外部からいきなりCTOとして就任する時に気をつけていること

おはこんばんちは!!尾藤 a.k.a. BTO です。

私は今はオープンロジでCTOをしていますが、オープンロジを含めて今まで4社でCTOをしています。CTOとしての実績と経験を積み重ねてきた結果、今ではある程度開発組織が大きくなった会社からCTOのオファーをいただくことが増えてきました。

いわゆるパラシュート人事というやつです。パラシュート人事は非常に難しく、私が今まで見てきた中でもパフォームしていないマネージャーはほとんどが外部登用でした。逆に現場上がりのマネージャーはうまくワークしており、微妙な人は少数でした。

このように失敗する可能性の高いパラシュート人事で入社する場合は、いろいろ気をつけないといけません。CxOとまではいかずとも、みなさんの中にも転職をきっかけに何らかの責任者としてのポジションを期待されて入社することもあるかと思います。そういった方に私の気をつけていることが参考になれば幸いです。


まずは落ち着け

入社した直後は誰しも大きな希望に満ち溢れているはずです。これからこの会社で成果を出して活躍していきたいと誰しも願っているはず。入社直後はいろんな新鮮な情報が入ってきます。その過程でいろんな課題が見つかるはずです。その課題を解決していけば会社がもっと良くなる!!モチベーションの高いあなたは早速課題解決して成果を出すチャンスです!!

まあ、まずは落ち着けや

あなたは社内の事情もまだ良く知りません。あなたに見えている課題は部分的かつ断面的な状態です。会社にとって本当に優先度高く取り組む課題なのかもわかりません。周りからしたらさして重要でないことに取り組もうとして、反発を食らったり空回りする可能性が大いにあります。まずは俯瞰的に物事を捉えられるようになるために、社内の状況をしっかりと把握することが最優先です。

既存のシステムや組織体制をリスペクトする

既存で動いているシステムは何年もの開発の積み重ねでできており、いわゆる技術的負債が積み重なっていることも多いです。入社直後のあなたが今の瞬間を切り取った時に、システムの悪い点はたくさん見えるでしょう。そこに対して、システムの悪い点をひたすら指摘したり、いきなり課題解決に動くのは大抵の場合アンチパターンで現場からの反発を食らうことが多いです。

今の会社の事業を支えているのは紛れもなく今動いているシステムです。現場のメンバーだって何の努力もしていないわけではなく、その時々の事情で仕方なく選択した結果もあります。あなたは過去の経緯や歴史的な事情を一切知りません。今の会社のシステムに十分なリスペクトを持つところから始めましょう。そのためにも過去の経緯や歴史的な事情を知るところから始めましょう。

会社の組織体制についても同様のことが言えます。特にスタートアップはいろんな制度が未整備なことが多いです。現状の体制に批判的にならずに、しっかりと受け入れて、なぜそのような状況になっているかをちゃんと把握することから始めましょう。

自分の役割ややるべきことは自分で定義する

外部からCTOを登用する会社は何らかの形で開発組織に対して経営レベルでの課題を抱えています。そうじゃなければわざわざ外部からCTOを登用する必要がないからです。だからといって、その会社におけるCTOの役割が何なのかに対しての問いには誰も答えてくれません。CEOからのリクエストは大抵の場合「テックカンパニーになるために、何とかしてくれ(自分で考えろ)」です。

CTOでなくとも何らかのマネージャーポジションで入社する場合は、似たようなことになるケースが多いです。現場からマネジメントレイヤーの育成が難しい状況だから外部登用しているわけであって、そのポジションにおける期待役割は整理されていないことがほとんどです。もちろんちゃんと用意しておくのが理想ですが、現実的には難しいでしょう。

自分の役割は自分で定義するからと言って、好き勝手やったり暴走するのはダメです。今の会社において自分がやるべきことは何なのか、経営陣や上長が求めているのは何なのか、全体を俯瞰して考え、言語化し、周りの合意を得てから進めていきましょう。

物事を進めようとした時に、うまく合意を得られないことも時にはあるでしょう。そういう時に「だったら最初から何をやって欲しいかちゃんと決めてよ」などとは考えないようにしましょう。依頼する側も何もお願いしたいかがわかっていないことも多いです。会社があなたに何をして欲しいのかを見つけ出すのも、あなたの仕事の一つなのだと心得ておきましょう。

ドメイン知識と人間関係による成果かどうかを区別する

当たり前ですが転職すると、あなたが持っているドメイン知識や人間関係が全てリセットされます。前職で出していた成果には、こういった会社環境に依存するものもかなりあります。自分が出してきた成果が自分の実力によるものなのか、はたまた会社の環境に依存するものなのかはしっかりと区別しておく必要があります。そうしておかないと前職ではうまくいっていたのに、転職して環境が変わってからうまく成果が出ずに苦しむことになります。そしてそれが自分の実力不足であることが認識できずに、ずっと会社の環境のせいにすることが続いてしまいます。

会社が人でできた組織体である以上、自分が出してきた成果が100%自分の実力による結果であることはありません。そこには必ず会社環境に依存するものが大なり小なり含まれています。

自分が出してきた成果に対しては、自分がやってきたことが本質的に何なのかをきちんと言語化して、汎用化した上で自分の中にストックしておきましょう。出した成果を汎用化しておかないと、環境が変わった時に高い再現性を持って実行することはできません。あなたに求められているのは、「過去に何をやったか」ではなく、「今この会社で何ができるか」なのです。

いきなり指示命令系統を振り回さない

何らかの責任あるポジションを期待されて入社する場合、いきなり上長になて指示命令系統を持つことも多いです。入社した直後はモチベーションも高く、早く成果も出したいので、いろいろ口出ししてしまいがちです。そもそもあなたが解決しようとしている課題が本当に会社にとって解決した過大なのかもわかりません。

周りのメンバーは日々のタスクに忙殺されていることが普通です。そのような状況でどこの馬の骨ともわからない人間から優先度の低い課題に振り回されると現場のメンバーから反発をもらう可能性が高いです。まずは落ち着いて冷静になることで、少なくとも空回りするリスクを回避することができます。

もちろん会社が必要だと判断している指示はするべきですが、あなたが必要だと判断した指示は一旦控えましょう。少し時間をおいて、会社の状況がわかってきてから判断しても遅くはないです。進めるときも必ず周りと合意形成をしてから進めましょう。あなたが権限を持っているからとしって合意形成をせずに物事を進めようとすると反発を食らうことがあります。

まあ、私は指示するのもされるのも嫌いなので、こういったことはやらないのですが、マネージャー職で入社してすぐに初手でミスって信頼を失う人を一定数見かけるので、気をつけたほうが良いと思います。

小さく信頼と実績を積み重ねるところから始める

何らかの責任あるポジションを期待されて入社しているのですから、あなたへの期待は大きいです。ですが、期待されたわりには役割や権限を持たせてもらえなかったりすることがあります。「だったら何で期待するんだよ?」と思うかもしれませんが、あなたに期待していないわけではなく、社内での実績がないから、お願いできるかどうかもわからないだけなのです。

役割や権限は周りからの信頼を得られてから、初めて与えてもらうことができます。何の実績もないあなたに、いきなりいろんな役割や権限が渡されることはなかなかありません。そこを嘆くのではなく、自分の実績不足だと認識しましょう。あなたがちゃんと社内で成果を出していれば、自然といろんな役割を任せてもらえるようになります。

結論

オープンロジでは物流の課題をテクノロジーで解決し、物流版AWSを作っていく仲間を募集しています!!!!

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