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ソードワールド2.5技能総評 ベテラン編


はじめに

本誌は、ソードワールド2.5において最も重要と言っても過言ではない要素「キャラクタークリエイト」において、プレイヤーの頭を悩ませる要素の一つ「技能」について、プレイヤーの一助となるべく執筆されたものである。
各技能の魅力・特徴について触れ、技能に対してより詳細な理解を得ることを目指す。
※解説には執筆者の主観が大いに含まれる。執筆者の好みや経験を基軸として解説を行うが、それは必ずしもあなたの好みとはマッチしないだろう。以下に記された解説が諸君の価値観にそぐわない場合には、本誌のことは忘れ自由に技能を選択すべきである。
なお、本誌はベテラン編と題してルールブックⅡ,Ⅲ,サプリメントにて追加された技能を紹介した中~上級者向けの記事だ。ルールブックⅠに掲載されている技能は「ソードワールド技能総評 はじめて編」にて取り上げている。そちらも併せて参考にしてほしい。

解説技能リスト

ルールブックⅡ掲載技能

  • フェアリーテイマー

  • エンハンサー

  • バード

ルールブックⅢ掲載技能

  • ライダー

  • アルケミスト

サプリメント追加技能

  • ドルイド

  • デーモンルーラー

  • ジオマンサー

  • ウォーリーダー

  • バトルダンサー

技能解説(ルールブックⅡ)

フェアリーテイマー

行える判定:魔法行使判定
技能行使時の制限:金属鎧を着ていると魔法行使-4
経験点テーブル:A
 妖精と心を通わせることでその力を借り、多彩な魔法を使いこなす技能。力を借りるという観点でいえばプリーストに近く、どのような妖精から力を借りるかによって扱う魔法が変動するため一元化されないテクニカルな行動ができる。その分魔法使い技能の中でもポテンシャルは随一だ。
 フェアリーテイマーとなったキャラクターは「土,水,炎,風,光,闇」の6属性から任意の4属性を選び、毎朝その属性の妖精と契約することになる。属性ごとに異なる魔法が用意されており、どの属性を選択するかで戦法が大きく異なるものになる。サプリメント「メイガスアーツ」を導入すれば契約をより柔軟に行うこともでき、様々なメリットを得られるだろう。
 選択して契約するシステムの存在によってできることが多く、技能の組み合わせも比較的柔軟に行える。魔法戦士はもちろんのこと、他の魔法使い技能と組み合わせ、組み合わせた相手ができないことを補う運用も強力だ。フェアリーテイマーは、どの技能と合わせても一定の活躍ができる隙がない技能といえるだろう。

おすすめの組み合わせ
フェンサー ソーサラー コンジャラー スカウト セージ

エンハンサー

行える判定:なし
技能行使時の制限:呼吸ができること
経験点テーブル:B
他の技能が「どうやって戦うか」をテーマにしているのに対し、エンハンサーは「いかにして己を強化するか」をテーマとした技能だ。特殊な呼吸法を用いることで自身に動物的な特徴を付与し、素早く走ったり体を硬質化させる芸当ができる。
なお、この技能を含む《その他技能》には特徴があり、「レベルごとに好きな技を1つ習得できる」というシステムとなっている。
エンハンサーは判定行為を一切行えないため、この技能はほかの技能の補助として使うことが多い。エンハンサーが使う技である《練技》という技も強化効果自体は非常に強力だが判定にボーナスを得るものがほとんどで、エンハンサーはあくまで添えるだけだ。メインとなる技能を補助する目的で1~2レベルだけ習得しておくことになるだろう。

おすすめの組み合わせ
ファイター グラップラー フェンサー バトルダンサー シューター

バード

行える判定:演奏判定
技能行使時の制限:アイテム「楽器」の装備
経験点テーブル:B
「呪歌」と呼ばれる歌によって戦場に様々な影響を与える「吟遊詩人」と呼ばれる技能。味方のサポートや敵の弱化はもちろんのこと、攻撃や回復に回ることもできる万能型のスペックを持っている。1レベル上がるごとに1つの呪歌を選んで覚えるため、ビルドの度にすることが180度変わることもある個性的な技能だ。
自身の番に演奏した呪歌に応じて「楽素」という要素が溜まり、それを消費して「終律」という必殺技が使える。また、呪歌は戦場全体に効果があり、敵味方全員がその効果の影響を受ける。それゆえに味方に弱化がかかってしまうことがあるが、呪歌の強化/弱化効果は「いま歌が聞こえるか」に依存して効果が出るため、もしも味方に弱化効果がかかってしまっても、行動順を調整すれば問題は起こらない。おおらかなようでいてテクニカルな立ち回りが要求されるベテラン向けの技能だろう。
攻撃・回復・補助。どれもをこなせるため、パーティーを支える縁の下の力持ちになれる技能だ。

