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ソードワールド2.5技能総評 はじめて編


はじめに

本誌は、ソードワールド2.5において最も重要と言っても過言ではない要素「キャラクタークリエイト」において、プレイヤーの頭を悩ませる要素の一つ「技能」について、プレイヤーの一助となるべく執筆されたものである。
各技能の魅力・特徴について触れ、技能に対してより詳細な理解を得ることを目指す。
※解説には執筆者の主観が大いに含まれる。執筆者の好みや経験を基軸として解説を行うが、それは必ずしもあなたの好みとはマッチしないだろう。以下に記された解説が諸君の価値観にそぐわない場合には、本誌のことは忘れ自由に技能を選択すべきである。
なお、本誌ははじめて編と題しルールブックⅠに掲載された技能のみを紹介した初心者向けの記事だ。この記事を公開したのちにルールブックⅡ以降の技能についても解説する場を別途設けるので、ソードワールドを既に遊んだことのある諸君はそちらも併せて参考にしてほしい。

技能とは?

「技能」という言葉に聞き慣れない響きを覚えるプレイヤーはきっと少なくないだろう。どの技能が…と考える前に、技能の定義について説明せねばならない。
技能とは「ソードワールド2.5の世界において、あなたのキャラクターが持つ技術や職能の総称」である。現代日本で例えるなら、技能は「会社員LV.1」や「絵描きLV.1」と表現できるだろう。ピンときた諸君もいるかもしれないが、これはRPGにおける「職業」「ジョブ」に近い存在といえる。
すべての技能にレベルが存在し、技能の習熟はそのレベルの上下で表現される。なお、技能の修得によってゲーム内で行う判定行為にボーナスを加えることができる。裏を返すと、技能がなければ判定行為をすべて平目(補正のない2d6のこと。その道の素人相当)によってしか行えない。
キャラクターは、自身の持つ経験点によって好きな技能を習得することができる。また、個人が習得できる技能の種類の数には制限がない。現代において画家とミュージシャンの両方で活躍する人物がいるように、あなたのキャラクターも経験点が許す限り、複数の技能を組み合わせることが可能だ。技能間には組み合わせの相性が存在し、キャラクタークリエイトのうえではどう組み合わせるのかも肝要となる。ああでもない、こうでもないとあれこれ思い悩む所がキャラクタークリエイトの最も楽しい部分だ。

ルールブックⅠ掲載技能リスト

  • ファイター

  • グラップラー

  • フェンサー

  • シューター

  • ソーサラー

  • コンジャラー

  • プリースト

  • マギテック

  • スカウト

  • レンジャー

  • セージ

技能解説(ルールブックⅠ)

ファイター

行える判定:命中力判定 回避力判定
技能行使時の制限:なし
経験点テーブル:A
 ソードワールド2.5において花形となる戦士系技能の一つ。イメージのしやすさと防御能力は他の追随を許さない。
 また、最も大きな特徴として「近接武器と防具の装備に一切の制限がない」点が挙げられるだろう。これによって、高品質な武器防具に身を包んだ重戦士としての活躍が期待される。良質な装備を追求するため装備にお金はかかるが、戦闘での行動が単純な初心者向けの技能だ。
 全体的に癖のない技能であり、ほとんど全ての技能と組み合わせることができる。魔法戦士といった組み合わせを考える際にはまずこのファイターが候補に挙がるだろう。ただし、重厚な≒防御性能が高い鎧は往々にして回避にが下がる。攻撃を避けるのではなく、攻撃を受けて切り返す運用が主になるだろう。ファイターは最前線で敵と殴り合う重戦士志望のあなたや、敵の攻撃を受けきり味方の盾となりたいあなたにおすすめだ。

