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JAZZ NOT ONLY JAZZ

6/21にNHKホールで開催されたJAZZ NOT ONLY JAZZというライブイベントを観に行ってきました!若き実力派ドラマー、石若駿さん率いるThe Shun Ishiwaka Septetなるバンド(Dr.石若駿 Gt.西田修大 Gt.細井徳太郎 Ba.マーティ・ホロベック Sax.松丸契 Tp.山田丈造 P.渡辺翔太 ※以下、石若バンドと呼ばせていただきます)が、豪華ゲスト陣を招いて開催された一夜限りの公演。

ゲストは50音順でアイナ・ジ・エンド、上原ひろみ、大橋トリオ、田島貴男(Original Love)、PUNPEE、堀込泰行という6名。私はこれを知ってもうこれは何がなんでも都合つけて行くっきゃない…!と思いました。とにかく上原ひろみさん、大橋トリオ、堀込さんは今までずっと気になっていながら観に行く機会がなかった御三方。そしてアイナ・ジ・エンド、PUNPEEは以前にも観たことあるけど、その上でまた観たかったお二人。ちなみに田島さんは言うまでもなく(過去のnote記事をご参照くださいませ)。

というわけで今回はゲスト目当てでチケットを即買い。しかし初めて観た石若さん及び彼が率いるバンドは凄まじかったです!総括を先に言っちゃうと、石若バンドはゲストや曲それぞれが持つそれぞれの個性や魅力をMAXに引き出せちゃう感じのバンドでした。自己を主張するんでなく、あくまでも相手や曲の世界そのものを広げる感じというか。もちろん彼らだけのインストの時はまた別ですが。

というわけで個性豊かな面々のアクトを存分に堪能したライブ、本当に素晴らしかったです!一回限りじゃ勿体ないし、また観たい!と思えるイベントでした。ちなみにこちらの模様は後日有料配信もあり、企画制作のWOWOWでも放送されます(配信は8/16〜23、WOWOWの放送は9月。詳しくは以下へ)。


(以下、ネタバレ満載の感想レポートなので配信を観るまでは内容を知りたくない、という方はここから先を読むのはおすすめしません!)

さて、久々に足を運んだNHKホール。雨模様の中たどり着いた会場(着いた頃には晴れ間が見えた!写真がそれです)は年齢もさまざま、性別もさまざま、という観客層で、私の周りでは一人で観に来てる人が多めでした。ステージを見るとDJ(柳樂光隆さん)が音楽を流しています。一応ジャズの名前がついてるイベントだけど、DJがいることからもジャズだけの内容じゃないのがすでにうかがえます。開演3分前にはDJが終了。大きな拍手に見送られて柳樂さんはステージを後にしていきました。

そしていよいよ本番スタート!まずは石若バンドのメンバーがステージに登場。私はこの時まで何人がメンバーとして出てくるのか認識してませんでしたが、上記に書いた通り総勢7名。1,2曲目はインストでの演奏。7名で奏でる音はやっぱり厚みがあるな!と思いました。1曲目は民族音楽的で、2曲目はなんだか難しいリズムの曲でした。ちなみにグランドピアノも余裕で置けるステージ、NHKホールってデカいんだな!と思ったり。そして3曲目には最初のゲスト、堀込泰行さんが登場!

ベテランが1人目のゲストで少し意外でしたが、どうやらゲストを迎えての一曲目は「エイリアンズ」をやりたかった、ということでこの順番になったらしい。私はイントロで「エイリアンズだ!やった!!」と思ったので試みは正解だったかも。初めて聴いた生「エイリアンズ」めちゃくちゃ良かったです…!堀込さんと石若さんはすでに何回か共演してるようでしたが、前のときに拍を間違えたよね、みたいことを石若さんに言っていた堀込さんでした…さすがベテラン(笑)

そんな堀込さんは自分の曲を3曲やってくれましたが、最後の「Sunday in the park」という曲がとっても良かったです。日曜の昼下がりの情景が思い浮かぶような…曲自体も良いんだけど、バンドによってその感じが増し増しになる感じでさらに良かったです。

そして次のゲストは田島貴男さん!これまたベテラン勢の登場が早いなあ〜と思いましたが、最後まで観ていていろいろ合点がいったというか、今回のこのイベント、最後まで観てみれば田島さんの晴れの舞台と言ってもよい内容でした。

今回田島さんと石若さんは念願の初共演だそうで、田島さんを迎えての1曲目はジャズのスタンダード「Body and Soul」。自前の曲でなくいきなりそうきたからか、私の後ろにいた男性が「おぉっ?!」みたいな声を出してました。田島さんの最近のライブや動画を観たことがなければジャズを弾いたり歌ったりしてるとは知らないと思われ、今回そういう意味ではいい感じに世間にお披露目が出来たんじゃないかなあ〜と思います。

田島さんのジャズギターの演奏も良かったですが、マイクを持って歌ってるときのプレスリー感…!なぜでしょう、たまにすごくプレスリーに見える田島さんでありました。終わりの方はロックな感じになり、演奏後はこれまででいちばんの拍手があったように思いました。

