さよなら、まるちゃん

さくらももこさんが、亡くなった。
訃報が発表されてから数日経った今でも、信じられないし信じたくない。

「ちびまる子ちゃん」「コジコジ」「もものかんづめ」「さるのこしかけ」「まるむし帳」「たいのおかしら」「あのころ」「まる子だった」「ももこの話」「そういうふうにできている」「憧れのまほうつかい」「ももこのいきもの図鑑」「ももこの世界あっちこっちめぐり」「さくら日和」「さくらえび」「富士山」「のほほん絵日記」「ももこのトンデモ大冒険」
…まだあったかな。他にも読んだかもしれないけどとりあえず覚えてるのだけでも、これだけある。

私がこのnoteに書いているエッセイもどきの文章は、実は、さくらさんの考え方や文体をかなり意識している。
そもそも、私がネット上に文を綴るようになったのも「さくらももこのエッセイみたいな面白い文章が書けるようになりたい」という気持ちからだった。

日常の他愛ないことを、大爆笑に変えてしまう独特のユーモアとギャグセンス。
家族をネタにするのか、という批判に対しての「家族だからといって勝手に愛情が芽生えるとは限らないから」という絶妙な返し。
地球や宇宙の未知なる営みへの軒並みならぬ関心。
「ちびまる子ちゃん」のドジで能天気な女の子というイメージしかないという人もいるかもしれないが、実際のさくらさんはとても繊細且つクリエイティブな方で、少女期の私はその世界観に夢中になり、著作を読み耽った。

2000年代に入った頃だろうか。
漫画家(アニメ原作者)・エッセイストとして活躍の場を広げるうちに、さくらさんはテレビ界出版界の大物や、他の文化人と少しずつコネクションを持つようになり、彼らと共に海外などへ出かけ、取材もそこそこに派手に遊び回る様子がたびたびエッセイに書かれるようになった。
そのような、いわゆる「内輪ノリ」の雰囲気に私は辟易し、新刊を追いかけるのをぱたりとやめてしまった。

民間療法を次々と実践する(飲尿についてのエッセイはあまりにも有名)健康オタクとして知られたさくらさんだが、同時に酒豪であり、ヘビースモーカーでもあった。
がんとは10年近く闘っていたという。全然知らなかった。ずっと小康状態だったのが、今年の夏急変したとネットニュースに書かれていた。

私自身の好みの問題で読むのをやめたとはいえ、「面白い文を書くこと」の師匠がいなくなってしまったようで、とても悲しくて、とても寂しい。
同じくさくらファンの親友と「そのうち、静岡にまる子の聖地巡礼をしに行こう」とLINEで話した。

父ヒロシさん、お母さん、お姉さん、ご主人のうんのさしみさん、二人のご子息、さくらプロの皆様に心よりお悔やみを申し上げます。
さくらももこさん、長い間楽しませていただいて本当にありがとうございました。
天国では、昔飼っていたペットたちに囲まれて西城秀樹さんに歌を聴かせてもらっているのかな。

#さくらももこさん

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