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よちよちある記#499『月曜日の抹茶カフェ』

暑い暑いって
毎日そんなことばかりで
いい加減うんざりしてきたので
たまには氣分を変えて

『月曜日の抹茶カフェ』
12のエピソードを連ねた短編集

だけれども単なる短編集にあらず

どれもこれもが
ほっこりとして
心に刺さったり
揺さぶられたり
温かくなったり

青山美智子さんってのは
何故にこんなにも
ステキな心の描写が
できるのだろう?
うわぁ〜〜って
震えてしまう

 
婚約破棄をした佐知と
その友人の光都(みつ)との
やり取りを通じて描かれる情景

朝から唐突すぎるけど…笑

ーーー以下引用ーーー
光都は一糸まとわぬ姿になると、おなかのあたりに視線を落として言った。
「時々思うんだけど、人間だけ、なんで服着てるのかね」
私はブラジャーを外しながら答える。
「最初は防寒とか保護的なことだったんだろうね。そのうち恥ずかしいって感覚を覚えて」
「恥ずかしいっていうのはさ、理由はどうあれみんなで隠し始めちゃったからだよね。おっぱい出したまま暮らしてる民俗もいるじゃん。周囲が隠すから自分も恥ずかしくなって、恥ずかしいから隠してっていうループだよね」

(略)

「裸じゃなくなったのって、いつからなんだろうなあ。前、テレビでやってたけど、ネアンデルタール人も服らしきもの着てたんだって」
「ってことは、人類が全裸だったのはその前?その前ってなんだっけ?」
「うーんと、アウストラロピテクス?」
ーーー引用終わりーーー

朝っぱらからちょいと刺激的な描写で
女性の裸族に興奮しちゃいそうだけど…笑
スケベ心に火がついて
こんな情景を引用したわけじゃないのよ
ちゃんと意味があるので
お付き合いのほどを

ーーー以下引用ーーー
雄介のことも、好きだった。だった、じゃない。今でもまだ、やっぱり好きだ。
負けず嫌いで努力家で、勢いよく人を引っ張っていくエネルギーの強さに、私は惹かれた。反面、雷が怖いことを必死で悟られないようにしているようなところが愛しかった。
ただ、違ったのだ。手に入れたいもの、守りたいものが。着たいもの、飾りたいもの、そしてたぶん、隠したいものが。
もう人間は、服や靴を身につけずに生きていくことはできないんだろうか。肌を隠して、心を隠して、飾り立てて、嘘ばかりついて、何者かになろうとして。自分でもこんがらがってしまうぐらい、こんなに複雑になって。
私たちがアウストラロピテクスだったら、よかった。
何もまとわず、決め事に囚われず、おなかがすいたら草原の葉を食べ、愛おしくなったら抱き合って、ぐっすり眠って朝が来て。完全にはなりえない言葉で傷つけ合ったりもしないで。
お互いを好きっていうだけじゃ、だめだった。
ーーー引用終わりーーー

しっかりと伏線回収して
アウストラロピテクスの話が
ここで効いてくる

いいところまでは
ネタバラシせずに
ここでおしまい

このあとに続く2人のやり取り
そこから先の描写に
何とも柔らかな温かな氣持ちが
わいてくる

安っぽいドラマの
一場面にでも描かれそうだし

その描かれ方によっては
とてつもなく安っぽくなりそうで

陳腐といえば陳腐なんだけれど
なんでこんなにも
感情移入しちゃうのかなぁ

だからスゲーんだよなぁ〜
青山美智子さんって

ぜひぜひ
手にとって読んでみてほしい
ギスギスと殺伐とした日常を
ほっこりとした
心あたたまるものに切り替えて
また明日から
優しい氣持ちで過ごそう
って思えるはず

いい作家さんに出会えたなぁ〜
オススメしますよ
夏休みの読書感想文の
課題図書みてーな
フリになっちゃうけど

まだ青山美智子さんの作品を
読んだことのない人は
損してまっせ〜

今日もいい1日✨

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