風の中に

私は空っぽだと言ったあと、彼女は自身に火を付け、燃えてしまった。
からっぽだからよく燃えるの、と寂しそうに笑って、そのまま消えた。

黒焦げの灰になった彼女は
湿気を纏う風の中に消えていった。
立ち上る煙で次の日は雨が降った。
雨上がりの朝、外は一面の花畑になっていて
私は、空っぽじゃなかったんだよ、と独りごちた。

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