ある日の帰宅(ナギ伝説①)

ようやくイチニチの仕事がおわった。
タイムカードを押して駅へ向かう。
家までは、まだまだ、時間はかかるが、まずは、駅までのあいだ、途中のコンビニで缶ビールを買い呑み干す。
そして、電車に乗りこむ。
ほんのすこし、ゆらりゆらり、酔いもまわりはじめるころ、自宅の最寄り駅に到着。
そして、もう一本。
呑みながら帰る。それが、ハードワークの日課。
しかし、その日は、すこし、違った。
コンビニの直前で、中学生か高校生かのグループにからまれた。『おい、おっさん、おまえ、いま、こっちみて笑ったろ』すごむ、小僧。いやいや、わたしは、早々に、一本呑みながら、帰りたい。しかし、まわりの連中も、やいのやいの、すんなりやり過ごせる状況ではない。
わたしは、『では、どうすればいい?』と問いかけた。
コーヒー買ってこい。ここにいる全員分。
奴は言い放つ。
まあ、いっか。
わかりました、すこし、待ってくれ、買ってくるからと、わたしは、コンビニに入り、カゴを手に取り、20数本の缶コーヒーを、無造作にカゴに入れた。
レジのお兄さんに、袋を二重にしてくれとお願いして、全部、袋につめこんだ。そして、くるくるくると、飛び出ないようにして、コンビニをでた。
いちばん、威勢のいいやつが、『買ってきたのかよ、おい!』というので、その缶コーヒーの詰まったふくろで、頭をぶんなぐった。
アスファルトに沈み込んで動かなかった。あとのやつらは、唖然として、蜘蛛の子を散らすように、逃げていった。

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