答え合わせ
サムネに釣られてこの記事を開いた方、正直に手を挙げなさい。
1.自己紹介・導入
はじめましての方ははじめまして。そうでない方はぴやっほや(。∀ ゚)混沌創造主αぶぶんでございまあああああああああああああああああああああす!
…怒られねーかな。改めましてぶぶんぶんぶん(@bubun_bun_bun)です。よろしくお願いします。
普段は楽しくデュエプレとか現代デュエマとか他のゲームとかしてます。特に書ける実績とかはないです。悲しいね…
今回の記事の内容は、ふと疑問に思ったことをアンケート取ったのでその考察となっております。そのアンケートとやらがこちらですね。
まとめると「【エンペラー・キリコ】に一撃必殺食らうの何割くらいだと思う?」という質問になっております。ありがたいことに7時間という比較的短い期間でしたが292件もの回答を得ることができました。解答してくださった方や拡散にご協力いただいた方、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。ご協力ありがとうございました。
さて、現状多大なヘイトを一身に受けている【エンペラー・キリコ】ではありますが、本記事では「その必殺率はどのくらいなのか?」というタイトルに沿った、数学的な検証から始め、それについての考察、ひいては規制などが必要なのかといった個人的見解まで述べていこうと思います。
それでは、お付き合いくださいませ。
2.条件
さて、一口に【エンペラー・キリコ】といってもどのリストを使うべきかは非常に悩みました。しかし、
2022/5/2に行われた公認大会、宇都宮MAGICA杯にて、【エンペラー・キリコ】が見事優勝を果たしています。こちらのリストの強度は信頼に足るものであり、また、現環境において出力が安定し、よく見られる形に極めて近いものであると感じられたため、こちらをサンプルリストとして使用させていただきます。
さて、このリストについて深堀りしていきましょう。
こちらのリストには①《エンペラー・キリコ》(以下キリコ)の効果の対象となるクリーチャーが17枚②そのうち《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》(以下サファイア)は4枚《蒼狼の始祖アマテラス》(以下アマテラス)は4枚③《鬼装 オーガ・フィスト》(以下フィスト)が1枚入っています。
確認にはなりますが、《エンペラー・キリコ》のテキストは1ターンに1度、「ランダムにクリーチャーを3体踏み倒す」効果になります。
なお、3.概算においては非常に複雑になってしまうのでフィストについての確率は考慮しません。つまり、アマテラスが出た瞬間、フィストは自動的に出るものとします。予めご了承ください。
すなわち、「(進化元を除いて)16枚からサファイア2枚以上orサファイア1枚以上とアマテラス1枚以上を同時に踏み倒す」確率を求めていくことになります。
3.概算
※計算に入っていきます。数学アレルギーの方はこの項の結果まで飛ばしてください。僕も飛ばしたいです。
ここで何を求めるかですが、まずは「公開領域と非公開領域を考慮せず、進化元1枚だけを除外し残りの16枚からランダムに抽選する」ことを考えます。
では前述の通り「16枚からサファイア2枚以上orサファイア1枚以上とアマテラス1枚以上を同時に踏み倒す」確率をそれぞれ求めて足してしまえばいいのか、というと、そういうわけではありません。この事象は∩(キャップ/積集合)―ここではサファイア2枚とアマテラス1枚を引いた場合を指します―が存在します。つまり上記の2つの事象は背反であると言えなくなってしまいました。面倒です。
そのためなんとか気合で手計算していく方針でいきます。多分もっといい方法はあると思うんですけど、ミスりたくないので場合分けをしていきます。
サファイアをA,アマテラスをB,その他のクリーチャーをCとおき,Aが4枚,Bが4枚,Cが8枚あることを考える.3枚を連続して,1回ごとに戻さず引くとき,Aが2枚以上またはAとBをそれぞれ1枚以上引く確率は,組み合わせによって求められ,以下の5パターンが考えられる.
[1]A-A-Aのとき
4C3/16C3=1/140
[2]A-A-Bのとき
4C2*2C1/16C3=6/140
[3]A-A-Cのとき
4C2*8C1/16C3=12/140
[4]A-B-Bのとき
4C1*4C2/16C3=6/140
[5]A-B-Cのとき
4C1*4C1*8C1/16C3=32/140
[1]〜[5]は排反である.ゆえにそれらの総和を解とする.
∴57/140=0.4071...≒0.407
したがって、約40.7%という数値が求まりました。これを概算の結果とします。
4.一般化
普通にここで「はーい大体4割でしたー!アンケート結果に反して結構低いねー!!」で終わってもよかったんですけどそれではさすがにつまらないだろう、と思ったので非公開領域から必殺率を推測する一般式まで作ってしまいます。3.概算で行ったものはかなり条件を固定したものでした。しかし、手法自体を確認することはできたため、これを文字に置き換えます。これから出てくる「残数」は造語で、キリコの効果を使う直前にまだ山札に残っている枚数のことを指します。また、「山札の上から出す」の処理は確率を求める上で再現しようとするとほぼ不可能なため、ここでは考慮せず、全てランダム試行とします。
a=A(サファイア)の残数
b=B(アマテラス)の残数
c=C(A,B以外のクリーチャーの残数)
x=山札の枚数
y=山札以外の非公開領域※の総数
とそれぞれおく.
