「FRich Quest」による投資詐欺について思うこと

投資コンサルティング会社である「FRich Quest(フリッチクエスト)」
社長をはじめ、組織の人間が詐欺の疑いで逮捕されたのは2023年。

被害者が騙されて、数百万・数千万の借金を背負わされてしまうケースは後を絶ちません。
詐欺の手法は巧妙化しており、会社名を偽ってセミナーを開催し勧誘する手口や、マッチングアプリを使って繋がりを持ち、勧誘して高額契約させるといった方法です。

彼らは、自分たちの生活を潤すためなら手段を選びません。
資金を用意できない人に対して消費者金融からお金を借りるため、嘘の理由を告げて数百万円の借用を依頼させるなど、手口が大変悪質です。

今もなお、この手の詐欺会社は壊滅することもなく、会社名を変えグレーに暗躍し続けています。

この記事では、FRich Questの投資詐欺の事件の概要や「ポンジスキーム」はなぜ無くならないのか、特殊詐欺について考察する記事となります。



事件の概要

事件の概要は以下のとおりです。

2023/2/8 警視庁は投資コンサルタント会社「FRich Quest(フリッチクエスト)」(東京都 新宿区)社長・森野広太容疑者(38)と早川直通容疑者(32)ら男女 8 人を詐欺容疑で逮捕 した。
逮捕容疑は、「月利 4%の配当」「少なくとも出資金の 7 割が返金される」「絶対損はしな い」などと説明して、実態のない海外の資産運用会社(インド洋の島国セーシェルにある合 同会社)による架空の分散投資事業への出資を勧誘、出資金をだましとった疑い。 2016~2022 年に関東圏を中心として約 3,300 人から計約 200 億円の出資金を集めたとみ られている。平均出資額は約 700 万円。

リスク管理研究所 高市幸男
『何故騙される? 誰でもわかる投資詐欺 -FRich Quest 投資詐欺事件-』
http://risk-management-research.jp/frichquest.pdf


特殊詐欺被害の実態を調べてみた

特殊詐欺被害の実態を調べてみました。

警視庁『令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について』より
下記の折れ線グラフは令和5年の特殊詐欺の認知件数(発生件数ともいう)を表しています。

令和5年度の認知件数が19,038件。過去の件数と比較しても、詐欺被害の状況は改善されていません。

まず「特殊詐欺」として挙げられるものは
・オレオレ詐欺
・架空料金請求詐欺
・還付金詐欺
・ギャンブル詐欺
・金融商品詐欺
・交際斡旋詐欺
・キャッシュカード詐欺盗(窃盗)

などがあります。

種類の多さもさることながら、一見詐欺とは判断がつきにくいセミナーやマッチングアプリ等で誘い、知らず知らずのうちに被害者、加害者となっている状況です。
わたしたちも、決して他人事ではありません。

社会経験が浅い人や情報弱者、IT関連に疎い高齢者などをターゲットにしており、より慎重な判断力が求められます。

被害者への返金はどうなるの?

個人的に返金や訴訟が気になったので調べてみました。

「ZENSHO」((https://zensho.tokyo/apps/front/group/show.php?litigation_id=1e614166a1603ee87ce305b8d284ea6cd47aaae1f0057b18fc6bc8748bdd3aea)というサイトで集団訴訟について記載がありましたので、引用しておきます。

【ご報告】

当案件に関しましては、「ZENSHO」を管理する「Sky綜合法律事務所」では集団訴訟を、当面は行わない意向でおります。

理由と致しましては、あまりに被害者が多く、按分によって十分な返金を得られる可能性がほとんどないこと、その規模の大きさと資産隠しの巧妙さから、解決までに相当な時間を要すること、
そしてその結果、訴訟に掛かる費用が、集団で行うメリットを勘案しても返金額を大きく超えてしまう可能性が極めて高いこと、となっております。

直接お力になれずに大変心苦しく、申し訳ない思いです。何卒ご理解・ご了承のほど、よろしくお願いいたします。

上記に記載されているように集団訴訟は当面の間、見送りとされていて被害者様への返金は難しいと考えられます。

リスク管理研究所 高市幸男『なぜ騙される?誰でもわかる投資詐欺 
-FRich Quest 投資詐欺事件-』によると”出資金の多くは森野容疑者の遊興費、無人島やクルーズ船購入、出資者を信用させるために開催される「おもてなし会」に費やされた。”
とありました。

このことから逮捕時、運用資金は枯渇していたものと考えられます。
資金を集めている段階から、もし何かトラブルがあっても出資者様に返金対応をする考えは毛頭なかったでしょう。

「運用は大丈夫なのか?」といった疑問は、社内からも出資者からも声はありましたが、決定権は社長にあり、影響力を持った代表者を問い詰められる人間はいませんでした。

社長は逮捕されており、出所したところで弁済や補償ができるとは考えられません。
被害者が大勢いる中、1人で返済することは現実的に不可能でしょう。

借金を背負って、多くの人が苦しむ結果となってしまいました。

ポンジスキームはなぜ無くならない?

