第68回(2018.3)化学分析概論及び濃度の計量の解説 問1~問5

問1

「JIS Z 8802 pH測定方法」は隔年で出題される頻出項目です。下記の要点を参考にしっかり準備をして試験に臨みましょう。

JIS Z 8802 における pH の定義
ガラス電極 pH 計によって測定される起電力から求められる値。
※ピーエッチ又はピーエイチと読む。(ペーハーは古い!)

検出部の取扱い
・使用前にあらかじめ pH 計の電源を入れておき、検出部は水で繰り返し3回以上洗い、きれいなろ紙、脱脂綿などで拭っておく。
・特に汚れている場合には必要に応じて洗剤、0.1 mol/L 塩酸などで短時間洗い、更に流水で十分に洗う。
・長く乾燥状態にあったガラス電極は、あらかじめ一夜(例えば12 時間)水中に浸した後使用する。

校正について
・pH計の校正は、ゼロ校正とスパン校正とで行います。
・ゼロ校正は、ガラス電極の内部液に近い組成の標準液である中性りん酸塩 pH 標準液を用いて電位を調製し、その温度における標準液の pH に合わせます。
・スパン校正は、ゼロ校正の後に中性りん酸塩 pH 標準液とは異なる pH の標準液を用いて、pH に対する電位の傾きを調整します。

・試料溶液の pH 値が7以下の場合
フタル酸塩 pH 標準液 又は しゅう酸塩 pH 標準液を用います。
・試料溶液の pH 値が7を超える場合
りん酸塩 pH 標準液,ほう酸塩 pH 標準液 又は 炭酸塩pH標準液を用います。
※トレーサビリティが必要な場合は、認証 pH 標準液を用います。

pH標準液の保存法
・調製 pH 標準液は、上質の硬質ガラス又はポリエチレン製の瓶中に密閉して保存する。
・pH 標準液は、一度使用したもの及び大気中に開放して放置したものは再度使用してはならない。

JIS Z8802 (2011)

(設問の解説)
1.ゼロ校正は、ガラス電極の内部液に近い組成の標準液である中性りん酸塩 pH 標準液を用いますから、選択肢にある『二酸化炭素を除いた純水』は誤りです。

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