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Your Time Starts…. NOW. | Taskmaster

珍しく公式で日本でもYoutubeで全シリーズフルエピソード観られるエゲレスの”ゲームショー”というジャンルの超人気コメディ番組「Taskmaster」。


Taskmaster - YouTube

主にコメディアン、TV司会者((*1))とパネリストやら俳優と言った計5名が1シリーズ((*2))与えられた課題を毎週次々こなしていって、最終的に優勝した者のみ手にすることの出来るタスクマスターである総合司会兼審判のロード・グレッグ・デイヴィース((*3))の金ぴかの頭のトロフィー((*4))を争うと言う番組。

最初に各回の得点が一番になった人にあげる贈呈品を競うタスク、次に個人または団体で予めタスクマスターハウス及び各ロケ地で収録されたタスク何本か、そして最後にスタジオで生で行うタスクで構成されており、各タスクをはすべてタスクマスターであるロード・グレッグ・デイヴィースにより0~5のポイントで評価され合計数で勝ち負けを競う。((*5))

タスクそのものも面白くて「私だったらどうしてたかな?」なんて考えたりして観るのが定番の楽しみ方。単純なタスクと思いきや隠しコマンドがそこここに隠されている時もあったりしてビデオ編集が巧みな事もあり目が離せない。出演者の発想力と想像力や機転の良さに驚かされたり、時には偶然が織り成す芸術的瞬間に遭遇し感動したり。発想は良いのに上手くいかず燦燦たる結果に終わってしまったりして予想外の展開も多く、タスクマスターの傲慢な点数の付け方に不満がある出演者がぶちぎれたりして(その逆もあり)とにかく面白い。

だがしかし何と言っても番組の目玉は、タスクマスターのグレッグとそのアシスタント(と言う設定の)リトル・アレックス・ホ~~~~ン(←必ず裏声で!!((*6)))。この二人の掛け合いとそこに現れる奇跡としか思えない化学反応が絶妙!!特にアレックスが「ポケットの中に何があると思う?」と言う問いの後のグレッグとのやりとりは最高だった。まるでそれだけで上質のコントか漫才をみている気分でなります。

後、当然、シリーズを通して白い紙にタイプライターの字体で書かれ三つ折りにされTMの文字で赤く封蝋された((*7))シンプルながらもエレガントなタスクの出し方、タスクマスターハウス全体の外装と内装((*8)) や絶好のロケーション((*9)) 、絶妙な編集とそのテンポの良さ、タスクマスターアシスタントであるリトル・アレックス・ホ~~~~ン率いるバンド、ホーンセクションの奏でるBGMもこの番組で重要なカギを握っていると言っても過言ではないだろう。

更にこの番組で興味深いのが各シリーズの初回で出演者の事を全然知らずぱっと見ちょっと苦手かも、と思ってた人も、何故かシリーズの中盤まで来ると一番応援していたり大好きになってしまっていたりすること。ワオワオで大昔にUKコメディ枠で放送されていて大変苦手だと思ってたコメディアンの人が実は超お茶目で純粋無垢なおじさまだったんだと気づかされたのもこの番組のおかげ。特にシリーズ10なんて最初は酔っ払いが二人居るんだけど…と正直最初の回はドン引きで、このシリーズは最後まで観られるかな…なんて不安になったのでけど大間違いで、そのうちの一人デイジー・メイ・クーパーはシリーズが終わる頃には逆に最も好きな出演者となっていた。((*10))

エゲレスのテレビは観る気機会もなくこの番組で知った出演者も多いのだけど、多分普段は聡明で知的だと思われているのだろうなと思う人がとんでもないへまをしでかしたり、何か言ってもタスクマスターに全くけちょんけちょんに扱われたりして、その事実を本人も半分喜んでいる雰囲気もあって、その意外性が楽しい。

タスクマスターのファンそれぞれ個人個人お気に入りタスクは異なってくると思うけど、私は創造アート系タスクがやはり好きで、シリーズ11の団体タスク、イギリスの動物を横割りで描いていくと言うものは描きあがった絵そのものも素晴らしい出来だったのだけど、それをわざわざ実際3D化したものを作って「立体化するとこんな感じになります」ってちょろっと出していて、それがグッズにしてくれたら売ってくれたら即買う勢いの精巧さ且つ可愛さで、テレビに映ったのは本当に一瞬なのに芸が細かい事この上無かった。

数あるタスクの中においても、ボブ・モーティマーが作ったバナナのビデオは古典的芸術作品として多くの人の心に長い間残るものであることは間違いないし、ロザリンドと言う見ず知らずの女性からその場である程度の情報を本人から聞き出したうえで歌にしてロザリンドの前で披露すると言うタスクは顎が落ちるかと思うくらいびっくりして椅子から転げ落ちそうになるくらい笑いまくるという巨大なインパクトだった。

