Naokimen

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最近の記事

小林武彦『生物はなぜ死ぬのか』【基礎教養部】

800字書評は公開までもう少しお待ちください。 多様性のために死ぬ本書のネタバレになるが、「生物はなぜ死ぬのか」に対する生物的観点からの答えは「多様性のために死ぬ」である。 生物は、激しく変化する環境の中で存在し続けられるように、誕生し進化してきたものである。そのために生物は遺伝情報が異なる子孫をたくさんつくる。多様な「試作品」を作り、その中で環境の変化に適応できたものが生き残るという仕組みとなっている。 「試作品」を作成するのに重要なのがそのための材料の確保であるが、

    • 芸術の鑑賞について【基礎教養部】

      今回は、穂村弘『短歌のガチャポン』およびセオドア・グレイシック『音楽の哲学入門』の2冊の本を題材にして、「芸術の鑑賞」をテーマにしてnote記事を書こうと思う。それぞれの書評については、以下のページを参照されたい。 短歌と音楽の共通点ジェイラボの基礎教養部の活動として、各グループにつき1冊の本を選んでそれについてグループ内のそれぞれの人がnote記事を書くということは昨年度から行ってきたが、今年度からは本のテーマや関連性から複数のグループをひとまとまりのグループとして再編さ

      • セオドア・グレイシック(著)、源河亨・木下頌子(訳)『音楽の哲学入門』その2【基礎教養部】

        前回、『音楽の哲学入門』についての上記のnote記事を書いた。そのnote記事では、「音楽を正しく鑑賞するにはそれなりの背景知識が必要である」という話をしたが、今回はこのことについてもう少し深掘りし、正しい鑑賞の具体例を挙げたいと思う。 前提知識のない状態での鑑賞も大事? 「音楽の正しい鑑賞には背景知識が必要」という主張に対する反論として、前提知識が全くない状態での鑑賞も大事ではないかという意見が出てくるだろう。たしかに、この意見はもっともな意見であり、前回のnote記事

        • セオドア・グレイシック(著)、源河亨・木下頌子(訳)『音楽の哲学入門』【基礎教養部】

          800字書評は以下のページを参照: 私はこれまで岡田暁生『音楽の聴き方ー聴く型と趣味を語る言葉』と源河亨『悲しい曲の何が悲しいのかー音楽美学と心の哲学』という2つの音楽についての本を読み、今回が音楽についての3冊目の本ということになる。これらの3冊の本に共通するのは、どれも「音楽はある一定以上の知識がないと鑑賞できない』という主張がされているという点である。 その考え方についてはとても共感できる。例えば、昨年大学の創立記念コンサートでフリージャズスタイルの演奏を聴いたのだ

        • 小林武彦『生物はなぜ死ぬのか』【基礎教養部】

        • 芸術の鑑賞について【基礎教養部】

        • セオドア・グレイシック(著)、源河亨・木下頌子(訳)『音楽の哲学入門』その2【基礎教養部】

        • セオドア・グレイシック(著)、源河亨・木下頌子(訳)『音楽の哲学入門』【基礎教養部】

          國友公司『ルポ路上生活』【基礎教養部】

          『ルポ路上生活』は、同じコミュニティのメンバーであるTsuboさんに紹介していただいた本である。Tsuboさんによる書評及びNote記事は以下を参照:(公開までもう少しお待ちください) 今月は本を読んでNote記事を書く時間が全く取れなかったので、chat gptにお任せすることにした。したがって、以下のNote記事には誤った内容が含まれている可能性が大いにあることに注意されたい。また時間があるときに本は読みたいと思う。 chat gptには、Tsuboさんによる書評およ