おすすめの組み合わせ
ライダー コンジャラー プリースト デーモンルーラー

グラップラー

行える判定:命中力判定 回避力判定
技能行使時の制限:「グラップラー装備可能」と効果にある防具以外装備不能
経験点テーブル:A
 武器を持たず徒手空拳で戦う技能。体術を活かした幅広い戦法を取ることができる。「パンチ」「キック」自体はどの技能でも行える攻撃だが、グラップラーはこの2つを極限まで強化する技能だ。グラップラーは上記2つの攻撃方法に加え「投げ」攻撃も行うことができる。3つの攻撃手段を使い分ける多彩な戦いができるだろう。
 グラップラーを習得する最も大きなメリットは「追加攻撃」だ。簡単に言うと2回攻撃である。手数を増やすことで強化効果の恩恵を受けやすくなるため、支援魔法の効果を最大限に活かすことができるのもこの技能の強みといえるだろう。
 他の追随を許さない多彩な攻撃性能が整えられているものの、防具にかなり強い制限がある。そのため、回避に失敗してしまった時には悲惨な結果が待っているだろう。単独での戦闘では常にこの回避失敗のリスクが重くのしかかる。よくも悪くも仲間の支援とともに戦う攻撃特化の技能だ。

おすすめの組み合わせ
エンハンサー スカウト マギテック アルケミスト

フェンサー

行える判定:命中力判定 回避力判定
技能行使時の制限:装備品の必要筋力には筋力の半分のみを適用する
経験点テーブル:B
 蝶のように舞い蜂のように刺す軽やかな戦士だ。軽い武器しか扱えないものの、時々ダメージが爆発的に増加する一撃必殺型の戦士となる。成長に必要な経験点が低いことも魅力で、他の様々な技能を複数取りつつも、前線に出て戦うことを目指した時に第一に挙がる技能だ。
 フェンサー技能を使用した行動の際には、あなたは筋力の半分までの装備品しか装備できない。平たく言うと軽い武具しか持てない。しかしこの重い制限を負うメリットとして、フェンサー技能を適用する攻撃は常にクリティカル値が-1される。「2d6におけるクリティカルの要求値が1下がる」と言うとなんとも難解になってしまうが、強いという事だけ把握しておけばよい。回避主体で立ち回り、隙を見て一撃必殺を狙うバランスのとれた技能だ。

おすすめの組み合わせ
フェアリーテイマー スカウト エンハンサー アルケミスト

シューター

行える判定:命中力判定
技能行使時の制限:なし
経験点テーブル:B
 弓や銃などの遠隔武器によって敵を射貫く技能。全技能の中で唯一射撃武器を扱うことができ、遠距離からの一方的な火力支援が持ち味。
 シューター単体でも十分な攻撃性能を誇るものの、ソードワールド2.5において王道となるのはこの技能と魔法使い技能のひとつ「マギテック」を組み合わせて銃を扱う組み合わせ「マギテックシューター」であろう。この技能によって扱う銃のダメージは魔法として扱われるため、対象の装甲を無視できる。堅牢な鎧すらものともしない強力なダメージディーラーとなる。
 他の技能からの強化効果を比較的受けやすく、種族によるバラつきはあれどシューターに不向きな種族はそれほど存在しない。自己完結型のわかりやすい技能といえる。ただし、戦士系技能に分類されておきながらも回避力判定ができない技能であるため、前衛に出ることだけはやめておいた方がよい。

おすすめの組み合わせ
マギテック エンハンサー アルケミスト プリースト

ソーサラー

行える判定:魔法行使判定
技能行使時の制限:魔法の使用には「魔法の発動体」という装飾品が必須
金属鎧or必要筋力10以上の非金属鎧を装備している場合魔法行使判定-4
経験点テーブル:A
 多種多様な魔術が揃った魔法使い技能筆頭。剣と魔法の世界における魔法担当であり、プレイヤーが思い描く「魔法使い」としてのイメージに最も近いのは恐らくソーサラーだろう。
 ソーサラーの扱う「真語魔法」というカテゴリは主に雷撃や火球、吹雪などの攻撃的な魔法で構成されているほか、翻訳や施錠/解錠などの探索に役立つものもラインナップされている。敵の弱化も得意であり、攻撃や弱化などの直接的な関与によって戦場を支配することが得意だ。
 ソーサラーには噛み合わせがよい他技能がいくつか存在し、ときたま化学反応を起こすこともある。なかでもコンジャラーとの組み合わせには一見の価値があり、同時に取得することで「ウィザード」という特殊な魔法使い技能が解禁され魔法がいくらか追加される。魔法戦士にしても強力だ。
魔法によって敵を圧倒する正統派魔法使い、ソーサラーである。