おすすめの組み合わせ
アルケミスト ドルイド コンジャラー セージ ウォーリーダー

技能解説(ルールブックⅢ)

ライダー

行える判定:騎乗判定 魔物知識判定
技能行使時の制限:騎獣の所有及び随行
経験点テーブル:B
心を通わせ、自身の相棒となる同行クリーチャー「騎獣」を扱う技能。動物や機械に乗って戦うことで自身の戦闘力を引き上げることはもちろん、自身と騎獣が離れることで1人が2人分の戦力となることもできる便利な技能だ。
この技能ではレベルに応じた騎獣が扱えるほか、特技である「騎芸」を選んで習得することができる。騎獣を強化したり技を覚えさせたり、行動の選択肢がかなり多い技能だ。
弱点としては、この技能では使い手本人がいっさい強化できないことが挙げられる。相棒に指示を出す主人が弱いようだと格好がつかないため、ライダーのほかに何らかの技能を合わせて取得することをお勧めする。その組み合わせにはこれといった縛りはなく、騎獣にもかなり多くのバリエーションがある。ありていに言うなら「自由ゆえむしろ悩む」といったところだろう。

おすすめの組み合わせ
ファイター フェンサー ソーサラー プリースト ウォーリーダー

アルケミスト

行える判定:見識判定 文献判定
技能行使時の制限:「アルケミーキット」の装備
経験点テーブル:B
アルケミストによると、世界を構成する要素は「赤/緑/金/白/黒」の5つに大別できるらしい。それらを「マテリアルカード」によって媒介して使う技能がアルケミストだ。このカードはアイテムとして購入することができ、アルケミストはいわば「お金」をダイレクトに力に変える技能ともいえる。
アルケミストが使う技は「賦術」と呼ばれ、そのラインナップは回復と補助に大きく寄ったものになっている。効果それ自体はコンジャラーやプリーストなどにも存在するものだが、しかしアルケミストの真価はこれらの効果を「補助動作で」使えるところにある。1ターンに1回だけという制限はあるものの、手番を消費せずに回復や補助をかけられるため、1レベルから安定した活躍が見込める。
ただしアルケミスト自体に攻撃性能はなく、効果は買ったカードの質に依存しているため、技の優先順位を間違えるとただただ散財するだけの案山子になりかねない。ソードワールドにある程度慣れたプレイヤーにおすすめしたい技能だ。

おすすめの組み合わせ
ファイター グラップラー シューター スカウト セージ

技能解説(サプリメント)

ドルイド

行える判定:魔法行使判定
技能行使時の制限:「宿り木の棒杖」の装備&金属鎧装備時魔力-4
経験点テーブル:A
サプリメント「モンストラスロア」で追加
ドルイドは大自然に宿る精霊の力を借りて魔法を使う技能だ。物理ダメージを与える魔法や、動物が持つ特殊能力を部分的に再現する変わり種の魔法が揃っており、他の技能とは一風変わった行動が特徴だ。
魔法の名称に動物の名前が付けられたものが多く、動物の精霊に手伝ってもらい様々なことをしてもらう魔法が多い。様々な効果を補助動作で使うことができ、1ターンにいくつもの強化を味方に届けることができる強力な支援職だ。
ただし、魔法1つ1つの消費MPは大きく効果時間も短い。中ボス戦の時点でMPを使い果たしてしまうこともザラにあるほどだ。ご利用は計画的に。
強化そのものは非常に強力なため、戦場全体を見渡して戦術を組み、パーティに不足しているものを的確に補助する戦闘センスが問われる短期決戦型の支援役といえる。

