涙腺の脆さよ

新しい場所に行ってみれば何か新しい発見があるかもしれないと思い区の図書館へ行ってみた。
平日の昼過ぎであったがそこそこ人がいた。
座るスペースがいくつかありテーブルありの椅子、ベンチ、棚の端に椅子一脚、高い椅子にテーブル付きと様々。
公共の建物特有の感じが非日常を感じさせてくれる。
品揃えが分からなかったので、一通り見て回った
ところ見たい本が色々あった。
初めてなので、あまり長居はしないでおこうと思い
サクッと読めそうな漫画を探していたところ
ほしよりこ先生の「逢沢りく」と吾妻ひでお先生の「失踪日記」を発見。
一時期「今日の猫村さん」にハマってグッズを
集めていたことがある。
「逢沢りく」は読んでいなかったので手に取って
窓側の席に座った。
軽い気持ちで読み始めたが、最終的に泣いてしまった。歳を取ると涙腺が弱くなりすぐ泣く。
まさかこんなところで泣くとは思っていなかったが
ハンカチを持っていたので事なきを得た。
お出かけの際、ハンカチは必需品である。
可能であれば2枚待ち推奨だ。(1枚は貸すため)

*以下ネタバレありますのでご注意を
「逢沢りく」
「今日の猫村さん」と同じタッチで、猫村さんの
笑いの部分がふんだんに盛り込まれていながらも
人の温度や心の動きが描かれていて非常に面白かったです。
他人から見れば、一見何不自由なく幸せそうに
見える家庭でも、本人たちにしかわからない問題を抱えていたりする。
りくの両親はステレオタイプのいい親を演じている
ように見える。父親にも母親にも問題がある。
りくはそれを見抜いている。
りくの母親がりくを関西へ行かせるときの
セリフを見ると、子供よりも自分のことが一番大事なんだろうなと感じた。
こういう親は意外と多いと思う。
親も人間で他人なので当たり前と言えば当たり前
なのだが、それがわかるのは自分も大人になって
からだと思う。そして子供は当たり前に傷つく。
関西編に登場する人物は、年齢問わず皆温かい。
上辺だけの優しさではなく心が伴っている。
ラストの時ちゃんとりくのやりとりは微笑ましくも芯を食っている。

「失踪日記」
失踪編、配管工編、入院編からなる吾妻ひでお先生の実体験を漫画にした作品。
非常に面白かったです。
重い話をここまでポップに明るく描いているのが
すごい上に、失踪中の生活に関しても包み隠さず
描かれていて色々と考えさせられました。
配管工編もリアリティがありました。
ちょっと変わった人が何人も出てくるんですが、
あぁいう人間ってマジでいるんですよね。
その人達の描写もポップながらとってもリアルで
色々フラッシュバックしました。
入院編はアル中の話なのですがこれもまたリアル。
依存症の恐ろしさもさることながら、こちらも
出てくる人間が配管工編と同じく変わった人多し。
こういう人だから依存症に陥るのか、それとも
依存症でこういう人になったのかはわかりませんが
ネジが何本か外れちゃってる方々出てきます。
配管工編も入院編も変わった人のエピソードが
出てくるのですが、途中で登場する編集者(ここでは普通の人とカテゴライズします)のエピソードも面白いのですが、私は変わった人のエピソードの方が
ぶっ飛んでて好きです。関わりたくはないですが。
また、本の最後のとり・みき先生との対談も必見。

幸せとは何か?を考えたときにもちろんお金は必要だが、お金で得られる幸せには限界がある。
必要な分さえあればいつも楽しくいられたり、人といい付き合いが出来たり健康であることの方が大切だと思いました。

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