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S「月」

これはしんどいなぁ。
飲み会の前に観る映画じゃなかったなぁ。
心の準備をして観なければいけないし、なんならその日はこれ以外の予定を入れない方がいいです。
問題作、渾身の出来、傑作とかっていう言葉で片付く類のものではない。
取り敢えず観た方が良い。
面白かったから観てみてではなく、観た方が良いのがしっくり来る。

障害者施設で起こった大量殺傷事件と言えば、皆が思い出す事件がある。
あの事件が起きた時、ワイドショーでも取り上げられて、ネットでも話題になっていた。
多くの人が優生思想や障害者施設の実態について思考を巡らし、議論をした。

なんて他人事だったのか、いや、あの時は色々考えたよ。でも足りていなかった。
見て見ぬふりをするということがどういうことなのか、明確に分かった気がした。
自分の嫌な部分を首根っこ掴まれて、間近で見させられる感覚。とにかく辛い。
でも見ないと。一生目を逸らし続けるわけにはいかないのだから。

そして今この現実が思ったよりも絶望の淵に近いと知った。
自分は悪人ではない、なんだったら善人寄りであると思っている人は多いのではないだろうか。
私はそうだった。
でも私はこの先どうやっても善人にはなれない。
それが分かって、人間であることが嫌になってしまった。
善人になりたいわけでもない、善人でなければ人間では無いとも思わない。
何だか今までよりも善というものが遠くに行ってしまったような気がする。
到底辿り着きそうもないが、それでも生きなければと谷から突き落とされたので
諦めず頑張ってみようと思います。

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