とかも洗ったら取れるかなーと思ったけど、取れなかった。
ボウルトップだけ色変わっちゃったので、改めて黒く染めます。

紅茶で染めたとかいう記事を見かけたので、カーボンを水に溶かして漬けてみる。
トルコ産とかはカーボンとかで着色されてくワケだし。
タバコ臭取りたくてレストアしてんのに本末転倒な気もするけど。

結果。
全く染まらない。
多少暗くなった程度。

結局アルコール染料のペンで塗った。
まあ、もともと染色されてるし、染料で大丈夫でしょ。
たぶん。

んで、割れ部分。
シャンクの割れなので、強度的な不安もあって、銀巻きに挑戦してみます。

銀巻きのリングはなかなか売ってないけど、二件だけ見つけた。
ただ、一件はアメリカから輸入なので送料が高い。
本体より高くなりそう。
もう一件は中国から送料無料だけど、やたら厚い。
厚みが普通の指輪くらいある。

んで、色々調べて、代替品を発見。
これ、実は電源ケーブルとかの端っこに嵌める金具。

こんなにいっぱい要らないけど、送料もかからないし、amazonで買えたし、サイズがちょうどっぽいので試してみる。
色味的に真鍮とかも良いなあとか思ったけど、錆びるらしいのでステンレス製。
最初から、ステムとシャンクの間にちょっと隙間開いちゃってたから、リングの先端がちょっと丸まってるのも良い感じにハマりそうだし。
ちょっと長いけど。

銀巻きは、シャンクサイズのリングを、ヒートガンで熱して嵌めるらしい。
熱すると少し広がるみたい。

家に余ってた、椅子の足とかにつけるスポンジ。
残ってた4枚全部重ねて、

熱したリングを嵌めて、ぎゅー。
これで入るらしいんだけど、リング長いから中々奥まで入ら….

折れたーーーーーーーーーーーーーー!!!


ショックすぎる…
やっぱステンレスがダメだったのか…?
銀だと上手くいったのかな….

正直、心も折れて、このパイプはお蔵入りかな…と思って、2、3日放置。
が、折れたところがネジ部分までで、煙道は無事だったこと、そもそも割れを接着してたことを思い起こして立ち上がる。

折れたシャンクを、リングに入るまでヤスリかけちゃいます。

んで、エポキシ接着剤を塗って、リングと接着しちゃう。
今度は、ゴリラ買う前に間違って買った、透明じゃないタイプの接着剤。
外から見えないし。
透明じゃなくてグレーの接着剤だけど、パテみたいに使える。
ちょうどいい。
折れた部品と隙間が開かないように、シャンクの穴側からも爪楊枝で詰めて埋める。
ちなみにこの接着剤はパッケージにゾウが描かれてた。
きっと相性がいいはず。
ゾウにゴリラじゃダメだったんだ。

復活!
たぶん。
少なくとも使用に問題はなさそう。
まあ、経験つめたってことで。

メシャムは通常、カルナバワックスじゃなくて、蜜蝋でコーティングします。
このパイプも蜜蝋コーティングに挑戦してみようと思ってたのですが、どうやら、それは綺麗に染めるために必要なことらしい。
つまりトルコ産に適した方法。
別に茶色くなって欲しくはないし、着色しにくいアフリカンメシャムだしってことで、今回は蜜蝋なし。
このままおしまいにします。


完成

銀巻きで生まれ変わりました。
ボウルもピカピカです。

ヤスリかけたとこは塗装が取れたのか、一段暗く。
それこそ飴色っぽい。
まあ、そんなに違和感ないしOK。
銀巻きは強度的には問題なさそう。
銀じゃなくてステンレスだけど、まあ、見た目ピカピカだし、使い倒す予定なのでOK。

銀巻きにステンレスの継ぎ目残ってるけど、これはダイヤモンドヤスリとかでヤスリかけて、紙ヤスリとバフかければ消えます。
他のパイプで後日試した。
長さも、金切りノコで切って、ヤスリかけたら短くできました。
パイプカッターだと短すぎて切れなそうだし、チップソーとかは火花とか怖いので、頑張って人力で。
このパイプは、もういいやってことで手を加えてないけど。

代替品として本当に良さそう。
シャンクサイズも色々あるのに、滅多に使わない銀リングのサイズ揃えるのもあれだし、送料とか含めると本体価格並みに金額かかるし。
Amazonで買えるって偉大。

ステムの緩みも解消。
きっちり奥まで緩みなく入って、ちょっと先端が丸く飛び出てる銀巻きのおかげで隙間なくピッタリ。

記事は省略したけど、ステムもピカピカ。
ボタンの欠けも綺麗に。

色々勉強になりました。
自分で使うものなので、個人的にはOKな仕上がり。
メシャムはブライヤーとはまた違うなあ。

以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?