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【ストーリーネタバレ無し】『トライガン』原作未読勢による「TRIGUN STAMPEDE」感想

2023年制作の「TRIGUN STAMPEDE」を今更見た。

結論

原作を読もう!

良かった点(3点)

映像美

3DCGで制作された本作。とにかく映像が綺麗!TVアニメ「宝石の国」の制作を担当したOrangeによる作画が素晴らしい。12話は必見。

ストーリーを「兄との確執」に絞って展開した

旧アニメ(※)は主人公を軸として周囲のいろんな要素にフォーカスしながら物語が進んだが、本作では序盤から「兄との確執」一点のみを軸としている。全12話で描き切るにはちょうどいい規模感と考えられる。
※『トライガン』は本作を含めて3度アニメ化されている。筆者は全26話で構成された1998年版と並行して視聴していた。

BGMと連動したピアノの演出

個人的に好きな演出だった。詳細は本作を参照されたし。

良くなかった点(2点)

脚本が粗い

全体的に説明不足感が否めない。原作を前提として作られているらしく、1本のアニメ作品として見たときに意味不明な部分が多々ある。本作中で情報が完結していない。描きたいもの(兄との確執)から逆算して過程が作られており、それ以外のものは全て背景に過ぎない。

人物の掘り下げが甘い

前項と関連して、登場人物の行動原理が非常にわかりづらい。作中で説明がない。物語に合わせて動いている人形のようになってしまっている。一部にはファンサービスのために顔だけ出したようなキャラクターも。

賛否分かれるであろう点

  • 原作や旧アニメとはかなり違う

  • 1話完結じゃない

  • ガンアクションが少なく、会話劇が多い

  • 会話が邦画っぽい ex.登場人物が叫び合う

  • 音響や画面の明るさの強弱が劇場作品っぽい(個人的に音声が聞き取りづらかった)

  • 主人公がただただかわいそうになる

感想

見せたいものは伝わってくる作品だった。特に映像が良い。予算と技術がこれでもかと詰まっている。もっとこの作画で多彩なガンアクションを見たかった。
登場人物の掘り下げの無さは致命的。キャラクターの魅力は作品の魅力に直結する要素のはず。過去回想をやるのは「掘り下げ」ではあるが、現在時空でのキャラ描写があってこそうまく機能する。本質的な描写がない状況での過去回想は単なる情報開示であり、魅力の補強になっていない。全12話という短い尺の中でいかにキャラを見せるかという部分でかなりバランスが悪かった。
主人公かっこいい〜〜〜♡♡♡って、ならなかった。どうしてもこの点は並行して視聴していた旧アニメと比較してしまう。展開が淡々としていてカタルシスを感じられなかった。
原作を読んでこそ本作は輝くのではないか、という予感がする。度重なる説明不足も原作を知っていればスルーできるらしい。しかし、原作と違う点が大きいので原作原理主義の人ほど本作を受け付けなかったという場合もあるようだ。「12話だけ見れば十分」という旨の制作側からの発言があるようだが、筆者もそう感じた。それを公式が言ったらこれまでの11話はいったい…となるがまあ…。原作大大好きで物好きな人は1話から見れば良いと思う。原作未読の人は本作の前後に原作を読むことをおすすめする。
本作は2期の制作中らしい。1期で感じた伸び代を超えた作品を心待ちにしている。

アニメ公式サイト
https://trigun-anime.com


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