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テレマークとアルペンとクロカン

テレマーク」はスキーにおける初めての回転技術のひとつでした。その頃は「テレマーク」と言ったスキーの遊び方の分け方があったわけではなく、あくまでも滑走技術の一つだったのだと思います。時の流れとともにスキーが北欧からヨーロッパアルプス地方に伝わり、そのスタイルは「アルペン」としてより滑降性を求めたものへと変化し、北欧では「クロスカントリー」として水平移動を効率的におこなえるものへと進化し今日のスキーがあります。

私たちは当然その頃のことは知らないわけですから、現在のテレマークを見る場合に、自分が持っているスキーの経験から考えることになります。アルペンスキーヤーから見れば、テレマークはカカトが固定されていないので不安定そうに感じられ「あんなもので楽に滑られるの?」と疑問を持つことでしょう。また、クロスカントリースキーヤーから見れば同じようにカカトが上がる道具とはいえ重く無骨な道具なので「軽快に走ることができるの?」と思われることでしょう。そう言った意味ではテレマークは他のスキーに比べ秀でたところが無く、どちらつかずの中途半端なスキーといったイメージを持たれてしまいます。しかし、その中途半端なテレマークが私たちに与えてくれる感動は他のどのスキーよりも広く大きいと私は考えています。

一つの道具で「歩く、登る、滑る」がバランス良く楽しめるのがテレマークです。雪があるところなら裏庭から山の頂まで、そのすべてがテレマークの遊び場になります。岩に囲まれた深雪の急斜面、針葉樹や白樺林でのツリースキーイング、どこまでも続く丘の連なりをノーワックススキーで駆けめぐる、どれもがテレマークの遊びの世界なのです。最近ではファットスキーとプラブーツでの滑りばかりが注目されていますが、一度細板と革靴を持ち出しのんびりとツアーをしてみてください。心が解放され、とてもすてきな時間を過ごすことができますよ。

そもそもスキーは雪上での移動手段だったはずです。私たちが今楽しんでいる「モダンテレマーク」は、ただその原点に帰っただけなのです。他のスキーと比べたところでそこからは何も生まれては来ません。これからテレマークを始めようと思われている方は、いろいろと考えすぎる前にまずは始めましょう。きっとテレマークがあなたの心を開いてくれますよ。

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