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冷たい家|#読み切り小説


今日は雰囲気を変えて、夏に合わせた読み切り小説を綴ってみます。


スキマ時間にさらりと読めるお話です。


よろしければご高覧下さいませ!!





隆也たかやは最近、家にあまり寄り付かなくなった。帰宅すると、何とも言えず暗い雰囲気が漂っている。妻の美月みづきと、顔を合わせたくなかった。


今日もわざと残業して、夜遅く帰った。



しんと静まり返るなか、冷蔵庫からラップした夕飯を取り出し、最小限の灯りでそれを食べる。テレビすらつけなかった。



携帯を手に浴室へ行き、洗面台に置いてシャワーを浴びた。


「何故、携帯がお風呂で必要なの!?」美月に鋭く訊かれたことがある。



多分もうかかってこないが、可南子かなこから急に連絡があるかもしれないのだ。


―――


シャワーを浴びたあと、また冷蔵庫を開けて冷えた酒を続けざまに飲んだ。酔い潰れて、テーブルに突っ伏して少し眠った。



・・・階段から、人が降りてくる気配がした。隆也に近づいて来て、まだ醒めきらずおぼろげにかすむ彼の頭にそっと手を当てた。



「―――そんなに飲んだら、身体を壊すわよ」


耳もとでささやく美月の声。頭が重く、もう動けなかった。





翌朝。隆也はネクタイを締めて出社準備をした。


リビングの棚には、まだ鮮やかな美月の写真のフォトフレーム・・


前に供えてある、小さなグラスの水を入れ替えた。


「―――行ってきます」


隆也の声がリビングに空しく響いた。




 【fine】


▶Que Song

冷たい花/the brilliant green




たらはかに様の

#非情怪談


企画に参加します。拙作ですが、
ご査収よろしくお願いいたします。




お読み頂き有難うございました!!


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また、次の記事でお会いしましょう!


🌟Iam a little noter.🌟



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