2曲目はOriginal Loveの曲で「bless You!」。この曲はライブでやると毎度後半に高速のクラップを観客に求めるのですが、今回もいつも通りそれをやったので笑ってしまいました。自分のファンばかりの場所だろうとそうでなかろうと容赦無いっていう(笑)しかしこれは確かに会場を一つにする効果があったように思います。それこそここにはいろんな方面の音楽ファンが集まってるわけで、ここで初めて一体感が生まれた感じがしました。いつも盛り上がる曲ではありますが、今回さらにスペシャルバージョンな感じがしました。

また、この曲はハモンドオルガンの河合代介さんのソロがとても印象的な曲なのですが、鍵盤の渡辺さんはピアノではなくキーボードでその部分をオルガンっぽく演奏していて、河合さんへのリスペクトも感じました。そして次の曲は?と思っているとイントロで「グッディガールfeat.PUNPEE」とわかりました。つまり次はPUNPEEが出てくるってことね!田島さんはこの曲で退場かあ〜と思いました。この曲もよくライブでやってくれるのですが(その時は田島さんがラップもやります)、PUNPEEが入ったのを観れたのは久しぶりで嬉しかったです!

PUNPEEは何かのライブ配信で観た以来。おそらくこのイベントでヒップホップはジャンル的に一番遠いとこにいる感じがしますが、ラップも即興、という意味ではジャズと親和性が高そうな気もします。PUNPEEが歌ったのは『MODERN TIMES』というアルバムに入ってる「Renaissance」。私はこの曲大好きなのでまた聴けて嬉しかったです。

PUNPEEはここで退場、続いてはバンドのみでインストタイム。深海っぽい感じの曲でした。前半と後半の狭間、といったところでしょうか。まあ勝手にそういうことにして後半の1人目はアイナ・ジ・エンド!

この人は本当に体格的に細い人なんだけど、どこから声が出てるんだ!ぐらいの声が出るんですよね。アイナ・ジ・エンドは昨年のビバラロックで「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」のカバーを歌っていてすごく良かったのですが、それを観て以来です。

石若さんはライブでアイナ・ジ・エンドを観てすごく感動したそうで、それで今回の共演が叶った模様。年齢も近そうな二組、まだまだこれからもいろんなところで共演が観られるんではないでしょうか。最後に歌った「私の真心」の歌唱は本当にすごくて、アイナ・ジ・エンドはくるくる回ったり倒れ込んだり縦横無尽にステージを動き回ったりしながら歌っていました。全身全霊の歌唱も演奏の盛り上げ方もとても良かったです!

ところでどのタイミングで言ってたMCか忘れたのですが、石若さんがバンドメンバーを紹介するのに、彼とは小学生から一緒にやってる、とか、20歳くらいからずっとやってる、とかいう感じでメンバーを紹介してて、そうか、みなクラスメイトみたいな繋がりなんだなあ〜と思いました。凄腕がなんとなくパッと集まった即席のバンドではないというか。だから聴いていて心地良い感じがするのかもしれません。気心の知れ方がそうさせるのかな。

ということでお次は大橋トリオ!大橋トリオも何年も前からいつかライブ観る機会がないだろうか?と思っていて、ようやく今回叶った感じになります。昔『植物男子ベランダー』というドラマで音楽が使われていたのですが、それがとても良かったのです。だいたいドラマのエンディング曲は1クールの間変わらないものだけど、毎回曲が変わるという面白い試みのドラマでした(ちなみに「サマータイムブルース」「遠い日の花火」「俺の伯父さん」とかが神回だと思っています)。それが毎回大橋トリオの曲だったのですね。

というわけでお初にお目にかかる大橋さんは想像してた感じよりも背が高く、黄色のロングジャケットとスーツ。なんとなく浮世離れしたイメージを持ってましたが、今回実際観た後でも謎めいた印象はそのまま残りました。曲的にはやはり『植物男子ベランダー』でも使われていた「マチルダ」が特に嬉しかったです!途中まで気付かなかったけど、コーラスの人がいつのまにかバンドに入っていてクラップを先導してくれていたので盛り上がりやすかったです。

ちなみに現在の大橋トリオのバンドは石若さんの後輩たちらしく、大橋さんはMCで「後輩たちを手なづければ石若バンドと早く共演出来ると思ってた」と本気だか冗談だかよくわからないことを言っていました(笑)誰かもいま日本で一番忙しいミュージシャン、と石若さんとギターの西田修大さんのことを評していたので、なるほど、特にこの二人はあちこちから引っ張りだこの人気者なんだなあ〜とわかりました。

さてここまででボーカリストたちは全て登場。そこで石若さんが「まだまだ続きます!」という風に言い残してバンドメンバーが全員撤収していきました。と、入れ替わりにでっかいグランドピアノがステージに登場!!スタッフ10人以上かかってゆっくりと設置されていきます。これはなかなか見れるものではないような。いよいよトリの上原ひろみさんが観れるんだ…!とワクワクしました。

