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出張…からの、

急な出張で県外におりまして、3日ほど事業所を留守にしていました。
その間、事業所の観葉植物の、てっきり蕾だと思い込んでいた膨らみが
実は花ではなく、新葉だったというまさかの事実と、
またまた新しい仲間がBRIstに加わるという嬉しい報告を受け、
生命力と息吹を感じつつ、しっかりと職務を全うしてきた…つもりです。

出張の合間に、コロナ禍でずっと会えずにいた、
御年98歳の叔母の住む家を訪問しました。
ここ数年はほぼ寝たきりで、時空を彷徨うことが増えてきたという叔母。
もちろん、私のことなどわかりません。
いいんです、初対面でも。
「はじめまして、こんにちは」でも、生きている間に会えたならそれで。

叔母は、一緒に行った私の母に聞きました。
「父さんと母さんはどうしてる?」
母が、もう30年以上も前に二人とも亡くなったと伝えると、
叔母はひどくショックを受けて、
何も知らなかった。葬式にも参列していない。
どうしよう…と嘆き悲しみました。
このやりとりを、1時間の間に3度繰り返したあとに、ふと
「そりゃそうよね~、私がもうすぐ100歳になるのに
親が生きているわけないわね~」と、突如覚醒する叔母。

大きな農家の長男と結婚し、自身の子はもちろん
義理の弟や妹に、甥や姪の面倒までみて、農業の手伝いをしながら
親類縁者やご近所付き合いを、「本家の嫁」として完璧に務めた叔母。
お殿様のような存在だった叔父を、最期までお殿様として見送った叔母。
どんな時も笑顔で、大きな大きな屋敷の中で、ひたすら動き回り
座っている姿を見なことがない働き者だった叔母。

たくさんかわいがってもらって、たくさんお世話になったのに
ありがとうを言う前に恍惚の人となってしまった。
両親が亡くなったと聞き、「寂しい」と涙ぐむ叔母に
初対面の私が掛けられる言葉などあるわけがない。

さて、そろそろ…と帰り支度を始めた私に、「〇〇ちゃん!!」と
突然大きな声で名前を呼んでくれた叔母。
「あ!思い出してくれた?」と言う私に叔母は、「お腹すいてない?」

「お腹すいてない?」は、叔母の挨拶代わりの言葉。
子どもの頃、叔母の家に行くと、叔母は
「いらっしゃい」でも「よく来たね」でもなく
決まって「お腹すいてない?」と聞いた。
どの子にも同じように、「お腹すいてない?」と。

「大丈夫、すいてないよ」と答える私に、
「お腹すいたら我慢しないで言いなさいね」と叔母。
これも、あの時のまま。
若々しく、元気いっぱいで働き者だった叔母と
やんちゃ盛りの私が、時空を超えて再会できた瞬間だった。

次に会う時は、両親を亡くして悲しみに暮れる叔母に
慰めの言葉を掛けることができる程度には成長していたい。

さ、明日も頑張ろう。

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