ご自愛してますか
自分のことを後回しにしてしまっている人へ。
忍耐で乗り越える精神を教えられてきた私たち。
言われてなくても頑張る人は、今も沢山いる。
仕事って、人生って…そういうもんなのかな。
以下、先ゆく大人に習って働いたら、適応障害になっちゃった〜っていう、令和のとある若者のお話です。
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当たり前にお腹がすいて、当たり前にご飯を食べ、ぐっすり眠る生活に戻れなくなったのは2022年3月のことだった。
職場は勤め出して3年目に突入するところだった。
経験を自信に繋げたかった。
現場のこと、とにかく色々あったけど、「これも経験」と言い訳して、ひたすら業務をこなす他なかった。
帰宅が遅かったり、出勤が早かったり、連勤になってしまう時は、食べるより寝るほうを優先させていた。
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2月頃から夜中に目が覚めたり、早く起きすぎることが増えた。
自分の体重は徐々に減っていった。(体型のことは気にしていたから、痩せるのは嬉しいことだと思った)
お弁当の味がしないのは仕事の段取りが気になるから。
お腹が空かなくなったのは業務に集中してるから。
涙が出やすいのは涙もろい性格だから。
字が時々読めなくなるのは乱視だから。
人間関係がうまくいかないのはみんな大変だから。
毎日死にたい、消えたいと思うのはどうせPMSとか根暗な性格だから。
これからのこと…
改善策を考えて上司に伝え続けた。
怒りって、自分や人の為に動くエネルギーに変えることが出来る。
…と、この時知るのだった。
自分なりに手は尽くした。
次第に、家や職場で涙が溢れるようになった。
問題はすぐに改善出来ないこともあると知ったから。
会社が、というか、社会が、どうかしてると思った。
そんなことを考えていたら、
いつも悲しくて、虚しくて、しかたがなかった。
とうとう自分が休むことになった。
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少しお休みをもらった。
家でゆっくりしたら大丈夫になった気がした。
明日から出勤しようと思った。
もう、いつもの自分では無いことは気づいていたけど。
家族は病院で診てもらうことを勧めた。
近くのメンタルクリニックに行ってみることにした。
簡単なカウンセリングでは、生まれた時から今に至るまでのことを細かく聞かれた。
仕事以外のことを思い出すのは久しぶりだった。
大学を卒業した時のことさえ遠い記憶に感じた。
記憶が言葉になるまで、時間がかかった。
淡々と話していたつもりが、涙はすでに流れていた。
こんな私にも歴史があると改めて知ったから。
涙が出やすいのは涙もろい性格だから。
そう思っていたけど、話を聞いてくれていた人がびっくりして慌ててティッシュを探し始めたので、
あぁ、これはおかしいことなんだと、思った。
どうしちゃったんだろう。
診断結果は適応障害だった。(抑うつ※うつ病の一歩手前)
今では5人に1人がなっているそうで、誰がなってもおかしくない。
まずは、なにより睡眠の質が大事だと、お医者さんは何度も言い、診断書と、食後の薬と睡眠導入剤をもらった。※診断書があると傷病手当を貰うことができる
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休職の期間、気持ちだけがソワソワした。
復帰後の事とか、この先の、漠然とした不安が私を襲うのだ。
眠ることもできず、食欲も無い。起きていても何をする気も起きなかったので、家の窓からずっと庭の植物を眺めている日が多かった。
温かそうな太陽に照らされて咲いている百合の花。
すごく綺麗だった。
そして「人間滅びろ」と思いながら、また涙を流した。
何もしなければ、人は意外と滅びない。
少しずつ、気力が戻ってきた。
改めて自己分析をした。
働く上で大事にしたいルールを決めた。
・無理はしない(自分のことを見てあげる)
・規則正しい生活をする
ライスワーク(食べていける分だけ働く)とライフワーク(好きなことをする)を分けてみることにした。
私は転職の道を選んだ。
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転職して、3ヶ月が経った。
やっと「深く眠った」実感を持てるようになってきた。食欲も少しずつ戻ってきている。
ごはんが、おいしいのだ。
12月になって、あれから9ヶ月経って、ようやくだ。
心と身体の治療は、思ったよりも時間がかかる。
ごはんが美味しいと思うこと。
ご飯を食べて、お風呂に入って。
気持ちよかったなぁ、眠いなぁ、と感じること。
そして暖かい布団に入って眠ること。
それは生きているということだと思う。
生きることを後回しにしてはいけないと思う。
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自分のことを後回しにしてしまっている人へ。
「適応障害」すなわち「抑うつ」という「うつ病」の一歩手前の状態でさえ、治すのに時間もお金もかかる。
身を持って感じている。
「まだ大丈夫」はもう大丈夫ではない。
もし周りでそう言っている人がいたら、どうか声をかけてあげてほしい。
(人の言葉は自分の危なさを気づかせてくれる。)
きっとこのまま少子高齢化が進めば、これはもっと、現代の問題として深刻になると思う。
(政策が正しく向かってくれると良いが…)
生きることを後回しにしてしまっている人へ。
私のようになりませんように。