そしてついに上原ひろみさんがステージに登場!黄色い衣装が黒いピアノにとても映えます。どんなのを演奏してくれるのかな?と思っていたら、一曲目はピアノとドラムとベースだけという編成。しかし聴いていても曲はそもそもよく知らないのでわからないし、どうやって弾いているのかどうやってお互い音を合わせているのかもわかりません(笑)とにかくドラムの石若さんもベースのマーティさんも本気モード!という感じ。なんていうんだろう…武道とかのものすごい試合を観ているような、一瞬の気の緩みも許さないようなそんな緊迫感がありました。

続いてはギターの西田さんも加わって4人で。もう既に観てるだけで体力を消耗してしまう感じ。もはや異次元レベルというか…!この曲で上原ひろみさんはピアノの上にキーボードを置いてシンセみたいな音を出しながら弾いていました。ギターのソロもすごかった!とにかく石若バンドの実力をいかんなく発揮した!という感じのセッションで、とんでもないものを観ました…!この辺りは私がどうこう書いても伝わらないと思うので、是非とも配信や放送を観て欲しいな!というか必見!と思います。

さらにこの辺りの曲名などについてはこちらのライブレポートが詳しいです。写真もたくさん載ってるのでどうぞ!

そして終わった後は4人で肩を組んで観客に向かっておじぎしていましたが、石若バンドの3名はただ肩を組んでいただけでなく、お互いを掴みあったり叩きあったりして「よくやったな!」と讃え合ってるように見えました。そこが見ててグッときました…いわゆる泣ける映画を観てもほぼ泣かない私ですが、こういうのを見ると泣けてきてしまいます。

4人が退場した後は上原ひろみさんのピアノの位置がちょっとずらされたりして、お次はアンコール!石若バンドのメンバーたちがそれぞれ持ち場に戻ってきてインストを奏ではじめました。ステージの後ろには赤い幕も降りてきたり。ちなみに今回私は3階席の後ろの方で観てたんですが、ふと見るとステージには見慣れたギターが置いてあります。あれっ…?もしかしてあれは田島さんのギターでは?

…ここで私はあることに気付きました。

(そういえば田島さん、"接吻"をやってない…!)

最近のライブでは"接吻"を演奏しないことも多いので(全国を回るツアーとかではやってます)、今回もあまり気に留めていなかったのですが…いやいや、待て待て。こういうイベントで、ここまで世間に知れ渡ってる曲をやらないわけないんじゃないか…?と気付いた途端、心臓がバクバクしてきました。えっ、これだけすごいイベントのラストにまさか「接吻」やるの?!と。

そう思ってる内にドラムを叩きながら石若さんがゲストの全員を呼び寄せました。田島さんがギターを持ち、上原ひろみさんがピアノに座り、他のボーカリストたちはマイクを持ち、演奏する曲はやっぱり、「接吻」!!ええっ、マジーーー?!Σ(゚Д゚)ひえー!!!

…と、ここで田島さんのライブをよく観に行ってる人たちにはわかると思うんですが、田島さんはたまに歌詞を間違えたりするんですよね…!ワンマンライブで間違えても些末なことなのでそんなに気にならないのですが、この、ものすっごいお膳立てされたシチュエーションで歌詞を間違えたりしたら大惨事…!と思って、そこからは「どうか歌詞が飛びませんように…!」と祈るように観ていました(笑)

しかしながら心配し過ぎて今この瞬間を見逃すのも勿体なさ過ぎるわけで必死に自分を取り戻しつつステージを観続けました。堀込さんの「接吻」は声が合っててすごく良かったな、とか、PUNPEEはやっぱラッパーなので歌うんでなく「接吻」をラップにしてたのが良かったな、とか。"kiss"を連呼してみたり、"戦争やめろ!"と入れてみたり(戦争なんかしてたら接吻どころじゃないもんね)。それがすごく良かったです。「接吻」ラップ、また聴きたい!!

そしてやはり上原ひろみさんが奏でるピアノでの「接吻」…!やべえ〜!嬉し過ぎるし凄すぎる!「接吻」は前からスタンダードになり得る曲だと思ってましたが、もうこの際スタンダードだということで良いんじゃないでしょうか(笑)ここまで来たら日本だけでなく、目指せ!世界のスタンダード、という気分になってくるのでした。

と、いうことで…石若バンドの実力を半端なく見せつけられた今回のイベント、上原ひろみさんはやはり桁違いのレベルの人だとわかったし、ゲストボーカリスト全員が本当にいろんな方面で振り切って活躍している人たちなんだと改めて認識したし、日本の音楽シーンの層の厚さを体感出来て、本当に嬉しくも楽しいイベントでありました。同時にいつも応援している田島さんにここまでの晴れ舞台を用意していただいてもうほんっとに感激しました。ありがとうございます!!

そして東京近郊以外に住んでたり、抽選に漏れたりして観れなかった方には是非配信を観て欲しいと思います。ただ、その際も出来ればどの演者も飛ばして観ることなく、石若バンドの演奏とゲストのパフォーマンスを全部堪能して欲しいな!と思うのでありました(放送の時はカットされるアクトもあるかもですが)。近年稀に見る濃ゆい音楽フェスで本当に良かったし、これからも石若さんはじめメンバー全員の活躍を楽しみにしています!


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