彼女

画家の友人が、人物画を始めたぞ!見せてもらった!

んですがね。

これはもう本当に素敵なんですけど、まあ、絵ももちろんとても上手な方ですし、いつも「いい雰囲気の絵」で、見てる人を和ませる優しいふわふわの絵を描く方なんですけど

これはもうね、ラブレターを書きたいほどに。

初めての人物画、いわゆる美人画なんだけども本当になんかこれから先、彼の絵の女性に恋をしてしまうかもな、と思ったんだけどもう落ちてました、恋に。

忘れられないのです。
憂いを帯びた、退屈そうな顔でコーヒーカップを弄ぶ彼女。もう飲み終わってるか、飲み終わりそうなコーヒーカップを眺めて、ため息をひとつ吐きながら、このあとどーしよっかなーって、待ち合わせの相手は結局来なかったけど、なんかそんなことはもうどうでもよくて。不意に訪れた一人の時間を楽しむ直前の退屈のような、

こっちを見て微笑んでくれる気がする、その一瞬前の表情のような、あと一瞬待ったら、ちょっと申し訳なさそうに、「へへ」って笑ってくれる気がして。

そんなこと。ずっと考えてた。

絵を買うのかというと、あんな素敵な絵が家に置いてあるだけでも多分緊張して、丸出しの童貞でキョドって、生活に気が抜けなくなると思うので、また彼女に会うために、飾ると言ってた店に行きます。

天気のいい午後、きっと彼女はその夕方、時間を楽しむ。

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