怪奇文書#017

17~18歳の誕生日から誕生日までの1年間の話。

17歳の誕生日の朝、目が覚めたのは朝9時ちょい過ぎ。土曜日で、枕元のケータイには沢山のバースデーメールが来ていた。寝ている間にメールが沢山来ることを見越していたのでサイレントモードにして寝ていたのだ。23通のメールを一つ一つ確認し、返事を書いて送る。その中に、奇妙なメッセージがあった。登録のないメールアドレス。「17歳の誕生日おめでとう。あなたに歌を与えます。これが最初で最後のプレゼントです。」

歌?

ランダムな英数のメールアドレス。海外サーバーと思われる、見たこともないドメイン。誰からなのかも分からないメール。昼から一番仲の良い友達と遊ぶ予定があったので、その時に話してみようと思った。
シャワーを済ませ、服も可愛くおめかししてメイクをして、11時半の待ち合わせに間に合うよう家を出た。今日の予定は友達と遊んだあと、共通の友達と合流して3人でパジャマパーティだ!ケーキも用意してくれるらしい、楽しみだなあ。浮き足立つ私は待ち合わせの時計塔の下で時計を気にする友達を見つけ、声を掛けた。
「あやこ!お待たせ!」
私のその言葉はメロディを乗せ、声高らかに歌い上げた。
あとから考えれば、その日は誰とも声を交わさないまま待ち合わせの場所まで来てしまったのだ。
私は高校の寮に入っていた。その日は休日、目覚めたのは朝9時。ルームメイトは朝ごはんでも食べに行っているのか既に外出しており、たまたま誰とも出会うことなく、待ち合わせの場所にたどり着いたのだ。

「まい、おはよ!めっちゃご機嫌じゃん」
そう言ってあやこが笑う。笑い事では無い。
説明しようにもそれは歌になり、あやこは笑うばかり。仕方が無いので文字に書いて説明した。今朝のメールのことも話した。事情を飲み込んだあやこは顔色を変え、

続く

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