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うどん食べた

牡蠣を食べた バターといっしょに醤油をかけて うどん
つくった人の名前には 夏 という文字があった 
几帳面で神経質な心配性、
おのこしはゆるしまへんでぇ
美味しく食べた おもったよりいっぱい 美味しく食べた
ちゃりんちゃりーん
音のする機械 なつかしい 
この音の 本来の響きを知っている人も もう数えるばかり
こんなに美しい響きを たった時を言い訳に 皆忘れてしまうなんて
なんて寂しいことだろう


牡蠣をじっとみる 真珠 は
独りごちる 「いいな いいな」 ひとにみつかったばっかりに
取りだされて しにもせず ずっと閉じ込められている
戻りたい。帰りたい。揺れたい。
海に浮かぶ揺籠は よく眠れる場所だったろうか
遡らずにおもいおこす、
少なからず 今の場所よりは 幾ばくか静かで 居心地良かったはず
だって 眠っていたから 夢の意味も知らないで

潮の音もきこえない 渇いた場所で生きている
耳を両手で塞ぎもせずに 冷たい銀にはめられて 硬く強く 
その両端を細く冷たい蝶番で 動くなよと 止められて、
肥やされた親 、

望んだからではなく そこに産まれたから
揺れない蝶番の中で 冷ややかに眺める 揺れる土
おちたい いっそおっこちて 転がって転がって 傷だらけになって
さびれ果ててしまう
剥がれた白 
それでも貰われていくだろうか
傷がついたそのカラダの値打ちは わかる人にはそのままわかる
ただ それがいいと、つぶさ、
ただひとり この世に繋がれて 生きるのなら 
繋ぐ人は わかる人がいい 揺れる揺籠
そっと ひとり 息をする