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Taskmaster Series 1

当時最新だったシリーズ12(しかもシリーズの途中)から観始めたタスクマスター。
更にどんどんさかのぼっていくと言う方法でシリーズ9まで来たところで方針を変えシリーズ1から8までを観る事にしたので、タスクマスターの栄えある第1シリーズは出演者を含め12シリーズの内でもかなり気に入ったシリーズであったのは確かながら、そこまで「これが原点のシリーズ、全てはここから始まったのだ」等の意識もしていなかったのだが、今回改めて見直してみて、全6エピソードと現在の10エピソードに比べるとほぼ半分にも関わらず、12シリーズに渡るタスクマスターのエッセンスがすべて凝縮された最高傑作だと気づきました。

Series 1 - Full Episodes | Taskmaster - YouTube

タスクマスターハウスの装飾等、シリーズを追うごとに徐々に付け加えられていくディテールは当時まだ存在していないものの(アレックス・ホーンもまだリトルではない)、現在も一貫して存在する唯一無二の雰囲気を含め、タスクマスターが何たるかのすべてがもう既にこの時点で成立してしまっている。
しかしそれ以上に驚かされるのが競い合う5人の挑戦者の適応力。シリーズ2以降なら挑戦者たちもまあどんな感じなのかある程度前知識を入れて取り組めるけど、英国によくあるパネルショーやゲームショーと比べても前例のない番組形式で、突然タスクを書いた紙を渡され、しかもスタジオに来るまで他の人がどの様にアプローチをしたか、又、結果を出したかは一切判らない状態で闇雲に競い合うと言う条件下で、ここまで柔軟に意欲的かつ懐疑的にタスクをこなすのは至難の業だっただろうなとつくづく思ったと同時に、恐れることを知らない挑戦者達のひたすら果敢に大胆に挑む姿勢が視聴者に格別な喜びをもたらしているのだと言う確信に至った。
とりわけお気に入り挑戦者達はロメシュ・ランガネイサン、ティム・キー、そしてフランク・スキナー。
当然ロメシュのベストタスクは全ての扉を開けてくれたすいかタスク。


エド・ギャンブルもポッドキャストで言及していたが、ロメシュ・ランガネイサンがすいかを床にたたきつけた瞬間に真の意味でのタスクマスターが幕開けしたと言うのは正しい。

ティム・キーのベストタスクは「ショッピングモールで55歳にハイタッチ」。


スタジオではグレッグ(タスクマスター)と他の出演者からチャリティをネタにハイタッチを強要した点を咎められていたけど、そもそもその人が55歳なのかどうかを聞く前にハイタッチしているのだから、そこまでのプロセス自体で十分評価されるべきだと思う。この奇跡の瞬間に至るまでのティムのアプローチの仕方が、タスクマスターお得意のBGMとリズミカルな編集のおかげで極上のサイレント映画の様!「巻き戻し動画を作ろう」タスクでも思ったけど、ティムはコメディアンである前に「詩人」と言う肩書がついているので、当然言葉を巧みに操る物語を紡ぐ人ではある事は間違いないけど、言葉無しのコメディも文句無しの一級品だと確信できるシリーズ。
そして「タスクマスターのティム・キー」と聞いて真っ先に思い出すのが、黒ネクタイに上下赤ジャージー、パツパツの白のヘアバンド姿。今でこそどんな服で挑むかもタスクマスターの見どころの一つになっていて、割と個性的で奇抜なコスチュームを選ぶ挑戦者も多くなっていて、少々変な服でも見慣れたものになってしまっているが、このシリーズではほかのみんなは普段着で、ここまであからさまな「タスク頑張ります!」な恰好をしているのはティム・キーのみ。彼がこの服で挑んでいなかったら、その後の挑戦者がここまで個性的な服で挑んでいるかどうかは疑わしい。(そもそも第一シリーズでティム・キーが居なかったらここまで長く続くシリーズになっていたかも自体疑問。アレックスの親友だからと言う理由だけでなくタスクコンサルタントとして現在も名前が残っているのも当然で、それくらい彼はタスクマスターの陰の貢献者だと思う。)
そしてフランク・スキナーが歌を歌いながらスタッフ(とアレックス)の涙を収集するタスクも絶対に外せない。

