She Loves Me ⑤

個人的な感想で嫌な思いをされる方がいたらすみません。自己満でやってるので暖かく見守ってほしいです。
？は明らかじゃないところです。わからないとこは埋めていきたいですが、わかる方いたらぜひコメントください笑

ジョージ・ノワック　以下ジ
アマリア・バラッシュ　以下ア
イローナ・リッター　以下イ
アルパッド・ラズロー　以下ラ
スティーブン・コダリー　以下コ
ミスター・マラチェック　以下マ
ラディスラフ・シーポス　以下シ

マ「おっきたな」

ジ「なんです」
なんです？それ

マ「ちょっと驚くぞ」

ジ「なんなんです」

マ「本革の箱だ」
本革製の箱だ

「お〜」

マ「待て　聞け」
ちょっとまった

♩

マ「可愛いだろ　さっほら君もやってみろ」

♩ジョージが箱を開ける

ジ「他に用途は？」
他に特徴は？

マ「他にとはなんだ　本革のオルゴールつきシガーボックスだぞ　それにわずか10ペンゲート6フィレール　ただし特別割引でな」
お前生意気だな　これは純正本革のオルゴール付きシガレットケースだぞ　今ならたったの10シリング6ペンスだ　どうだ、安いだろう

ジ「でも、誰が買います？」
でも誰が買うんです？

マ「君は今日はちょっと神経質だな　よし　ここにいるみんなにも聞いてみよう　素直な意見をな　コダリーさん」

コ「はい　店長」

マ「売れるだろ？」

コ「売れない理由が思いつきません　僭越ながら申し上げるとこれは音楽好きを愛煙家から生み出し、愛煙家を音楽好きから育てます」
売れないわけがありません　なによりも、喫煙者から音楽愛好家が生まれ、音楽愛好家から喫煙者が生まれることでしょう

マ「ありがとう　コダリーさん」

コ「恐縮です　店長」

マ「よーしジョージ　これから掛けをするとしよう　10ペンゲート6フィレールかける　こいつが今から一時間以内にまず一つは売れる」
おまえ今日は機嫌が悪いな　賭けをしよう、ジョージ　今から1時間以内にこれが1個売れる　10シリング6ペンス賭けるぞ　どうだ？

ジ「お金を巻き上げたいわけじゃありません」
社長の金は取りたくないなぁ

マ「10ペンゲート6フィレール　一時間　それだけ　それっきり　かけるか？」
さては怖気づいたな　どうだジョージ、賭けるか？

マ「自信がないと見える」

ジ「かけましょう」

マ「大損するぞ　大損するぞ　いらっしゃいませ　マダム　何かお探しで？」
いらっしゃいませ、奥様　何をお探しでしょう？

客「モナリザの大きいチューブを」
モナリザのチューブ入りのクリームはある？

マ「モナリザのコールドクリームですね　承知しました　愛らしい曲でしょ」

客「7ペンゲート4フィレールのが一番大きい？　もっと大きいのは？」

マ「あぁ　その　9ペンゲート6フィレール」

客「見せていただける？」

マ「こちらはオルゴールつきシガレットケースでございます」

客「春の花の1オンスボトルはあるかしら？」

マ「1オンスボトル　かしこまりました　シーポスさん　こちらのお客様を」

コ「あちらにございます　マダム」

マ「いらっしゃいませ　マダム　何かお探しで？」

客「返品したいんだけど　フェイスクリームが合わなくて」

マ「コダリーさん　このお客様を」

コ「承ります　マダム」

ジ「いらっしゃいませ　マダム　何かお探しで」
いらっしゃいませ、何かお探しで？

ア「あ　いえ　はい」
いいえ　はい

ジ「香水、石鹸、シャンプー　各種取り揃えております」
当店は香水、石鹸、シャンプーを豊富に取り揃えております

ア「違います」

ジ「バスオイルにバスソルト」

ア「違うんです」

ジ「コールドクリーム　フェイスクリーム　マニキュア」　
バスオイル・バスソルト　コールドクリーム、フェイスクリーム、ネイルポリッシュ　

ア「じゃなくて」

ジ「あっ　ブラシ　硬め柔らかめその間」
ブラシはハードにソフトにミディアム

ア「いえいえ」

ジ「化粧水　お値打ち品が今週限定です　イタリアのバラお持ちしましょうか？」
あ、化粧水！それなら特別に今週だけのサービスでイタリアの薔薇があります。ご覧にいれましょう

ア「いえ」

客「木曜日　いいわ　立ち寄るわ」

コ「誠にありがとうございます　マダム」

「サンキュー　マダム　またお待ちしております　マダム」

ジ「お手に少し」

ア「やめて」

ジ「やめて！？」

ア「申し訳ないですけど、何か買いに来たわけじゃなくて今日は何も買わないんです　マラチェックさんはおいでに？」
買い物じゃないの　ミスター・マラチェックはいらっしゃる？

