合同会社の定款における「社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別」

合同会社の定款記載事項のメモ

(定款の記載又は記録事項)
第五百七十六条
 持分会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 社員の氏名又は名称及び住所
五 社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
六 社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準
(中略)
4 設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、第一項第五号に掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。

会社法 | e-Gov法令検索

(社員の責任)
第五百八十条
 社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
一 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
二 当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合(社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。)
2 有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。

同上

 合同会社の社員は「その社員の全部を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない」。全員が有限責任社員なのである。
 有限責任社員は、「出資額を限度に持分会社の債務を弁済する責任を負う」ので、会社が倒産したときなどに、出資した金額は債権者に責任を負う=出資金が返ってこないかもしれないが、追加でお金を出す必要はない。これと反対に無限責任社員は、会社が倒産したら債権者に債務を全額支払う責任を負う=会社が潰れた上に、追加でお金を払わないといけないかもしれない。

 しかし、会社法576条は、第1項で「社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別」を記載を義務付けているが、第4項を読むに全員が有限責任社員とされている。「合同会社」という時点で社員=有限責任社員なのに、わざわざ記載させるのは意味があるんだろうか……?


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