絶妙なバランスの可笑しさに笑い転げながらもどこか郷愁の美までが漂う華麗なるエレガンスなひと時。参加させられているスタッフの皆さんがまたいい味を出している。
そして、チームタスクをロシーン、ジョシュ、ロメシュ(若者グループ)、ティムとフランク(高齢者グループ)で分けてくれた事にも感謝したい。この2グループのアプローチの仕方の違いがとにかく絶妙。しかし何と言ってもとりわけ子供のまんま大人になった様なティムとフランクの二人が同じ画面に収まりニコニコしてタスクをこなしている間に起きる化学反応が巻き起こす破壊力が凄い。



最終のチームタスクとなった「ハプニングビデオっぽいビデオを撮ろう」のティムとフランク版は文句なしの永遠の名作。ハプニングビデオの中にもう一つのハプニングがあって撮ろうと思ってももう二度とこんな傑作には仕上がらないだろう。
そして
挑戦者の一人ひとり、タスクの一つ一つが素晴らしいシリーズではあるけれど、忘れてはいけないのが



タスクマスターのアシスタントであるアレックス・ホーンの存在。
全シリーズに渡りアレックスに変な事をさせたりとんでもないものを食べさせたりと言うのがすっかり定番のパターンになっているのだけど、それは実はシリーズ1で彼の親友でもあるティム・キーがドッグフードを食べさせていたり、ロシーン・コナティが歯磨き粉パイを食べさせていたりして(彼女は中に歯磨き粉が入っているなんて夢にも思っていないのでティムのドッグフードとは少々意味が異なるが)、そもそもここから始まったという事が判る。いつも出演者の傍で口出しもせずに黒いスーツでしかめっ面でタスクの進行具合を凝視しているアレックスはちょっと怖いとか近寄り難さも感じさせる部分もあるのだけど、これもティム・キーがシリーズ1で各タスクを実行する上でのアレックスの正しい扱い方を定義づけてくれた部分が多いと思う。
とにかく改めて見直すことによって見えた部分もたくさんあったし、1度目より2度目の方がより笑えたので、見返してみてよかったです。ただ、やはり、もう二度と実現しないだろうこの5人の挑戦が6エピソードしか無いのは本当に残念。
--- おまけ ---
最近聴いたタスクマスター関連ポッドキャストのオススメの回。
The Adam Buxton Podcast
(Ep. 174 - Alex Horne & Ep. 175 - Tim Key)
アダム・バクストンのポッドキャスト、アダムの友達であるアレックス・ホーンの(ep. 174 4月25日更新)と、2020年1月の3人のニューヨークの旅の内容が共通するので、その2ー3日後に呼応するように更新されたティム・キー(ep. 175 4月27日更新) の回。
ティム・キーの方は特にアレックスが彼にとってどんな存在なのかが判るし、自身の著書の宣伝を兼ねてのゲスト出演なので、2冊の著書がそれぞれ正にロックダウンの時に書かれた事もあり、当時のイギリスのロックダウンの雰囲気が肌身で感じられるお話もあり、ところどころにキーによる詩の朗読も入ると言う贅沢なひと時まで味わえるのでタスクマスターファンならずとも必聴。
ゲストで彼らが連続で出るから聴いた訳ではなく普段から聴いているポッドキャストなので、突然彼らの名前が数日おいて連続で画面に現れた時は嬉しかった。この回以外だと特に学生時代からの友達である映画監督で脚本家のジョー・コーニッシュとお届けするアダム&ジョーの回が面白く、最新のアダム&ジョーは昨年の定例クリスマススペシャル。(更にドキュメンタリー作家のルイ・スルー(日本表記はセロー)も同級生(ただしスルーは飛び級。今では年齢差は全く感じない3人だけど(でも3人でしゃべっていると何となくスルーがキャラ的にも二人の弟っぽく聞こえる。)当時の一年飛び級は見た目からも全然違って他の皆からは奇妙な目で見られたのに、アダムとジョーはすんなり仲間に入れてくれて今でも感謝していると言うのを聞いて、いかにもアダムとジョーっぽくて良いな~としみじみ思った。そんな始まりで今まで変わらず続いている友情と言うのがまたいい。)が加わる回もあってこれが最強に面白い。100回記念特別放送。)アダムとジョーは1年前辺りに初めて知り、最初に聴いたアダムとジョーの回で二人の掛け合いが速攻気に入ったのだけど、その後過去のアダムとジョーの回やBBC 6 Musicの10年以上前の土曜朝のラジオ生放送を歌部分を省いてポッドキャストにまとめたものやらを穿り出したりしたら、積み重ねのネタが(面白ジングルやら女王のスピーチとか(大丈夫なのか??)やら)元々ラジオ放送が発端になっているものもかなり入っていてああこれはここから来ているのだなと後から判って更にじわじわくるものもあると判ったので、もし気に入ったら色んなアダムとジョーを検索して掘り起こして聴いてみるのもオススメ。
Off Menu Podcast with Ed Gamble and James Acaster
(Ep 146: Jamali Maddix)
4月27日更新、タスクマスターシリーズ11の出演者ジャマリのゲストの回。
ジャマリが主菜に選んでいたニューオーリンズ名物だと言うワニ肉とエビのチーズケーキと言う料理に非常に興味が湧き、ファストフードのチェーンレストランであるらしいWimpyのbeefeaterのマスコットは、聴いてる時は、ロンドン塔にいる大人の近衛兵のイラストをイメージしていたのだけど、視聴後検索したらばこれがまたお鼻がまん丸のほんのりレトロな可愛いキャラでグッズ欲しすぎ(Wimpyのbeefeaterのマスコットキャラ(スクロールかなり下))と、色々と興味がわくわく楽しい回だったのですが、何と言ってもジャマリがジェイミー・オリヴァーの給食革命(と言う邦題だったかかつてワオワオで放送されていたのを観ていた)の正にどんぴしゃの犠牲者で「俺たち世代は皆、給食から揚げ物をなくしたジェイミー・オリヴァーなんて大嫌い!!」と言う発言をしているのを聴いて、ああ、あの時の子供たちももう立派な物事をはっきり言える大人に成長し、タスクマスターを超クールにこなしているのだなあと思うと感動して思わず目が細くなりました。
 