おすすめの組み合わせ
フェンサー プリースト フェアリーテイマー レンジャー ジオマンサー

デーモンルーラー

行える判定:魔法行使判定 送還判定
技能行使時の制限:「金属鎧」着用の際は魔法行使判定-4
経験点テーブル:A
サプリメント「モンストラスロア」で追加
ドルイドが精霊から力を借りるのと同様に、デーモンルーラーは「魔神」という種族から力を借りる。魔神は本来人族の敵としてその滅殺が叫ばれているが、デーモンルーラーたちは「毒を以て毒を制す」思想のもとで魔神の研究に勤しんでいるようだ。
魔神の持つ特徴を己の身に再現する魔法が多く、デーモンルーラーにしかないユニークな魔法が多い。ただし魔法の中にはMPだけでなくHPも要するものが存在するため、むやみに乱用すれば文字通り命取りになる。
また、デーモンルーラー固有の行動として「魔神召喚」ができる。制約は多いものの、呼び出した魔神はキャラクターと遜色ない戦力としてあなたの力になってくれるだろう。魔神にたまに裏切られることもあるが、そこはご愛嬌だ。

おすすめの組み合わせ
ファイター フェンサー ソーサラー コンジャラー バトルダンサー

ジオマンサー

行える判定:探索判定 天候予測判定
技能行使時の制限:アイテム「ジオグラフ」の所持
経験点テーブル:B
サプリメント「メイガスアーツ」で追加
世界は「天地人」の要素に溢れている。ジオマンサーはその要素に干渉し、自身の消耗なく様々な現象を引き起こす技能だ。空に干渉すれば雷が、大地に干渉すれば泥沼が、人の力で相手を呪うこともできる。演出が大変かっこいい技能ともいえる。
ターンごとに蓄積される「命脈点」という要素を消費し、消費した点数に応じた効果で戦場を支配する。
この技能の最も優れた点は「HPやMPなどのリソースを一切消耗しない点」だろう。また、ターンを追うごとに使った技が1つずつ累積されていくため、戦闘が進むごとにその圧力は増していく。長期戦に適した戦法と相性のいい技能と言えるだろう。

おすすめの組み合わせ
ファイター フェアリーテイマー ドルイド デーモンルーラー バード

ウォーリーダー

行える判定:先制判定
技能行使時の制限:装飾品「軍師徽章」の装備
経験点テーブル:B
サプリメント「メイガスアーツ」で追加
PCたちは3~4人ほどの少人数で徒党を組み、敵と戦う冒険者となるが、ソードワールドの世界には他にも戦闘職が存在する。それは「騎士」だ。個々の戦闘力は冒険者に劣るものの圧倒的な数を誇り、大規模な戦闘や治安維持などで活躍する。そんな騎士たちを鼓舞し、導くのがウォーリーダーだ。
ウォーリーダーは多人数での戦いを導き、様々な強化を仲間に届けることができる。攻守様々な支援で戦況を有利にできるほか、数ターンに一度は自身に強烈な強化をかけることもできる。仲間の人数が多いほど存在感が高まる特殊な支援技能だ。

おすすめの組み合わせ
ファイター コンジャラー バード ライダー ドルイド

バトルダンサー

行える判定:命中力判定 回避力判定
技能行使時の制限:「グラップラー装備可能」とある防具以外装備不能
経験点テーブル:A
サプリメント「バトルマスタリー」で追加
鎧らしい鎧をまとわず、舞うような動きで戦う技能。武器の扱いに長けており、手数やバリエーションに優れた戦い方を取る。
防具には強い制限を被るもののありとあらゆる武器を扱える。本来ならばグラップラーでしか装備できない格闘武器も自由自在だ。他の技能を使うよりも戦闘特技を多く修得できるのも忘れてはならない魅力の1つだろう。
その特性ゆえに「何を選ぶか」がとても重要になる技能であり、どういったキャラクターを作成するかで強さにも大きな幅ができる玄人向けの前衛技能だ。

おすすめの組み合わせ
フェアリーテイマー デーモンルーラー スカウト エンハンサー アルケミスト


おわりに

いかがだっただろうか。ここまで読んだだけでもあなたはソードワールド2.5にかなりの習熟を得ているだろう。戦闘特技《システム習熟:ソードワールド2.5/A》といったところだろうか。
拙作「はじめて編」に比べてテクニカルな技能が多く、そもそもシステムに慣れていないとまともに動けないような技能も存在する。そのうえに、これらの技能を使おうと思ったら該当する本を買う必要がある。使用難易度は折り紙つきだが、できることの派手さ、かっこよさ、強さはこちらで紹介した方が従来のものよりも幾分か上を行く。ぜひとも、これらの技能であなただけのキャラクターを作り上げてもらいたい。

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