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これぞ琵琶湖の奥座敷? 長浜市・三谷旅館

琵琶湖ってどんなとこ?

ある日、職場で一緒に働いているフィリピン人の方から、琵琶湖ってどんな観光地があるの?、と聞かれました。

うーん、京都ほど大きな街はないけど、古い街並み、お城、水族館のある博物館があるし、湖水浴をできるくらい、北の方だと水が綺麗だし、関西の人にとって、身近な少し田舎の海辺の街みたいな感じの観光地かなあ、と答えました。

とはいえ、私が20年くらい京都に住んでいた当時、琵琶湖は少し近過ぎて、彦根、山東、堅田あたりにしか泊まったことがないことも思い出しました。そして、あの有名な長浜の黒壁スクエアさえ、通り過ぎてただけだった事にも気づきました。

ということで、今回、琵琶湖観光の中心地、黒壁スクエアに行くことにしました。そして地元を感じられそうな超アットホーム系と高評価の町家旅館、三谷旅館にお泊まりすることにしました。

黒壁スクエアとは?

黒壁スクエアというのは、伝統的な黒漆喰や町家等の建物が立ち並ぶ旧市街です。1980年代にショッピングモールが郊外にでき急速に廃れそうになった時、立ち上がった第三セクターの株式会社黒壁がこの旧市街を見事に再生し、年観光客 200万人以上、リピート客率40%以上を達成した一大成功事例の観光的な聖地です。

その中心となった建物は1900年建築のかつて黒壁銀行と呼ばれ、今はガラス館と呼ばれる元銀行の建物です。もし、ここをガラス製品を売るだけの店にして終わっていたなら、すぐにまた廃れていたかもと思います。でも、黒壁は体験講座や美術館、飲食施設、伝統文化のアピール施設等を上手に展開し、人を集めるのに成功したようです。黒壁の理念は、「お客様に常に新たな感動を与える」、だそうで、その目標の高さにも感動させられます。

黒壁ガラス館


期待通り、三谷旅館!

駅から歴史感ある街並みを楽しみつつ三谷旅館に到着すると、ご夫婦揃ってお出迎え下さいました。荷物まで部屋に運んでいただき恐縮です。期待通り、町家ならではの瑞々しい通り庭と坪庭、繊細な数寄屋造りが迎えてくれました。

奥庭が綺麗に見える部屋に荷物をおろすと、特に頼んでいなかったのですが、「長浜は初めてですか?」、と優しいご主人が地図を開いて、長浜について驚くほど丁寧に教えて下さいました。

さらにその後、私が街に出かけようとすると、玄関の開く音を聞いたご主人が後を追いかけてきて、こちらの道がおすすめですよ、と町の観光ツアーをして下さいました。

美しい奥の庭
風情ある坪庭
贅沢に前室までありました


長浜市は空襲の被害を受けなかったため、古い街並みと文化がそのまま残っているそうです。長浜の街には13の山組という、曳山祭りの山車、曳山を引くための町内会があるそうです。それぞれ結束がとても固く、それが長浜の文化を長く支えてきたそうです。

曳山は長刀山に太刀を飾り、それ以外の12基に四畳半の歌舞伎の舞台が設置されていて、小学生までの男児がそこで歌舞伎を演じるのだそうです。この三谷旅館も翁山(おきなざん)の山組の一員だそうで、息子さん2人を含めて代々、大役を務めてきたとのことでした。費用や長い行事に全て参加する負担も大きい一方、役を受けることは家にとって大変名誉なことの様で立派な記念写真の数々が誇らしげに食事の間に飾られていました。

本来、この歌舞伎は町内に住む男の子でする必要があるものだそうですが、近年は町家を日中に店として使うだけで実際に住む人が減った上、高齢化してきたので、親類縁者を頼るなど、人集めが大変になっているみたいです。

通常は年に4基で行うとのこと


こんな感じに色々なお話を聞きつつ、七本槍という辛口の日本酒と共にいただいた地元の食材の夕食を本当に美味しく驚きました。杉の香りに包まれるお風呂も最高でした。水回りがとても綺麗にリフォームされていて、歴史ある町家の良さを一段と引き立てている素敵な建物だなあ、と感じました。

いや、これは長浜やこの旅館のリピーターが多い理由が本当によく分かりました。無機質なホテルに飽きたら、この街、この宿に行き着く人、さぞ多いだろう、と感じさせられた素敵な宿でした。

この透き通った水の中を琵琶湖から鮎が次々と街中へ登ってくるそうです
迎賓館 慶雲館入口
茶室
小川治兵衛作庭の庭
慶雲館
鳳凰のシャンデリアのライトアップ
個々の造形もかなり細かくビックリ
ガラス館の夜景

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