1分で話せ 伊藤羊一
この本を選んだ理由
私は、自分の考えや思いを簡潔に伝えることが苦手です。
何かを話す際に回りくどくなってしまったり、「なんて言えばいいんだろう…」「伝わった??」というのが口癖になっていたり、思いのまま熱量に任せて話してしまったり...
常に自分の課題として「簡潔に伝えること」というのがありました。多くを語らずとも自分の思いや考えの真髄をすぐに相手に伝えられるようになることが私の目標です。
社会人になると簡潔に話せるということはとても重要なスキルです。テレアポや営業など、短い時間でいかに伝えるか、いかに印象に残せるか、これが私の成果やキャリアに大きな影響を与えるのは間違いありません。
そこで今回は先輩社員の方に紹介してもらった「1分で話せ」という本を読んでみたので紹介していきたいと思います!
最初に伝えておくと、この本は「プレゼン」(仕事の中での会話)というものが軸にあって話がすすめられていくものでした。なので、人との普段の会話術コミュニケーション術という視点でみてしまうと少しずれているかもしれません…
通ずるところももちろんあるとは思いますが!(笑)
では本題です。
話を聞いてもらう根幹
前提として…
そもそも「人は、相手の話の80%は聞いていない」ということを理解しておかなければいけません。どんなに相手が好意的に聞いてくれても、自分がどんなに完璧なプレゼンをしたとしても、自分が話したことがすべて相手の頭の中に残っているということは不可能だと考えています。コミュニケーションというのはそういうものなんです。(本書17.18p)
確かに言われてみれば、どれだけ人の話を真剣に聞いていたとしても、相手が言っていたことを100%理解できているか、100%覚えているかといわれたら、Noです。
でも、これは仕方がないことなんです。コミュニケーションとはそういうものです。だからといって、コミュニケーションをとることをあきらめてはいけません。
「100%は伝わらない」「ほとんど聞いていない」ということを理解したうえで、いかに印象に残すか、いかに理解してもらうか、を考えていくのです。
この本では会議の場面や上司との対話の場面での話し方、考え方なども記されているのですが、今回は特にプレゼンというところに絞ってお話します。
プレゼン力
いきなりですが、「プレゼン力とは何ですか?」と問われたときに、あなたはなにを思い浮かべますか?
人前でパワーポイントを使いながら、資料を使いながら、説明する力。
このように考える人が多いと思います。私もそうです。
しかし、著者が言うプレゼン力とは、
人前で発表するスキルでも、話すスキルでもありません。人に「動いてもらう」力です。(本書19p)
ということです。
プレゼンを通して人に伝えただけで終わっては意味がありません。
プレゼンを通して誰かを動かした時点でやっとプレゼンをした意味を成すのです。
そのうえで、この本全体を通して私が感じたことは、「何のために」という目的を意識することがいかに大切かということです。もちろん、スキルやノウハウについても述べられていますが、根幹にあるのは「意識」だと感じました。
「何のためにプレゼンをするのか」「(どこで)誰に、何を、どうしてもらいたいのか」というようなゴールがはっきりしていないと伝わるものも伝わらないということです。
普段パワーポイントや資料作成の際、特に何も考えることなく、とりあえず作り始めてみるなんて経験はありませんか?
「誰のために」「なんのために」これを意識するだけでも、自分が資料作成にあたって、プレゼンをするにあたって、何をしなければいけないのか、どうすれば伝わるのか、どうすれば動いてくれるのか、が自然と見えてくるということです。意識することは誰にでもできると思うので、ここから始めてみてもいいかもしれません。
ただ、意識の話だけしてもピンとこないと思うので...
じゃあどうするか。具体的な方法を3つ紹介します。
(本書にはもっといろいろ深く書かれています!)
