大富豪アニキの教え 丸尾孝俊

 この本は、貧乏人から大富豪までなりあがったアニキと、人生を変えたいと願いアニキに会うためにバリ島まで足を運んだ鈴木一郎さんの99%実話のストーリーになっている。
 読んでいると、まるで自分もバリの豪邸にいるかのような気持ちになれる本で、人生を変える25の教えを二人の会話調で書かれたものだった。
 430ページもの分量のため、読み切るのには時間がかかるが、読書が苦手な私でも不思議と苦ではなかった。

この本を読んでみて・・・

 私の在りたい姿、理想の人物像の一つに人脈が広い人というのがある。
とはいっても、ただ広ければいいわけではない。よく聞く言葉で、広く浅く、狭く深く、というのがあるが、私が目指しているのは「広く深く」である。でも、だからといって具体的にどうやって広く深くするのかは考えたことがなかった。人材業界で仕事をしておけば、いろんな業界の人との接点ができて、自然と広く深くなるだろうくらいにしか考えたことはなかった。

 では、現時点での私の人脈はどうなのか。
 私の性格上、人見知りはしないし、フレンドリーに初対面の人とも話してきて、これまでの22年間の人生、自ら機会を求めて海外に行ったりなんかもして、人との出逢いも多い方だと思ってきた。しかし、振り返ってみると、深く=信頼している、自分の素を見せられる人は正直片手で数えられるくらいしかいない。この事実を自分の中で見つけたとき、「あれ、友達少ないな…」と少し絶望的になった。が、この本を読んだ後には、その絶望感が希望にかわっている自分がいた。
 どういうことかというと、まず一つ、今まで自分はフレンドリーだと思ってきたけど、本当に自分をさらけだせていたのか、この人とはあまり合わないなと勝手に壁をつくってしまっていただけなのではないか、ということに気づけた。信頼できる、素をみせられる関係になれない理由を相手側におしつけていたのではないかと思えた。
 素をだせる関係になるために、信頼できる関係になるために、自分は相手に対して何か行動したのか、自分とは違う価値観を受容する心はあったのか、相手のことを自分ごとのように考え、自分の時間を相手のために使う行動を見せてきたのか。
 十人十色というように、100%合う人なんていないのである。いろんな価値観をもつなかで、その人の中のほんのわずかな自分との違いに焦点をあてて、この人とは合わないなと思い、壁をつくってしまっていては、広く深くなんて到底無理な話である。なんなら、相手からしても私の気に入らない部分や合わない部分があるのだから、「お互い様」である。「お互い様」と思えれば、許せる心、歩み寄る心が自然とわいてくる。私が相手を信頼しなければ、相手だって私を信頼するはずがない。
 こんな当たり前のことを今まで気づかずに、知らず知らずのうちに自分で関係を浅くしていたのである。
 今まで私がとってきた行動はまさしく、浅く広くだったのだと思う。
そんな大事なことをこの本を通して気づけた。しかし、決して、これまで出会った人たちは素が見せられないからといって仲が悪いわけではない。
だからこれから、この広く浅くつくりあげてしまっていた人脈を、これからの自分の行動で広く深くにかえていこうと思う。そしたら、私自身、理想の人物に大きく近づける。そして、この思考を常に持ち合わせていれば、これから出会う人たち、同期のみんなとも、深く、信頼し合える関係になれると思う。というか、そういう関係にする。

 こんな感じで、この本はどこか自分が優しくなれる本だった。今はまだまだ未熟だけど、これから先、良い人になっていける気がする。本当の優しさを持つ人間になるためのヒントがあふれている本だった。
 とはいっても、信頼関係を築きあげるための言葉や振る舞いだけではなく、人としての在り方、大富豪になるためのお金の使い方、成功失敗の考え方、仕事で生き残る人はどんな人なのか、どうすればこれから先生き残れるのかなどなど、社会人として、というより人として一度きりの人生を成功させるカギがたくさんつまっていた。
 しかし考えてみると、結局はどれも、「相手を自分ごとのように大切にする心」につながっていて、NCSの中の「他人ごとではなく自分ごと」という言葉がとても腹落ちした。

 綺麗ごとにきこえる言葉たちかもしれないが、それをどう受け取るか次第で自分の人生は決まるということだけは忘れないでおきたい。

 相手の失敗をも「自分ごと」と考えられる「器」を持たなければ、人望のある人になんかはなれない。失敗を共感するためにも、お互い様と思うためにも、20代のうちにたくさんの失敗を経験しておきたい。そのためには挑戦し続けること、やってみること。これに限る。

本と出逢うってこういうことなんだなと思える一冊だった。

今すぐにでもバリ島に行ってアニキと話してみたくなる本です。
ぜひ皆さんも読んでみてください😊



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