見出し画像

HIPs株式会社中市一雄 “メスを使わないオペ”で身体の悩みと向き合うセラピスト

HIPs[ヒップス]はHealth&care Innovation Partnersの略称で、医療・予防健康業界における大殿筋(ヒップ)のような存在になるという意志が込められています。様々な専門職が集まり、知識・技術・ノウハウを融合していくことで、医療・介護業界に新たな「上昇気流/UPDRAFT」が作り出せるという考えを追求した結果、HIPsでは優秀で個性あるスペシャリストが日々活動しています。
そんなHIPsのメンバーである中市一雄さんにお話を伺いました。

経歴
石川県金沢市にあるケアミックス型の病院でリハビリを積極的に行う病棟で管理者として7年間勤務。
専門である脳の後遺症のリハビリの分野で国際的に有名な方が京都でNPO法人を立ち上げてリハビリを行うという話を聞き、病院を退職して2年間活動。
静岡に移動し、株式会社アクタガワという介護保険事業を行う会社でリハビリ施設の立ち上げや店舗運営を行う。
大学時代の友人の伝手で今の株式会社HIPsの代表と出会う。
HIPsのインターン教育の1期生として大阪で学ぶ。
インターン教育を経てライセンスを取得し、現在は個人事業主という形で3年半ほど活動。HIPsの店舗での施術だけでなく、訪問リハビリテーションも行う。

専門分野
文平:脳の後遺症を専門にされたきっかけはありますか?
中市:大学の授業で学ぶ、方法が決まっていることや、すでに確立されたことよりも、図書館でたまたま見かけた脳の研究や脳科学的なことに興味がありました。臨床実習に行った先の先生が偶然脳科学を取り入れた治療を専門的にされていて、様々な視点でリハビリをする面白さや、人の身体と向き合うことで発掘できるリハビリの可能性に気づき、この分野を自分は堀り下げていきたいと思いました。それで脳に紐づくリハビリの手段や方法を学びに行ったのが最初のきっかけです。僕の中で、目に見えないものを探していく脳のリハビリが一番難しく、そこに専門性や職人の要素を感じました。手じゃないと探せない世界にすごく魅力を感じました。

来診する患者さんについて
文平:来診される患者さんは脳梗塞などの後遺症を持つ方が多いですか?
中市:そういうわけではないですね。逆にバリエーションがものすごく増えました。
というのも、リハビリという分野や脳の後遺症に対する手段を学ばせていただく中で、いつの間にか技術やアプローチの手段をどう習熟させていくかという方向にどんどん進んでいきました。その時は気づきませんでしたが、いろんな視点を取り入れていく中で、人間の身体のことを知るうちに、もっとこういう人たちもよくできるのではないかとか、もしくはお客さんのほうからこういうのって良くなりますか、という風に自分の専門を超えて依頼されることが増えてきました。だから、自分のセラピストとしての目的、目標が変わってきています。
以前は脳の後遺症、もしくはそこに紐づく脳科学的なことを紐解いていくことが、スペシャリストとして価値のある事だと思っていましたが、様々な視点を学ぶことで、本当にありたい人生を妨げている要因、悩みに対して価値を与えられるような仕事がしたいと思うようになりました。
なので今はどちらかというとたくさんの分野、いわゆる一般的な整体で診る腰痛、肩こり、頭痛を持つ方や、整形的なしびれを持つ方も増えてきています。アレルギーや自律神経に伴う悩み、認知症、産前産後の悩みを持つ方も来診されます。

文平:アレルギーを持つ方も来られるんですね。お薬で治すイメージがあったので意外です。
中市:お薬も有効な治療方法だと思うのですが、お薬をやめたいという人も一定数います。副作用が気になっていたり、お薬を飲むことが手間だったり、年々お薬が効かなくなってきていたり、理由は様々です。そのような人たちが、お薬が補っている仕事を自分の身体の仕組みから取り戻していくきっかけを増やしていき、患者さんの理想に近づける手助けができればいいなと思っています。

