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ロンダ・ラウジー vs. サーシャ・バンクス

WWE Royal Rumble2019
2019年1月27日 
WWE.com WWEnetwork

RAW Women's championship
ロンダ・ラウジー vs. サーシャ・バンクス

クリスマスに放送のRAWで盟友ナタリアから王座防衛を果たしたロンダ・ラウジーが指名する形で実現したサーシャ・バンクス戦。快く受けたものの「私を犠牲者リストの1人と見てるの?」と敵対心を向け始めたサーシャが、久しぶりのタイトルマッチを控えバチバチに燃えて、盛り上がって当日。そしてこのロイヤルランブル直前に出た「ロンダがレッスルマニア終わりでWWE離脱」の噂。元々長くはいないと言ってたらしいロンダですが、確かに初登場からちょうど1年、デビューから約10ヶ月で王者としてトップ選手と試合を続ける中、このサーシャ・バンクス戦は必須。

サーシャ・バンクスは「Women's Revolution」でNXTからRAWに昇格した最初の1人で現在の女子部門人気を支えた大きな1人。また誰よりも「幼い頃からのプロレスファン」という部分を強く感じる(見える)選手だと思います。そこはロンダと共通するところで、幼い頃からプロレスが好きで大ファンだったロディ・パイパーから正式に引き継いだ"ラウディ"のニックネームをUFC時代から使ってました。サーシャは大ファンだったエディ・ゲレロの技を使い2016年のレッスルマニアではコスチュームも似せて登場しました。同じようなプロレス愛を持った者同士でありながら、サーシャはプロレス一筋でインディ団体で下積みを経験、ロンダは柔道とMMAの大きなバックボーンを武器にいきなりのメインイベンター。勝手に解釈すれば歪み合わないはずがないと。もちろんロンダの実績は前にも後にもいないとてつもないものですが、ロンダ本人が言ったように「私よりもこの業界への愛が強い」サーシャは、WWEでロンダよりも素晴らしいプロレス、ショーを見せられるのは自分だという思いは強いはず。

そんなリアルにも思ってそうなテーマを匂わせるこの試合、前哨戦から舌戦から全てサーシャに余裕があり空気を持って行ったように見えました。さらに公式でアップされたロンダ対策特別練習の動画もあって、ワクワク。そして公式なのか?違うのか?この試合のポスター画像がいくつか上がってました。かっこいい。

入場の前にバックステージでサーシャの姿、大歓声。皆のサーシャへの期待はおそらく「プロレス」への期待。サーシャのインタビューからそのまま入場。何度も聴いてきた「Sky's the Limit」もいつもより頼もしく感じます。大観衆の真ん中でしっかりと立っていつものポーズからサングラスを投げ捨てる姿は貫禄充分な"BOSS"。リングに上がった頃に放送では各放送席の紹介に入ったんですが、日本語席やフランス語席、ロシアや中国やとかなり多い紹介タイムの間ずっとサーシャはリングで何してたんでしょう。あの間を持たせる、さすがスター。

そしてロンダ・ラウジーが入場。いきなり片側の観客席とハイタッチしながら笑顔で進むロンダを見て正直「ちょっと、絵になってないな」と思ってしまいました。UFC時代からWWEデビューしてからも怖い顔での入場は大事なシーンだったはずですが今日は無し。常に印象に残る"絵"を作ってきたサーシャに比べるとかなり残念でした。もうすでに自分の見方がサーシャに飲み込まれてるのかもしれないけど・・・。どっちの入場がカッコよかったか?なんて…明白。

コールから試合開始を待たずに顔近づけての言い合いで会場はかなりの盛り上がり。この日先に行われたSmack Down LIVEの方の女子王座戦 アスカ vs. ベッキー・リンチが物凄い好試合だっただけに、こちらへの期待も高まってます。