おすすめの組み合わせ
コンジャラー フェアリーテイマー スカウト セージ

コンジャラー

行える判定:魔法行使判定
技能行使時の制限:魔法の使用には「魔法の発動体」という装飾品が必須。金属鎧or必要筋力10以上の非金属鎧を装備している場合魔法行使判定-4
経験点テーブル:A
 味方の支援に特化した魔法使い。味方の能力を底上げすることで強敵とも対等に渡り合うことができるようになる。
 コンジャラーは「操霊魔法」というカテゴリの魔法を使うことができ、味方の支援に重点を置いていることに加えて攻撃/回復/強化/弱化といった一通りの魔術が揃っている。支援魔法を除くそのどれもが専門職の出力には及ばないものの、これらをたった一つの技能がすべて行えることには大きな意味があるだろう。もちろん自身も強化することができるため、ファイターがコンジャラーを嗜み、自らを強化して戦う姿も散見される。便利だ。
 また、コンジャラーのもうひとつの特徴としてレベル3からは「ゴーレム」を錬成する魔法を習得することが挙げられる。ゴーレムは自身に従属する1キャラクターとして自由に動かせるため、プレイヤーの創意工夫次第ではユニークな戦術を取ることも可能となる。便利だ。
 魔法の一つ一つは地味ながらも出来ることは非常に多く、自身と仲間を支える柱となれる便利な魔法使い技能、それがコンジャラーである。

おすすめの組み合わせ
ソーサラー プリースト ファイター セージ

プリースト

行える判定:魔法行使判定
技能行使時の制限:装飾品「聖印」の装備
経験点テーブル:A
 神に祈りを捧げ教義を体現し、その対価として魔法を授かる技能。攻め手には欠けるものの回復魔法や補助魔法に優れ、パーティの生存率を引き上げる。
 「神聖魔法」というカテゴリの魔法を扱い、防御性能を引き上げる魔法を数多く習得するほか、回復力は魔法使い技能の中でも随一で味方の継戦能力を大きく伸ばすことができる。パーティに一人は必ず欲しいところだ。
 また、プリーストにだけは「特殊神聖魔法」という追加の魔法が存在する。神への祈りによって魔法を使うと先述したが、ソードワールド2.5の世界には大勢の神々が存在しており、プリーストになる際にはそのうち1つの神を選択して信仰することになる。個性豊かな神が存在するうえに、信仰する神によって扱う魔法が変動する。かなり強力な魔法を擁する神も存在するほか、神ごとに教義なども詳しく定められている。RP面でも楽しさがある技能といえるだろう。
 プリーストだけをひたすら伸ばす方式が強力でありながらも、プリーストは他の魔法使い技能とは異なり鎧に全く制限がない。重い鎧と回復を両立した「神官戦士」という組み合わせはシューターの項で述べたマギテックシューターに並び、ソードワールドにおける伝統的な組み合わせだ。
味方を守り、癒し、神の教えを体現する存在。それがプリーストだ。

おすすめの組み合わせ
ファイター コンジャラー フェアリーテイマー アルケミスト

マギテック

行える判定:魔法行使判定
技能行使時の制限:装飾品「マギスフィア」3種のうちどれかの装備が必須
経験点テーブル:A
 遥か昔のロストテクノロジー「魔動機術」を用いる技能。マギスフィアというアイテムを媒介して機械とともに戦う。
探知機や望遠鏡などの便利な魔法が揃っており、煙幕やワイヤー、果てにはバイクなども作り出せるため応用性が高く、アイデア溢れる柔軟なプレイヤーにおすすめ。「○○・バレット」という弾丸を錬成する魔法も特徴的で、シューター技能との組み合わせでは銃を扱うことも可能だ。
 前衛と後衛を問わず様々な判定を補助できる多様な魔法が揃っているが、マギテックが持つ大きな特徴として「マギテック単体ではそれほど強くない」ことが挙げられる。あくまでほかの技能に添えることで輝く技能だろう。
 ほか「低レベルに強力な魔法が揃っている」という特徴から、高レベル帯では1~2レベルのみマギテックを習得するキャラビルドも広く存在し、探索と戦闘の両面から冒険を便利にしてくれる。
どう使うかはあなた次第。多彩な魔法使いのマギテックである。