施術をする上でのこだわり
文平:施術をする上でのこだわりや、気を付けていることはありますか。
中市:ミクロな視点とマクロな視点を同時に使いこなすということをすごく大事にしています。
例えば腰が痛い人がいたとして、その腰の原因が腰自体にある人もいれば、股関節や肩、生活環境、性格、人間関係にある人もいます。なのでまずは、その人に先入観を持たず、マクロな視点でとらえて、人の振る舞い方や生活環境での適応の仕方を客観的にみることを大事にしています。
そのときに、何か基準がないといけないんですよね。それを僕たちの会社では重心としています。ただ、マクロな視点だけでは本当に根深い問題や細かい問題は掘り下げていかないとわからないことが多いので、ミクロな視点も重要です。
そのマクロとミクロをいかに使い分けていくか、もしくはマクロとミクロの視点をどのような割合で進めていくのがいいのか施術計画を立てることを大事にしています。

HIPsでの学び
文平:HIPsに入られて一番変わったことや、今も学び続けられていることについて教えてください。
中市:僕たちの仕事は良くすることじゃなくて、良くするきっかけを与えることだと思います。良くするかどうかは本人の力だと思うのですが、1人ではうまくいかないので、僕たちのような存在が必要だと思います。
昔は自分が良くしなきゃという気持ちが強かったですが、今はどうやったらこの人の持っている力を引き出せるのか、振る舞い方を変えられるのかというような視点に変わりました。
西洋医学はオペやお薬などでいかに良くするかというのがありますが、東洋医学は自分の本来持っている力をどう復活させて、問題を解決していくかというような視点があると思います。
人の身体の悩みを解決するためには、治療以外にもたくさんの要素があって、それと向き合っていくことが、本当の意味でお客さんを変えていくために重要なことだと思います。
教科書やセミナーで教えられたことよりも、現場で試行錯誤する中で患者さんの身体の変化や、その変化がどこに結びついているのかを学んで気づきを得ています。どの人との出会いも、学びに繋がっており、実際の現場が僕にとっては授業みたいなものです。

HIPsの魅力
文平:HIPs独自の技術について教えてください。
中市:HIPs独自の考え方にBC理論というものがあります。
BC理論の中にはすごくいろんな分野が含まれており、人間の身体がどういう風な背景で作られてきて、どういう風なメカニズムの中で成立しているのかなど多角的な視点で構成されています。
そのためHIPsでは、表面的な現象や要素を取り上げていくのではなく、その背景まで原理原則を用いて紐解いていくことが本当の意味での根本からの解決だという風に考えています。

文平:他の整体院との違いは何ですか。
中市:他の整体院との大きな違いは、体の症状を生み出す”基準”に着目しているところです。BC理論は体・心・脳が持つ仕組みを踏まえてその”基準”をいかに変えていけるか、その”基準”を構成している要素は何なのかというところを体系化したものだと思います。
その人の”基準”を変えていくことで、年を重ねていって体が弱ったり、体を回復する力が衰えていっても自分の力でその”基準”に戻っていくことができます。だからその人の身体の背景にある”基準”というものを変えていくためにはどうしたらいいのか、その”基準”を作っている要素は何なのかを僕たちは体系化して学んでいます。

文平:中市さんはHIPsがどのような場所であるとお考えですか?
中市:僕はHIPsが患者さんにとって、どこに行っても解決できない悩みや症状を解決するための駆け込み寺であったり、最後の砦として機能していけばいいなと思っています。わかりやすく言うと整体ですが、それだけでは解決できない体や心の悩みの原因を明確にして、改善するように導いていくような場所です。どんな人でも、どんな悩みを持っている人でも対象だと思っています。

ビジョン
文平:今後の目標やビジョンについて教えていただきたいです。
中市:セラピストをやめようかなというくらい追い詰められたこともありましたが、最終的に一番捨てたくなかったものが治療でした。それに気づいたとき、僕はこの仕事に一生関わっていきたいなという風に思いました。難しい症状やなかなか解決しない悩みなどを先陣斬って解決する糸口を探っていく役割でありたいです。
僕は自分の施術をお客さんに「メスを使わないオペ」と説明しています。僕は医者ではないのでメスを使うことはできないですが、身体の中身をとっかえるくらいの気持ちで、お客さんの身体の悩みと向き合っていきたいです。
働き方としては治療できる場所を作っていったり、僕にしかできないことがもしあるのならば、それをいろんな人に届けるのが理想です。場所も人も問わず、自由に治療を行っていきたいですね。
実際今の僕の働き方は転々としています。さらにいろいろな人と関わる機会を増やして困っていて助けてほしい人のところに行くような働き方がしたいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?