地方創生ってなんなん

地方創生とは 

 地方創生を一言で分かりやすく言えば、「各地域がそれぞれの特徴を活かして自律的、持続的な社会をつくろうね」というものです。明確な定義化はされていません。   2014年12月2日に「まち・ひと・しごと創生法」が施行されたことにより、「まち・ひと・しごと創生本部」が正式に発足しました。この本部の通称が「地方創生本部」です。本部長は内閣総理大臣、副本部長が地方創生担当大臣です。この安倍内閣の地方活性化への一連の取り組みが一般的に『地方創生』と呼ばれています。   背景には日本の「人口減少社会」と「東京一極集中」の2つの課題があります。この2つの課題を解決するため、地方を再生しよう!という動きになったのですね。  人口減少は色々なデメリットがあります。生産人口が減少し、GDPを下げることにつながったり、基本的に経済規模が小さくなっていきますのであまり喜ばしくはないですね。 東京一極集中は、東京にしてみればまぁいいのかもしれません。しかし、知っておくべきこととして首都圏も緩やかに人口は減少しているという事実。人口が増えている地区も限られた地域に集中しているだけで、特に山間部は首都圏でありながら人口が減り続けています。 東京は未婚率も高く、合計特殊出生率(一人の女性が一生涯に産む子供の平均)は1.24。さらに、東京は通勤・通学がしやすく土地代が安価な地域に人口が集中しており、居住環境・生活水準が悪化しています。そんな首都圏に人が集まったら・・・

東京の人口増加→保育園の待機児童問題悪化
→子どもを産まない→人口減少加速
      悪循環です。

 また、政府機関や民間の本社機能が東京だけに集中した時のデメリットは他にもたくさんあります。一番怖いのは災害など有事の時です。「関東直下型地震は今後30年以内に70%の確率で起こる」とも言われてますし、一気に重要な心臓部分が破壊されてしまうと、様々な活動が止まってしまいます。それを避ける意味でも別の地域に拠点を分散させるなど、リスクヘッジが必要です。これは東日本大震災の後から、そういった考え方が多くなってきました。
 基本的には「人口減少問題の克服」と「成長力の確保」を長期ビジョンに掲げて、農業、観光、科学技術イノベーションなどさまざまな分野が対象になってきますが、大きく4つの柱に分けられます。

4つの柱


1.地方で安定した雇用
特に若者の正規雇用、女性の就業率の向上を目指しています。新しい仕事をつくるため、創業の支援を手厚くしたり、農林水産業の成長力を高める支援を行ったりといった内容です。

2.首都圏ではなく地方への人の流れをつくる
 首都圏一点集中の人口バランスから地方への転入を増やす取組みです。全国移住促進センターなどで移住情報の整理を行ったり、福祉の面も一緒に考えられた新しいコミュニティを作ったりといったものです。また、背景でも少し述べたとおり、企業の拠点を地方に移転したり、ノマド的なライフスタイル(テレワークなど)を進めたりといったこともここに含まれてきます。

3.若い世代が夢を持てる社会づくり
3つ目は、若者が安心して結婚・出産・子育てができる社会をつくることです。特に子どもを持った後にも、無理せず家庭と仕事の両立ができるよう、ワークライフバランスが保てることを目指した取り組みです。
具体的対策は、若年の雇用対策や子育て世代総合的な相談窓口センターの整備、育休の取得促進、長時間労働の抑制といった、子育てやワークライフバランス実現のためのサポートが挙げられています。

4.地域間の連携と再編
最後に「地域間の連携」についてです。パッと思い浮かびませんね。いわゆるコンパクトシティとか、そういった類のことです。そうした小さな生活しやすい単位のエリアをいくつも作って、それをまた連携させようという取り組みです。この中には例えばハコモノと言われる自治体が作る建物を複合施設に転換していく動きだったり、長期間維持することを見据えたファシリティマネジメントだったりといったことも含まれてきます。

地方創生の現状

いきなりですが……

896  この数字が何を意味するかわかりますか?

 実は、2040年に消滅する可能性のある市町村の数なんです。
日本創生会議の人口減少問題検討分科会が発表した通称「増田レポート」で、この試算結果が発表されました。人口減少社会は大きな国家課題すぎて、どこか他人事な気がする気持ちもわかりますが、この数字を見ると、人口減少社会に対して、地域創生に対して、関心を寄せないと故郷がなくなる危機感すら覚える人もいるのではないでしょうか。
 地方創生の長期ビジョンと総合施策は下のファイルを参照してください。

www.soumu.go.jp/main_content/000573278.pdf

 このファイルを参照していただければ、ビジョンや施策についてお分かりいただけると思いますが、2013年から2017年で東京への転入者は2万人。年々増えているのが地方創生の現状です。

課題

 人口減少が拡大し、特に田舎ではたくさんの課題が生まれています。
・生活関連サービス(小売・飲食・娯楽・医療介護など)の縮小
・自治体の税収減
・地域公共交通機関の撤退・縮小
・空き家、工場跡地、農耕放棄地の増加
・地域コミュニティ機能低下
・文化・地場産業の担い手不足
 でも、それぞれの問題というより、自治体消滅という課題に直面しています。また、地方創生の成功事例として、島根県海士町や徳山県神山町の取り組みがあげられますが、一方で北海道夕張市や岡山県津山市、青森県青森市のように多くの失敗事例があることも事実です。この失敗例からどう学ぶかということもこれからの地方創生の課題として考えられます。

私たちができること

 はっきり言って、人口減少を止めるのは不可能です。
人口ピラミッドを見れば明らかですし、外国から移民を大量に受け入れる以外に人口増加は望めません。

人口ピラミッド

今、私たちがしなければならない必要なことは3つ。
1.地方創生に関心を寄せる
2.持続可能な地域づくりに貢献する
3.生産性を高める   
この3点だと考えます。

 これからの社会を担うわたしたちの世代が地方にも目を向け関心をもち、一人ひとりが他人事ではなく、当事者意識を持たなければ、地方創生・社会課題の解決を実現することはできません。今回のnoteを書くにあたって、ネオキャリアの内定者ならばなおさらこのマインドをもっていかなければいけないなと感じたところです。


<引用文献・参考文献>
・地方創生をめぐる現状と課題 平成29年7月 
 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局
・地方創生の意味とは?地域活性化との違い・課題や問題点・成功&失敗
 事例・必要なこと
・Nipponia Nippon 地方創生ニュース




龍井亜伽里




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