※視点によっては手札を含む場合も含まない場合もある.
〈1〉フィストがバトルゾーンにないとき,または余剰1マナが用意できないとき,
ただし,
①アマテラスの効果で「クロスギア」をバトルゾーンに出すモードを選択しないこと及び可能なのにフィストを出さないことを選択することを考慮せず,
②フィストが後からマナを支払うなどしてバトルゾーンに出ることを考慮せず,
③組み合わせのpCqの形式においてp<qとなった場合,その項目の確率は0となる
という前提の下でこの式は成り立つ.
また,
〈2〉フィストがバトルゾーンにあり,余剰1マナを用意できるとき,
となる.
…わかりにくいですね。例として1つありそうなものを代入してみましょう。
a=b=3,c=5,x=15,y=5を代入してみる.
この条件は「使用者側の視点、公開領域にサファイアとアマテラスが1枚ずつ、その他の非進化クリーチャーが4枚見えていて、キリコの能力を使う直前の山札15枚、盾5枚である」状況を指しています。ついてこれていただけていますでしょうか…?
これを代入すると、この条件下では55%であることが示されます。ちなみに、この代入にかなり計算が遅い僕は紙を使っても10分弱かかりました。デュエプレは1ターン100秒の制限時間があるゲームですので、この時間内で正確にはじき出そうとしたら6倍近くの速度での計算が可能な暗算力を求められます。頑張ってツール作った方が早いかもしれません。正直そちらの方には明るくないので何とも言えませんが…
5.考察と展望
以上の結果より、まとめにはいっていきます。①【エンペラー・キリコ】というデッキの単純な必殺率は4割程度であろうが、②それは圧縮などのプレイヤーの努力によって変わり、その誤差の幅は計り知れない。また、③それらの概ねの値を計算する方法は見つかったが、それを実戦で使うことは現実的でなく、「お祈り」が必要になる部分もあるだろう。といった具合でしょうか。
①は事実ですのでここでの紹介は省かせていただきます。②については例えば前述の代入の項で10%近くの誤差が出ている時点で既にお判りでしょう。また、実際のゲームでは、極論そのターンに勝ちに行く必要はなく、単純に「返せない盤面」を作った時点で勝ち、となるので実質の必殺率はもっと高いことでしょう。これがヘイトをためる原因になっていると考えられることは、議論するまでもありません。
さて、③については先のアンケートに関連してくるところもあります。もう一度このアンケートを参照してみましょう。
下から順に、アンケートの票の幅が25、20、20、35(%)と歪になっています。これは60%を超えると回答する方が少ないだろうと踏んだ結果採った措置でしたが、結果的にそこが大きくなってしまっています。これに関しては完全に僕の落ち度です。申し訳ございませんでした。
さて、それを踏まえたうえで「獲得した票の割合/幅の割合」を確認してみると下から順に0.344、1.32、1.525、0.98となっています。これを踏まえるとかなりのプレイヤーが45%~75%あたりに集まっていたのではないか?と考えられ、再度調査する意義も生まれそうな気もします。また、プレイヤーの勘は想像以上に鋭く、正しい認識を持っているようにも感じられます。
それから、冒頭に話した規制云々の件ですが、僕個人としては現代デュエマをやっている身ですし、この程度の理不尽デッキならまあ1つくらいあっても問題ないか…くらいに捉える性なので個人的にはないようにも思えます。しかし、実際の単純な必殺率よりは高いと回答したプレイヤーが多い(少なくとも65%以上はいる)ことから、かなりのプレイヤーに「理不尽を食らう側」としての認識がもたれていて、雑な表現ですが「嫌われている」という認識ではあるといえるのもまた事実です。過去のデュエプレ運営はかなり体験ベースの規制・弱体化をかけてきた印象があるため、可能性としてはなくもない、のかなぁ…と思ってしまうのもまた事実です。危険度をS~Eで評価するならB+くらいが妥当なんじゃないですかね。知らんけど。
以上がこの記事の内容となります。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。駄文で読みづらかったかとは存じますが、ここまでついてきてくださってとても嬉しく思っております。大したものではございませんが、以下に特典的なおまけをつけておきます。
私事で恐縮ですが、極めて字が汚く、それはもうミミズが這ったようなものしか書けないため、人前で書いた字をお見せすることを極力避けてきている節があります。その脱却の意思と記録の意味も込めてここに本記事で使用した計算用紙を3枚ほど掲載させていただきます。ちなみに、この計算用紙のどこかで3+3+5=13という小学1年生クラスのミスをしているので見つけられた方はDMください。「あ、読んでくれてるんだな」って喜びます。
ご質問やご指摘、ご意見やご感想等ございましたらDMでもコメントでもリプライでも構いませんので、遠慮なくお申し付けください。お待ちしております。
2022/5/12 記事公開
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?