          國友公司『ルポ路上生活』【基礎教養部】

          ジェイラボワークショップ第70回『宇宙は何でできているのか』【物理学部】[20240115-0128]部長総括#JLWS

          具体的なWSの内容は以下のnote記事をご覧ください: 今回のWSでは、『宇宙は何でできているのかー素粒子物理学で解く宇宙の謎』(村山斉)の内容(初めの方)を扱いました。 僕の専門分野は素粒子物理学なのですが、この本は研究室の教授がお薦めしていた本です。物理を知らない一般の人でもわかりやすく、かつしっかりとした内容を扱っている(わかりやすくするために内容を簡単にしすぎていない)ので、教授がお薦めしていたのも納得できます。素粒子物理学を勉強するには量子力学、場の量子論といっ

          ジェイラボワークショップ第70回『宇宙は何でできているのか』【物理学部】[20240115-0128]部長総括#JLWS

          土井隆義『友だち地獄ー「空気を読む」世代のサバイバル』【基礎教養部】

          『友だち地獄ー「空気を読む」世代のサバイバル』は、同じコミュニティのメンバーであるイスツクエさんに紹介していただいた本である。イスツクエさんによる書評およびNote記事は以下を参照:(公開までもう少しお待ちください) 今月は時間があまりとれなくて(というより「自分の時間を削ってまでして最後まで読む気になれなくて」と言った方が正しいのかもしれない。本書は具体例や引用が多くて同じことをだらだらと繰り返す部分も見られるので、少し読むのがしんどかった。もう少し簡潔に書いてほしい。)

          土井隆義『友だち地獄ー「空気を読む」世代のサバイバル』【基礎教養部】

          森田邦久『科学哲学講義』【基礎教養部】

          書評は上のサイトを参照(公開までお待ちください)。 ちなみに、800字書評を書くとき、800字より多めになることが多く、そこから削って800字以内にする作業があるのだが、その作業をchat gptにやらせるとクソみたいな文章になることがわかった。プログラムを書く時やちょっとした調べ物をする時などはchat gptは大変便利なのだが、こういったことはchat gptは苦手なんだと思った(こちらの入力を工夫すればもっとマシな文章ができるかもしれないが)。 この本を選んだ理由今

          森田邦久『科学哲学講義』【基礎教養部】

          ジェイラボワークショップ第65回『科学と倫理』【物理学部】[20231002-1015]部長総括#JLWS

          具体的なWSの内容は以下のnote記事をご覧ください: 今回のWSでは、『科学と倫理-AI時代に問われる探究と責任』という本を題材にして、「科学と倫理」について議論しました。その題材にした本は全13章で構成され、章ごとに筆者・内容が異なり、リレー講義のようなものとなっています。その13章の中から各部員が担当する章を1章ずつ選び、合計4章分をこのWSで扱いました。内容は、「盗用をしてはいけない」、「引用の仕方」などといった実用的なものではなく、上のWSまとめnote記事を読ん

          ジェイラボワークショップ第65回『科学と倫理』【物理学部】[20231002-1015]部長総括#JLWS

          源河亨『悲しい曲の何が悲しいのか-音楽美学と心の哲学』【基礎教養部】

          https://www.j-lectures.org/music/kanasiikyoku/ 書評は上のサイトを参照。 本を読んだ感想などまず、この本は論理の流れがとてもわかりやすい。本書冒頭の「各章概要」では各章でどのような内容を述べるかが要約されており、本文中でも要所要所でこれまでの論理展開のまとめやこの後の方針がまとめられていて、頭を整理しながら読むことができる。この本は、全10章から構成されているが、最終章「悲しい曲の何が悲しいか」に向かって、論理が積み上げられて

          源河亨『悲しい曲の何が悲しいのか-音楽美学と心の哲学』【基礎教養部】

          橘玲『世界はなぜ地獄になるのか』【基礎教養部】

          『世界はなぜ地獄になるのか』は、同じコミュニティのメンバーであるchiffon cakeさんに紹介していただいた本である。chiffon cakeさんによる書評およびNote記事は以下を参照: 本書および前回のNote記事で扱った『君は君の人生の主役になれ』では、「差別」について書かれている部分が多くあったので、今回のNote記事では、「差別」について考えていることについて述べようと思う。 私は、「差別」となる原因となっている事柄(例えば、肌が黒いこと、性的少数者であるこ