①ピラミッドストラクチャーで考えろ
②正しいことを言うだけでは人は動かない
③相手が動くために、できることすべてをやりきる
①ピラミッドストラクチャーとは…
話には結論があり、その結論を一番上に、根拠をその下に並べたものです。根拠は複数あることが多いので、三角形、つまり、ピラミッドのような形をしているので、「ピラミッドストラクチャー」といいます。(下図)
結論を言ってから根拠や具体例あげていこうよっていうPREP法と同じですね!(笑)
②正しいことを言うだけでは人は動かない
先ほど、プレゼン力とは人を動かす力だと言いました。人を動かすことがゴールなわけです。そんなときにただただ正しいことを並べても、人は理解や納得はするかもしれませんが、行動にまでは移しません。そんなときに大切なのが、イメージをさせて感情を揺さぶるということです。
例えば、買い物をするとしましょう。この商品は性能がとてもよくて、売れているという事実があるとします。でも、もし自分がその商品を使って、とても快適になるイメージや楽しくなるイメージがわかなければ人は買うという行動にまでは至りません。「すごい商品だね」という感想で終わります。その商品を自分が使ってみて、快適になったり、楽しい時間を過ごせていたり、QOLが上がったり、そういうイメージができるからこそ買うという行動に至るのです。
つまりは、プレゼンでも同じことが言えます。事実や根拠、数字をいくら並べても、聞いている人にとって利益になるイメージを持たせなければその人を動かすことはできません。
そこで、魔法の言葉があります。
「皆さん、想像してみてください。」 「素晴らしいと思いませんか?」
人はこのように促されると自然と想像してしまうものです。この一言を入れるだけでも、相手のイメージを築き上げやすくなります。プレゼンにおいて、聞いている人の中でイメージを築けたからといって100%人が動くのか、それはわかりません。他のプレゼンスキルや要素ももちろん大切です。でも、言わないよりは言ってみる方がいいですよねって話です。
③相手が動くために、できることすべてをやりきる
ここで言いたいのは、プレゼンしている時間だけがすべてではありませんよということです。みなさんわかっているとは思いますが、プレゼンには準備が大切です。何回も何回も練習が必要です。相手の目線になって、どういう言い回しがわかりやすいのか、どのような声のトーンで、どのような身振り手振りでやると話が入ってきやすいのか考える必要があります。ここまでは誰でもわかります。それにプラスして大切なのは、プレゼン前後のアクションもトータルで設計していくことです。
たとえば、プレゼン前の根回しだとか、そもそも席の配置をどうするのか、直前の軽い挨拶、プレゼン後のフォローなどです。
プレゼン前に聞き手の方とコミュニケーションを取り、距離を縮めておくこともいいでしょう。何かの提案であれば、事前に可能な限り、「こういう話をします」と聞き手に情報提供しておくのもいいでしょう。あえて、プレゼンに複数のツッコミどころを用意しておき、プレゼン後の質疑応答が活発になるようにしておいてもいいでしょう。
プレゼンだけ全てを伝えなきゃ、プレゼンで失敗したからもう終わりだ、そうじゃないんです。プレゼン後にいろいろなことを行って、最終的に相手が動けばプレゼンのゴールは達成です。プレゼンの前後まで考えてトータルで設計していくことを意識してみてください。
長くなりましたが、特に手がつけやすいところを3点紹介してみました!
以前ご紹介した、10秒で決めるテレアポ&電話営業術と同じように、
・文字数が少ない
・行間のスペースがあいている
・図や絵が入っている
ので読みやすい本です!
また、伝えるためのスキルや意識、やるべきことが書いてあるだけではなくて、実践編として、これから私たちが働くなかで直面するであろう場面を5つピックアップし、具体的な対策方法が記されているので活用しやすいです!
少し筆者の紹介をすると...
グロービス経営大学院客員教授である著者伊藤羊一さんも昔は会社での提案や会議での説明さえ大の苦手で「君のいっていることは、まったく理解できない」と言われたことが何度もあったそうです。ですが、現場で少しずつ「伝えるスキル」を磨き、最終的にはソフトバンクの孫正義社長の前でもプレゼンを行い「おもしろいね、任せてみたいね!」とコメントをもらえるほどにまでプレゼンスキルが向上したとのことでした。
最初から得意な人からの伝授ではなく、苦手だった人がそれを乗り越えた経験に基づいた本であるので、共感ができ、私自身も変われるのではないかと思っているところです。
プレゼン上手くなりたい、もっと簡潔にしゃべれるようになりたい、
こんな思いを持っている人はぜひ読んでみてください!
長々と失礼しました(笑)
読んでいただきありがとうございます😊
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