等と、タスク自体を話し出したらキリがないのでやめておくけど、何と言っても私のベストタスクはシリーズ8の「実写版ビデオゲームを作ろう」!最初のタスク自体が昔のドット絵で作られたビデオゲームになっていると言う凝りっぷりで、一番興奮したのがジェシカ・ナペットが作ったマリオカートの実写版。あれは絶対楽しい。

しかしながら現在こんなに褒めまくっていて減点ポイント等一切無いのに、実の事を言うと割とこの番組の事はYouTubeオススメ経由で早い時期に知っていて、気になるコメディアンの方が出ていたりしたこともあり何個か個々のタスクを再編集されたものを見て、正直あまり面白くないなと思ってしまっていたりしました。でも気になってはいて何故かチャンネル登録だけして長い時間が経ち、ある時最近のアマゾンプライムがつまんなすぎて何となくその時エゲレスでオンタイムでテレビ放送されていたシリーズ12の途中の回を途中で見るのやめるだろうなと思いつつエピソード丸ごと観てみたのだけど、これが面白くて面白くてシリーズ12を順番滅茶苦茶で全部観てしまい、その後各シリーズに特性があって捨てシリーズなぞあり得ない素晴らしさである事に気づき、結局何か月かに渡り12シリーズ全部観ることになりました。((*11))

本当に気に入ったマニア向けの公式ポッドキャストもあります。シリーズ9の出演者であり、毎週の更新が一番楽しみにしている愛聴ポッドキャスト「Off Menu Podcast」進行の一人((*12))、エド・ギャンブルが司会。オンタイムで放送がある時はその週のエピソードが語られ、そうでない時はポッドキャストが始まる前に放送されていた過去のエピソードを振り返っています(当然番組を観てないと全く意味不明なポッドキャストです)。

Taskmaster The Podcast | Taskmaster

その回のタスク全てを振り返りあれやこれや議論したり、実際に主演した出演者がゲストの回なんかはスタジオやタスクマスターハウスでは実際どんな感じでタスクが行われていたのか知ったりできて面白いです(ここに書いた情報も大体このポッドキャストで仕入れた情報です)。特にアレックス・ホーン自身が振り返る回は毎回面白いし、アレックスの親友で第1シリーズ出演者、現在もタスク・コンサルタントを務めるティム・キーがゲストの回の第1シリーズ収録後に出演者数名で突発的に独ケルンに一泊旅行してブランチだけアレックスも合流した話が夢の様でした。

最後にその他のタスクマスター関連オススメポッドキャスト2つ

Off Menu Podcast

シリーズ8出演のジェイムス・エイカスターとシリーズ9出演のエド・ギャンブルの二人の案内人による料理ポッドキャスト(聴き始めたのはタスクマスターにハマるなんて想像もしていなかった2021年初め頃)。毎回様々なジャンルで活躍する一人のゲストを迎えジェイムス・エイカスターがジーニーとなり、お水のチョイスからデザートまでのフルコースの夢のレストランが実現します。

基本的にはやんちゃだけど育ちの良さも隠せない大変好青年と言ったカジュアルな語り口な二人なのだけど、エド(食べ物のシェアなんてあり得ない!!俺の食べ物も全部俺が食う!)は前菜をパスするとぶち切れ、甘いものに目がないジェイムズ(3度の飯よりアイスクリームが好き!)はデザートが甘いものじゃないとマジ切れして面白い。

2021年分で聴いて損がないのは名優ティモシー・スポールと料理研究家ジェイミー・オリバーの回。スポールさんのインタビューと言うだけでも贅沢で貴重な感じがするんだけど、話題ごとに色んなキャラになりまくっていて根っからの俳優なんだなと感心しました。((*13))ジェイミーの回は収録がジェイミーの事務所で行われていつもよりアットホームな雰囲気で番組内のジーニー「Poppadom or Bread!!!!!????? Poppadom or Bread,(ゲストの名前)!!???Poppadom or Bread!!!!???????」でもおなじみのpoppadomのご試食付きと大変贅沢。しかし番組後は肝心の料理ではなく何故かパンツ(男性用下着)の話しか記憶に残らない((*14))と言う異常な回。

2021年より前になるけど(私が聞いたのはタスクマスターで知ってからなのでごく最近)、タスクマスターシリーズ10出演者、デイジー・メイ・クーパーのゲストの回では、デザートでジェイムズがマジ切れし最高の結末を迎えた。マクドナルドのポテトが大好きなデイジーが皮付きポテトの事を「単なる怠惰だ」とコメントしていたのが新鮮で、ああ、そういう考えもあるのかと気づかされました。