ジ「奥におります」
上の部屋ですが

ア「お話ししたいんですけど」
お話できないかしら？

ジ「私が伺います」
私が伺いましょう

ア「それじゃダメ」
駄目なのそれじゃぁ

ジ「マラチェックは忙しくて」

ア「では待っています　お構いなく本当に　どこか座らせてもらったら静かに待ちます　お時間をいただけるまで」

ジ「よろしければどんなご用で？」

ア「直接マラチェックさんにお話しすべきことです」

ジ「なるほど　お名前を」

ア「バラッシュ　アマリア・バラッシュ」

ジ「どうも　バラッシュさん　いらしたことを伝えてまいります」

ア「ちょっと　ホバースさん　こちらで働いていてもうすぐ出産される　その方の後任はまだ決まっていない　ですよね？」

ジ「仕事を探しに？」

ア「あっいえ　そうとも言えるともしれません　私、優秀な販売員なんです　全くもってとても優秀　あっそれに香水業界を熟知しています　何もかも　ハマーシュミットで働いていたんです　5年間　5年間と8ヶ月　働きぶりはずっとご満足いただいておりました　あっ招待状もあります　ハマーシュミットさんご本人からの　あるんです　バラッシュは誠実で頼もしく献身的って　あぁ献身的　あっあるはずです　それに販売員としての資質に恵まれ強く推薦する次第です　サインも　ハーマンハマーシュミット　あっこれ」
彼女は優秀な販売員に必要なあらゆる素質を備えており、わたしは彼女を高く評価し、ここに推薦します　署名　ハーマンハマーシュミット　っと　あった

ジ「おっしゃる通りでしょうね　しかしあいにく現在ホーバスさんの後任を雇う予定はないんです　お名前だけ」
おっしゃる通りでしょう　しかし残念ながら今ミス・ホーバスに辞めてもらう予定はないので、よかったら名前を書いて置いてって

ア「バラッシュ　アマリア・バラッシュ」

ジ「今後何かあるようでしたら」

ア「マラチェックさんとお話しさせて　お願い」

ジ「失礼ですが求人に関してだけなら」

ア「お願い」

ジ「申し訳ありません　無理なんです」

マ「何が無理だ　マラチェックの店に不可能はない　お力になれると思いますよ」

ジ「働きたいそうです」

マ「なんだって」

ア「仕事は熟知しています　何もかも　ハマーシュミットで働いて」

マ「申し訳ない」

ア「紹介状もあります　ハマーシュミットさんご本人からの」

マ「そう言う問題じゃない」

ア「私は誠実で頼もしく　献身的です」

マ「おいジョージ　この手のことは私を呼び出さずに対処しなさい」

ア「私　優秀な販売員なんです」
わたし、優秀な販売員なの

マ「失礼」

ア「本当に私　優秀な　あ」
ほんとよ？すごいんだから

ア「素敵な箱ですよね　それにたった10ペンゲート6フィレール」
ねぇ奥様、この箱、素敵じゃありませんこと？それもたったの10シリング6ペンス！嘘みたいじゃありません？

客「信じられない」

ア「ねえぇ」

客「これ何用？」

ア「えっとキャンディ　えぇマダム　最新型　職人の技をご覧ください　うわあ」

客「わー　オルゴール付のキャンディボックス」

ア「マダムその通り　これには三つの洗練された要素が組み合わさっていまして　見てよし　聞いてよし　かつ機能的」

客「どう　機能的？」

ア「どう？　ご説明します　この小さな箱こそが救世主　多くの　実に多くの女性がほんの少しの体重増加を気にしますでしょう　そういうものでしょう　お家で読書をしたり　音楽を聞いたりしているうちに　知らず知らずキャンディの箱に手が伸びる」

アマリア♩
愚かだとは知っていても　甘いものやめられず
だからこその仕掛けなのです　いつも思い出させる
蓋を開けるとミュージックが　警鐘鳴らし
歌いかける　まるで天使の囁きね

客「これもらうわ」

「えーーーーー」

コ「こちらへどうぞ　ラージサイズのフェイスクリームは3ペンゲート8フィレールで」

ア「それと10ペンゲート6フィレールの箱　どうもあり　がとうございます　マダム　ありがとうございます」

マ「採用だ！」

ア「バラッシュ　アマリア・バラッシュ」

マ「バラッシュさん　ようこそマラチェックへ」

ア「ありがとうございます」

マ「それからノワックさん　いいかな？」

イ「14ペンゲート4フィレール」

コ「お品物ですマダム」

「サンキューマダム　またお待ちしております　マダム」