試合開始。睨み合いから殴りに行ったサーシャの腕を掴んだロンダがいつものように一本背負い!すると投げられたサーシャがその勢いでアームドラッグ!柔道のメダリストにルチャ式の技で投げたこのシーン、グレート・ムタ vs. 小川直也を思い出しました。お前への対策はできてるとばかりにアピールするサーシャがバックを取り腕を取りコーナーを使ってロンダを投げようとするも今度は逆にロンダが耐えて巴投げ!こちらも対策バッチリのアピール。昔から最強キャラって同じような試合が続きがちですが、ロンダの試合が面白いのは毎回しっかりその時のその相手だからこそできる攻防があることだとも思います。そしてコーナーに振られたロンダがバンデーラでサーシャをかわしてマットに立つと、組んで真ん中で「I show you wresling!」と言いながらブレーンバスター!サーシャとの言い合いでもあったのか、もしかすると普段から選手やファンから「レスリングができない」と批判されているのか、その悔しさかプライドかが見えた場面。しかしブレーンバスターは1発で終わらず、なんと足を回転させ捻って立ち上がっての2発目!この持って行き方はエディ・ゲレロの技スリー・アミーゴ!これはエディファンで知られるサーシャに対しては屈辱的な挑発。3発目を堪えたサーシャがバックスタバー、逆に腕を取るロンダ。ブレイク後にやっぱりキレたサーシャの強烈なビンタ!そしてロンダの強烈な前蹴り!女子の試合としてかなりハードヒットな攻防になってきました。

そして面白かったのが、場外でリング角コーナーを背にしたサーシャに対してロンダがエルボー、かわされてコーナーに腕激突。WWEのリングのこの部分、エプロンもそうですが映像が出る画面としての役割があるところで、このロンダの腕が当たった後にRAWとか出てたその画面が砂嵐に。エルボーで壊れた演出なんでしょうが、芸が細かい!今までもあったのかな?

場外へのトペを決めてから、エルボーで痛めた腕をルチャ式の関節技で攻め始めるサーシャ。ダブルニーアタックやシャイニングウィザードの打撃も交えて主導権を握る。反撃に出たロンダがいつものローリング肩車の形に入ると実況が「パイパーズピット」と言いました。技名そうなのね!しかし後方に落ちて丸め込んだサーシャが両腕を取ったアームロック!さらに指を取って手首を捻る、あのザック・セイバーJr.がやるような強烈な関節技。これはアップされてた動画で練習してたような気がします。これはサーシャの大きな進化!

しかし耐えてサーシャをパイパーズピットで投げ捨てたロンダが次はエプロンぶら下がりのアームバーからコーナーダイブを狙うもサーシャにスーパープレックスで返され、またサーシャがロンダに腕攻め。一進一退。ロンダの投げがマットスレスレで回転するので見ててちょっと怖い。場外に向けてサーシャがまたトペを放つもロンダが受け止めて飛びついてのアームバー!タップするサーシャ、もちろん場外なので決まらず。リングに戻ったサーシャがコスチュームの腕の紐部分を脱ぎ始めます。打撃戦からロンダの投げを切り返したサーシャが遂に必殺バンクステートメント!逃げるロンダをさっき脱いだままぶら下がった腕の紐で顔を捉える、プロレスらしい反則!この感じ、ブーツ脱いで利用したエディを思い出します。返されるもまた切り返してサーシャがフジワラアームバー!

散々追い詰められたロンダが体勢を入れ替え、サイドから抱え上げて豪快に落とす荒技。そしてまたもパイパーズピット!しかし回転させず後方に落としてそのままホールドする新しい形。前の一撃で決まってたか、サーシャはそのまま3カウントを聞くことに。

このひとつの試合で多くのことが見えました。思いのぶつかり合い、サーシャの進化とプライド、ロンダの維持と新技。何度も浮かんだパイパーとエディ。またロンダがWWEにいる時間が長くないかもと思うと余計にひとつひとつを大事に見ていました。

悔しそうなサーシャ。念願の女子スーパースターの格上げを達成した自分達に「乗っかられた」と思ってるかもしれない、WWEの救世主であり嫉妬の対象にもなってる(と思う)ロンダを認めることができたのか。快くレッスルマニアのメインにロンダを送り出すのか、そういう思いを勝手に感じて熱くなれた、今このタイミングでしか見れない名勝負だったと思います。

最後にサーシャがしたこのポーズは、何かを予告しているのか?
ロンダはベイリーとは未対戦、11月ベッキー・リンチの襲撃を受け、シャーロット・フレアーに反則暴走で打ちのめされたまま。ロンダにとって最終の敵はfour horse womenだということなのかも。

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