帯同生活【@上海】振り返り⑥:指を切った話
※流血についての表現があります
前回の続き
上海に住んでいる間、幸いなことに私が病院のお世話になったのは1回だけだった。
去年の6月、朝ご飯の準備をしているときに、辣酱の瓶を落として破片で右手の中指に大きな裂傷ができた。ぱっと見長い引っかき傷に見えたのだが、あっという間に見たことのない量の血が溢れ出した。
台所の床は割れた瓶と血痕で殺人現場(by妻)のようになっていた。
とりあえず手近にあったタオルで押さえてみたものの、流石に絆創膏ではどうにもならんなと判断した私は妻を起こして病院に連れて行ってくれるように頼んだ。不思議なことに痛みはなく、妙に冷静だった。
こっちで病院に行くときは妻の会社が入っている医療サービスを利用するのが基本だった。まずサービス窓口に電話をかけ、病状を説明したあとに病院を紹介される。しかもその時に予約もとっておいてくれる。治療費・薬代の個人負担もない。提携している病院もいわゆるいい(高い)病院だ。
最初に聞いたときに「いくらいくらいのサービスなんだろう」と思ってのだが妻も知らないらしい。赴任者の人件費ってすごいんだろうな……。
妻がすぐにその窓口に電話をかけてくれて、車で20分ほどの病院に行くことになった。すでに1回タオルを替えていたが、再度交換して傷を押さえながら妻に連れられてタクシーで病院に行った。
病院に行って受付で予約の話をしてもしばらく話が通じなかったが、しばらくして一般の受付ではなく、国際部に予約が入っているということがわかり、そちらに移動することになった。一般の受付は1階、国際部は最上階にあった。
最初に担当してくれたのは日本人の女性の先生だった。とりあえず傷口を見せると、出血はかなり止まっていたが、縫う必要があるかもしれないと言われた。その後、かなりベテランらしい中国人の男性の先生と、中堅くらいの優秀そうな男性の先生が代わる代わる見に来てくれて、結局縫うことになった(妻もいたが日本人の先生が通訳してくれた)。
「手術室が空いていたらそこに行く」と言われたので大事になったなぁ……、と思っていたら、空いていなかったのか1階の処置室に移されてそこで縫われることになった。1階までの移動は日本人の先生が案内してくれて、施術は中堅の先生だった。
施術室には中堅の先生、日本人の先生、研修中と思われる女性2人がいた。妻も付き添ってくれていた。私はベッドに寝転んで、右手を台の上においていた。傷は痛くなかったが、気分がめちゃくちゃ悪かった。
多分20分くらいで施術が終わり(6針縫った)、再び最上階の診察室に戻って休憩。その後、抗生物質を飲むこと、毎日消毒すること、2,3日に一度経過観察のために通院するように言われて帰った。
先述の通り、一切医療費の個人負担はなかった。
その後3,4回通院して抜糸してもらった。この間の消毒と抜糸は、日本語が喋れる韓国人の若い男性の先生が担当してくれた(さすが国際部だと思った)。かなりノリが軽くててちょっと不安だったけど、説明自体は丁寧で抜糸もあまり痛くなかった。絆創膏の貼り方は結構適当だった(笑)
しばらくは傷跡が痒かったり、引っ張る感じがあって元通り動かせるかかなり不安だったが、約1年経った今は、傷跡もほとんど残らず、違和感もまったくない。
中国の病院
上記の通り、私は当事者としては1度しか病院のお世話になったことはないが、妻はたびたび体調不良で病院に行っていたので、私も計10回くらい病院に行っている。
基本的には先述のサービスを利用していたが、一度だけ普通の市民病院のようなところに行った。
中国の病院は混んでいる、というのはどこかで聞いたことがあったが、層状以上の混雑ぶりだった。とにかく人が多く、エレベーターで移動するのに時間がかかる。患者の多くはいわゆるお年寄りだった。
受付は割り込みをする人がいたりして混乱しているし、呼び出しの順番もよくわからなかった(らしい。私は人が多かったのと、妻の目的が治療ではなく検査だったので隣のショッピングモールでブラブラしていた)。
中国も日本同様今後ますます高齢化が進行すると聞いているが、医療はどうなっていくのだろうか(他国の心配をしている場合ではないが)。また、医療格差についても考えさせられた。