          橘玲『世界はなぜ地獄になるのか』【基礎教養部】

          鳥羽和久『君は君の人生の主役になれ』【基礎教養部】

          『君は君の人生の主役になれ』は、同じコミュニティのメンバーであるイヤープラグさざなみさんに紹介していただいた本である。イヤープラグさざなみさんによる書評およびNote記事は以下を参照: イヤープラグさざなみさんの書評・Note記事にもあるように、本書は主に中高生向けに書かれており、そのメッセージの1つが「世間(大人たち)から受けるコントロールに自覚的になれ」ということである。世間から受けるコントロールに自覚的になるためのヒントとして本書では学校や家庭などの身近なことや資本主

          鳥羽和久『君は君の人生の主役になれ』【基礎教養部】

          ジェイラボワークショップ第59回『推しの子(物理学者)』【物理学部】[20230626-0709]部長総括#JLWS

          今年度から、ワークショップ後に総括を部長がすることになりました。ワークショップのログは以下のNote記事をご覧ください: 今回のワークショップでは、部員それぞれが1人ずつ物理学者を選び、その物理学者の業績や生涯を調べてそれを発表するという形で進めました。ちなみに、ワークショップタイトルの案としては、「推しの子(物理学者)」、「天才物理学者列伝」、「この物理学者がすごい」の3つが候補にありましたが、僅差で「推しの子(物理学者)」が選ばれました。 普段、本や講義で物理学を学ぶ

          ジェイラボワークショップ第59回『推しの子(物理学者)』【物理学部】[20230626-0709]部長総括#JLWS

          モンティ・ライマン(著)、塩﨑香織(訳)『皮膚、人間のすべてを語る-万能の臓器と巡る10章』【基礎教養部】

          『皮膚、人間の全てを語る-万能の臓器と巡る10章』は、同じコミュニティのメンバーであるあんまんさんに紹介していただいた本である。あんまんさんによる書評およびNote記事は以下を参照: (書評は公開されるまでもう少しお待ちください) 本書は、皮膚科医であり皮膚オタクでもある(?)モンティ・ライマンが、自身の豊富な経験をもとに、皮膚について多角的に解説したものである。生物をあまり勉強したことがない僕にとってたまに言っていることがわかりにくかったり、翻訳を通してあるせいなのか、た

          モンティ・ライマン(著)、塩﨑香織(訳)『皮膚、人間のすべてを語る-万能の臓器と巡る10章』【基礎教養部】

          國分功一郎『暇と退屈の倫理学』【基礎教養部】

          『暇と退屈の倫理学』は、同じコミュニティのメンバーである蜆一朗さんに紹介していただいた本である。蜆一朗さんによる書評およびNote記事は以下を参照: また、あんまんさんも本書に関するNote記事を書いていらっしゃるのでそちらも参照されたい: 蜆一朗さんによるNote記事にも書かれているように、本書は哲学書であるにもかかわらずかなり読みやすかった。前回書評を書いた岡田暁生『音楽の聴き方−聴く型と趣味を語る言葉』では前提知識が必要でやや難解な具体例が多かったが、今回の本は身近

          國分功一郎『暇と退屈の倫理学』【基礎教養部】

          岡田暁生『音楽の聴き方-聴く型と趣味を語る言葉』【基礎教養部】

          書評は上のサイトを参照。 また、同じコミュニティのメンバーの蜆一朗さんとあんまんさんも同じ本でNote記事を書いてくださった: アマチュアにとっての音楽の楽しみ方-音楽は「上手・下手」ではなくて「音楽をしている・していない」コロナ禍になって家で過ごす時間が増加したことやストリートピアノの普及、You Tubeなどのメディアの影響により、趣味としてピアノなどの楽器を始める人が最近増えているそうだ。私もそのうちの1人であり、最近本格的にピアノを再開した。我々アマチュアはどのよ

          岡田暁生『音楽の聴き方-聴く型と趣味を語る言葉』【基礎教養部】