The Frank Skinner Show on Absolute Radio
Absoluteラジオ局で土曜朝に放送されているラジオ番組を生放送終了後すぐポッドキャスト配信していただけると言う有難い仕組み。多分「ラジオ」なだけに聴取者の年齢層は高めかなと思う。タスクマスター第1シリーズ挑戦者のフランク・スキナーがエミリーとアランの二人を交え、何のコーナーもなく、主にフランクがその週に自身にあった事やら思ったこと感じた事をだらだら喋り、それに対しエミリーとアランが口をはさんだり、更にリスナーが反応してそれに対し3人がだらだら答えると言う超単純な放送なんだけど、これが非常に可笑しすぎて最近その存在を知ったのでまだ何回か聴いただけだけどまったく外れがない。ただしおかしすぎるのでうかつに外で歩いている際にヘッドフォンで聴いていると笑いをこらえきれず大爆笑してしまうので(上記のポッドキャストすべてに言えることだけど)気を付けた方が良いです。
 
Taskmaster Podcast | Ep. 15 with Josh Widdicombe
これは随分前のものなのですが、第1シリーズ挑戦者のジョシュがゲストの回。シリーズ通してかなりいじめられていたジョシュと振り返るのは第1シリーズのエピソード3。何が聴きどころかと言うと、この放送の最後の方にスタッフからの贈り物の話が出てきて、これが滅茶苦茶良く、タスクマスターポッドキャスト聴いて思わずうるっとなってしまった心温まるエピソードなので、タスクマスターファンでまだこの回を聴いていない方は(まずシリーズ1を観てからも当然の前提ですが)是非ぜひ聴いていただきたいです。これは絶対に泣ける。

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