その他、今思い返せばタスクマスター出演者だったと言う人もたくさん出演しています。

You're Dead to Me | BBC Sounds

タスクマスターの大ファンでもある(と知ったのは最近だけど)グレッグ・ジェナーが毎回一人の人物やある歴史的出来事等一つの項目に焦点を当て、専門の歴史学者とコメディアンを迎え色々知識を深めていく歴史娯楽教養番組。毎回最後におさらいテストもありどれだけ覚えていたか(全く覚えていないか)も試せますが、歴史に興味が無い人は全然面白くないとは思います。

*1)) 第2シリーズでタスクマスターに紹介の際度々茶化され「テレビ司会者」と紹介されていたリチャード・オスマンさんは、ひょっとすると日本の海外ミステリファンの方なら、じいちゃんばあちゃんがしゃしゃり出てくるミステリ「木曜殺人クラブ」の作家としてご存じの方もおられるかも知れない

*2)) シリーズによってエピソード数は異なる。最初は6話、5話となり8話に増え現在は10話

*3)) 何故ロードなのかは番組を観てのお楽しみ

*4)) これがあまりと言うか全然本人に似ていない。ちなみに第一回はまだ続くかも判らない状況だったらしくトロフィーを作っておらずどっか適当なトロフィー屋で買った様な空手の蹴りをしている男性のちゃちいトロフィーが贈呈された。しかしそれが「Champion of Champions」特番で思わぬ珍事が発生し感動のフィナーレを迎える事となる

*5)) この判断が疑問符がつく偏ったものも多いのだけどその暴君ぶりが時に大変酷く、この番組の味ともなっている。

*6)) リトル・アレックスは「リトル」と言われながら本当は背がむしろ背が高いのだけど巨人グレッグの隣ではどうしても小さく見えると言うところも可笑しい。実は番組を作っているのもタスクを作っているのもすべてアレックスで、元々はエディンバラ・コメディ・フェスティバルで前年に親友であるティム・キーが賞を獲ったのが悔しくて考え出した夜通しで行われた単発イベントが起源。(親友ティム・キーは第一シリーズに出演していてその後も「タスクコンサルタント(←パブに二人で話すお仕事)」としてクレジットに載っている。)アレックスは事あるごとにグレッグにはとことんまで馬鹿にされているのだけど、実際のアレックスは背の高さだけでなくどちらかと言うと色んな企画を思いついたり自分の名前を冠したバンドを率いたりしてるのでむしろ皆を先導するグレッグに似たキャラなのでは無いかなと思う。全然話がそれるけど番組内で「口笛が吹けない」「叫び声が出せない」と言う私との共通点があることが判り親近感が湧きました。

*7)) タスクによっては別の方法で出される事もある。シリーズ8では日本がテーマだったので封蝋の押されるスタンプが通常のTMではなくナホ(多分これがTMに一番近いカナ(←洒落ではない)?)だったのが日本人から見たらちょっと違和感があり過ぎた事実も否めないのだけど。

*8)) 各シリーズ毎にテーマがある

*9)) 鉄道や公園、教会にサッカー場、更には飛行場!!等シリーズ毎に様々

*10)) どう見てもカバに見えない絵でチームメイトであるリチャードに「どう見てもカバだろ!!!」とスタジオでマジ切れした回は皆が今でも皆が語り継ぐ伝説となっている。

*11)) 結構そういうファンもいるみたいで、番組の大ファンのであると熱烈アピールし公式ポッドキャストに出演していた歴史学者で愛聴しているBBC Soundsの歴史を楽しく紹介するポッドキャスト「You’re Dead to Me」の司会のグレッグ・ジェナーさんも最初のシリーズを見た時「これは成功しない」と思ったらしい。その見解はとんでもない間違いとしながらポッドキャストでは更にタスクマスターの素晴らしさを語りまくっているのだけど、そのポイントが悉く私と一緒で可笑しかった。激はまりの人間はこんな風になるんだな…と思わされた瞬間。プライズタスクの一例でスウェーデン国王に贈られたと言うライオンの剥製の話をしたり歴史的観点からタスクマスターの愛を語られて大変嬉しくなった。

*12)) もう一人の進行役であるジェイムス・エイカスターもシリーズ8に出演。色んな意味で爆裂しています。

*13)) 聴く前に息子さんのレイフ・スポールの回を聴いておくとより楽しめます。

*14)) ジェイミーだと判っているのでそんな変には思わない(?)けど単に40代半ばの小太りのおっさんが30代半ばの青年達に自分のお気に入りパンツの銘柄をごり押しすると考えるとだいぶ変

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