そもそも「ポンジスキーム」とは一体何なのでしょうか?

ポンジ・スキームとは、投資詐欺(詐欺的な投資勧誘)のひとつです。集めたお金を実際には運用せず、配当金という名で還元することで投資家の信用を得てお金を騙し取る詐欺の手口です。

日本財団スタートアップ支援プロジェクト
https://nf-startup.jp/dictionary/details/ponzi-scheme#:~:text=%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E6%8A%95%E8%B3%87,%E9%85%8D%E5%BD%93%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E9%82%84%E5%85%83%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82


ポンジスキームの流れを簡単に述べると、以下の通りです。

(1)出資者を募集し、資金集めを行う
(2)配当金を還元する
(3)さらにお金を集めていく
(4)出資額が揃ったところで逃げる

FRich Questの場合、「出資金の7割の返金が可能」や「月利4%の配当」などと嘘の説明をして、詐欺であることを上手く隠していました。

出資者の不安に対して、豪華なパーティーを開催する「おもてなし会」で出資者に還元していたことも、投資詐欺やポンジスキームであることを気付かせにくくしたと考えられます。

ポンジスキームは一見わかりやすそうですが、今回の事件のように代表者がメディアに露出をしていたり、豪華なパーティーを開催することで会社が順調であるように装う手口から、事件性を疑うことは難しいでしょう。

今もなお、出資者から多額の資金を集められるポンジスキームのような詐欺ビジネスが無くならないのはなぜでしょうか?

沢山の人を騙しているにもかかわらず、多額の資金を集められるビジネスモデルであることが考えられます。

資金が集まれば、それだけ会社も代表者にも影響力がつきます。
最終的に失敗したとしても、その資金をネコババして海外に逃亡することも考えられます。

そして、日本の法律が甘いことも原因です。
詐欺に対する処罰を厳格にする法改正をしていかない限り、
この手の詐欺ビジネスが無くなることは難しいです。

一日も早く、このような悪徳詐欺に対する処罰の厳格化を願っています。

ポンジスキームはどうやって見分けたらよい?

詐欺の被害に遭わないためには、わたしたちも知識をつける必要がありますし、ポンジスキームには特徴があります。
その特徴から判断して引っかからないように注意しましょう。

確実に見分けることは難しいと思いますが、
今回の事件例から、詐欺会社が配当の利回りの高さをアピールしてくるのは、投資詐欺である可能性があります。

人を紹介することで利益を得る仕組みがあれば、マルチ商法ではないかと問い詰めてみるのも方法です。

夢物語のような話しや、メリットしか話しをしてこないのも、詐欺である可能性は高まるでしょう。

全てではありませんが、詐欺会社に共通する高級ブランドに身を包む詐欺師の身なりから、本当に信用できる会社なのか、海外に拠点を置く会社なのであればネットで情報を調べて何か悪い情報がヒットする可能性もあります。

そうして自分の身を守っていくことが大事です。

さいごに

このような特殊詐欺は許されることではありません。
詐欺という行為は、人の欲望や弱みにつけこんでいるため悪質で見逃せないところです。

高級ブランドで身を固め、高級車に乗ることもできる。
豪勢な食事をしたり海外旅行をするなど、自分の生活を潤すための成功ビジョンを眼前で見せられた若者達が、特殊詐欺によってカモにされてしまうのは悲しいことです。

わたしたちができることは、特殊詐欺について情報共有をし、自分自身でも知識をつけて詐欺に引っかからないようにする。
そして、身内にこのような詐欺をしている人がいれば説得したり、周りに相談することが大事です。

多くの人が声を上げることで、いずれ法改正がされるかもしれません。

特殊詐欺は、絶対に許されることではありません。
一日でも早く消滅するよう、国も積極的に動いていくべきだと考えます。



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