おすすめの組み合わせ
シューター グラップラー スカウト ファイター

スカウト

行える判定:隠蔽判定 解除判定 スリ判定 変装判定 罠設置判定 受身判定 隠密判定 軽業判定 先制判定 登攀判定 尾行判定 足跡追跡判定 異常感知判定 聞き耳判定 危険感知判定 探索判定 地図作製判定 天候予測判定 宝物鑑定判定 罠感知判定
技能行使時の制限:アイテム「スカウト用ツール」を所持していないと解除判定に-4のペナルティ
経験点テーブル:B
 さて、上記の行える判定をすべて読んだ根気のある方はどれほどいるだろうか。真っ先に挙げられるスカウトの強みはこの判定の多さであるといえる。最重要となる探索判定や先制判定を網羅しているほか、遺跡や洞窟を探索する際には必須となる判定が揃えられている。パーティに1人はいないと冒険が成立すらしない。
 また、レベルが上がっていくと強力な特技を自動で修得するため、ただの探索専用技能と言うだけではないというのも長所だ。その効果はなんと「2回行動」である。根気よく探索技能を上げたキャラクターへのご褒美だろうか?
 ただし、金属鎧を身に着けている場合には隠密行動が困難になる。軽装の戦士と相性がいい。スカウトは誰かにおすすめする技能というよりは、シナリオを攻略する誰かが習得していることが大前提となる技能だ。

おすすめの組み合わせ
グラップラー フェンサー マギテック アルケミスト

レンジャー

行える判定:隠蔽判定 応急手当判定 解除判定 罠設置判定 受身判定      隠密判定 軽業判定 登攀判定 尾行判定 足跡追跡判定 異常感知判定 聞き耳判定 危険感知判定 探索判定 地図作製判定 天候予測判定 病気知識判定 薬品学判定 罠回避判定
経験点テーブル:B
 探索を司る技能のうちスカウトに次ぐ技能。こちらも多種多様な判定が可能だ。しかし、上記の判定のなかには「自然環境の中でないと行えない」判定がいくつか存在する。スカウトに比べて判定の種類も限られており、探索という観点から見るとスカウトにはどうしても一歩劣る。
 しかし、レンジャーだけがもつ個性として「薬草/ポーションの扱いに長ける」という点が挙げられる。薬草やポーションの回復量を4倍ほどに大きく伸ばすことができ、神官とは一味違う回復役としてパーティを支える。
 レベルが上がることで強力な特技を自動習得し、それによって粘り強く戦うことが可能となる。重装備の戦士と相性がいいといえるだろう。

おすすめの組み合わせ
グラップラー シューター ソーサラー ドルイド

セージ

行える判定:見識判定 地図作製判定 病気知識判定 文献判定 文明鑑定判定 宝物鑑定判定 魔物知識判定 薬品学判定
経験点テーブル:B
 知識や分析に重点を置いた探索系技能の一つ。「学者」と表現されることが多い。行える判定も魔物の知識に関するものや文献の解読など知識に関連したものが多く、情報収集が主となるシティシナリオはもちろんのこと、遺跡で発見したアイテムの解析など活躍の場を選ばない。
 全ての判定に知力ボーナスを適用するため、同じく知力を多用する魔法使いと合わせて習得するとわかりやすい。レベルアップによる特技習得の中には「魔法ダメージ軽減」が存在するため、前衛とも適性がある。取り立てて相性の悪い技能は存在しない。ほかの技能というよりはキャラの知力と相談だ。

おすすめの組み合わせ
ファイター ソーサラー フェアリーテイマー

おわりに

 いかがだっただろうか。本誌ではソードワールド2.5における基本的な技能を解説してきた。ルールブックⅡ以降に掲載されている技能は補助的な技能や難解な技能がほとんどであるため、初心者にはお勧めできない。
 「はじめてソードワールドをします」というプレイヤーにはここまでに挙げた候補から選択する方がわかりやすく、楽しいセッションとなることを伝えたいという思いから本誌を執筆した次第だ。
 そして既にソードワールドを遊んだことがある諸君には、今後執筆する「ソードワールド2.5技能総評 ベテラン編」にも目を通して頂き、是非ともあなただけのキャラクターを作っていただきたい。


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