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お地蔵様の居場所

お地蔵さまは近所の道端や辻にいらして、仏様の中でも一番ポピュラーな存在ではないでしょうか。
しかし、お地蔵様には「ここ」という決まった居場所があるようなのです。
今回はお地蔵様の居場所に関するお話をご紹介します。

大根島のお地蔵様

私の住む境港市の隣に、島根県の「大根島(だいこんしま)」という島があります。
湖に浮かぶ平べったい大きな島で、今は埋め立てられた道路で境港市や松江市と地続きになり、特産品の牡丹を見に行ったり、河津桜を見に行ったりと良く行き来するところです。

寒牡丹 大根島の名産

大根島は牡丹の花とともに「高麗人参」が特産品で、広い畑が島の中央に広がりますが、その中を一本道が貫いてるのです。

その道の脇に、1体のお地蔵さまが「そっ」と立っています。
どうやらかなり昔からその場所に鎮座しているとのことで、地元の人もいつからなのかは分からないとのこと。

場所を移動すると・・・

元々その道路は少し狭かったので、拡張することになりました。そして、道路わきに有ったお地蔵さまも、ほかの場所に移転することになったそうです。

どこに移動させたのかは聞いていませんが、その移動場所でのこと。
お地蔵さまの周辺から奇妙な鈴の音が聞こえてきて、ガタガタと本体が震えだしたというのです。

場所が違う

これには地元の人達もたまげて話し合った結果、「元の場所へ返せ」と言っているのでは、との結論に達してお地蔵様の場所を元に戻したらしいのです。

これにより鈴の音と振動はパッタリと治まり、今でも元の場所に鎮座しているとのこと。

近所のお地蔵様

私の家の近くに空き地があり、昔からお地蔵さまが立っていました。その数たしか6体。
私もその風景が大好きで、前を通るときには手を合わせていたものです。

近所の空き地のお地蔵様

その空き地の方向には行く用事が無く、ちょっとの間足が遠のいていました。
しかし数年前のこと、やけにこのお地蔵様のことが気にかかり、お地蔵様のいる空き地に行ってみました。

罰当たりめ

そこには新しいコーポが建ち、何とお地蔵様の姿が消えてゴミ置き場になっていたのです。
これにはさすがの私も衝撃を受けました。

最近空き地には、すぐにコーポが建つ

どこかのお寺に引き取られたのか、違う場所に移転したのか、まさか廃棄されたという事は無いでしょうが、ゴミ置き場にするためにお地蔵様を撤去するなんて、
今でも腹わたが煮え返ります。

コーポが建つ以前は暖かい感じが体を包んでくれる場所だったのですが、今では空気が冷たく、おかしな感覚となってしまう場所となりました。

お地蔵様には定位置がある

お地蔵様の居場所に関しては、色々な人が今回ご紹介したような話をしてくれます。
私だけが感じるものではなく、霊感の弱い人でも冷たい空気感を感じているらしいのです。

お地蔵さまがなぜ定位置にこだわるのかは分かりません。しかし居場所が決まっているのは確かなようです。

コーポを建てるのは不動産屋として当然の業務なのでしょう。でも見慣れたお地蔵様がいなくなるのは、地元の人間にとっては寂しく辛いことなのです。

撤去せずに済むのならそうしてもらいたいし、それができなくても昔から住民を見守って下さったお地蔵様に、もっと敬意を払うべきではないでしょうか。


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