「kindleペーパーバック」と国立国会図書館の「納本制度」について。
電子書籍と「kindleペーパーバック」
電子書籍とは文字通りスマートフォンやタブレット端末などの電子機器を用いて読むことができる書籍です。
従来からの紙の書籍に比べ価格が低く抑えられ、場所も取らず、外出先でも手元の端末で気軽に読めるなど様々なメリットがあります。
電子書籍といえばAmazonのkindleが有名ですが、kindleでは電子書籍のみではなく「ペーパーバック」と呼ばれる「紙の本」を出版することもできます。
ペーパーバックは海外ではわりと一般的でしたが日本では2021年にkindleペーパーバック版の出版をすることができるようになりました。
ペーパーバックのメリット
ペーパーバック版を作成するメリットはいくつかありますが、著者側のメリットとして
1冊からでも出版できるので出版コストを抑え、在庫リスクもなくせる。
データを修正するだけで簡単に改訂版が出版できる。
電子版と違い現物の紙の本ができるのでブランディングに活用しやすい。
一方で購入者側のメリットとしては
電子版が絶版や廃版になって購入できなくなっても紙の本が手元に残る。
カラーのページはペーパーバックの方が見やすい。
現物の紙の本が手元にあるので所有欲をみたせる。
などが上げられます。
国立国会図書館とは?
国会図書館は法律に基づいて設立された国立の図書館です。東京に本館、京都に関西館が置かれています。
国会図書館の名前の通り国会議員が立法などの際の調査研究を行うために設けられた図書館ですが、その収蔵品は広く国民共有の文化的資産として一般にも解放されています。
納本制度とは?
我が国では法律に基づいて国内の全ての出版物を国会図書館に納本することを義務付けています。
図書や小冊子のみでなく雑誌や新聞、楽譜、地図なども納本の対象となり、kindleペーパーバック版の書籍もこの納本制度の対象となります。
ペーパーバックの納本は必要?納本基準と納本の方法
kindleペーパーバック版の納本制度の対象となることは先述のとおりですが、ペーパーバックのように在庫を持たないオンデマンド方式の場合すぐには納本の必要がありません。
国会図書館のウェブサイトに掲載されているQ&Aによると、原則として頒布を目的とした国内の全ての出版物が納本の対象とはされていますが、オンデマンド方式の出版物に関しては15冊以上が実際に頒布(販売)された時点で納本の義務があるようです。
なので、頒布数(販売数)が15冊未満であれば納本しなくても良いことになります。
納本の方法は簡単。国会図書館まで持参するか郵送で送付します。持参する場合は、東京本館西口から入り、西側1階の納本カウンターに提出します。(取扱時間:月~金 9時~17時45分 祝日・年末年始を除く。)郵送で送付する場合は、郵便または宅配便等の方法により送ります。ただし、着払いでは受け付けてもらえませんので注意してください。
1冊納本した場合は東京の本館に保存され、2冊納本した場合は本館と関西館に保存されます。
書籍代金の償還
納本した書籍の代金は、納入出版物代償金として国の予算から納本した書籍の出版や納入に通常要すべき費用に相当する金額(通常、小売価格の5割と郵送における最低料金に相当する金額)の支払いを受けることができます。申請方法などは事前に国会図書館に電話で問い合わせが必要なようです。
寄贈という形で無償で納本した場合には、受領書の送付を受けることができます。受領書を希望する場合は受領書希望の旨と送付先を記入したメモを添えて納本する書籍と一緒に郵送します。
納本された書籍の活用
国立国会図書館に納本された書籍は、国民共有の文化的資産として資料として登録されたのち国立国会図書館オンラインや国立国会図書館サーチ等で書誌データや雑誌記事索引が検索できるようになり、国会や行政・司法へのサービスや国会図書館への来館者へのサービス、近くの図書館への資料の取り寄せやインターネットを使用した遠隔サービスなど様々な形で活用されます。
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