太陽とボレロ☀️とタジオと

冒頭、西本智実さん率いるイルミナートフィルの圧巻の演奏後、圭介とあかりが訪れた軽井沢の喫茶旦念亭。満開の赤いツツジが信じられないくらい美しいそのシーンで使われていた曲は、フランツ・レハールの「唇は語らずとも」。「メリーウィドウワルツ」としても有名です。
こちらでは楽器だけですが、元々はオペレッタ二重唱で歌詞がついており、内容はザッと
『唇は閉ざされているけれど、バイオリンは囁く あなたは私を愛していると』
…などというような愛の曲です。お互い好き同士なのに、なかなか愛の告白ができない…圭介とあかりを彩るには、ピッタリの選曲ですね。

で、ここからは町田さんファンの戯言と思って読んでいただきたいのですが😅

水谷監督が意識されたかどうかは存じませんが、この曲は、かつてルキノ・ヴィスコンティ監督作品『ベニスに死す』で、主人公の作曲家アッシェンバッハが、ディナーの準備を待つホテルの応接間で、運命の少年タジオを見初めた時にかかっていた曲でもあります。
それはすなわち映画『ベニスに死す』でビョルン・アンドレセンが演じた世紀の美少年タジオのあまりに印象的な初登場シーンでもあり、鑑賞者がその圧倒的な美しさに息をのむ場面でした。

予告編の中ほどあたりに件のシーンがチラリと出てきますので(白いセーラー服姿のタジオ)貼っておきます。

https://eiga.com/amp/movie/56941/

【偶然にも明日6/6(木)13:00〜 NHKのBSPで放送があるらしいので、未見の方で観られる環境の方はぜひ】

太陽とボレロでは初登場場面ではありませんが、赤く染まったツツジの前の圭介は、やはりちょっと驚くぐらいお美しく。同じ曲だということもあり、筆者はついついあのタジオの登場シーンを思い出してしまったりしたわけです。
もうこの曲は私の中では愛の歌であると同時に、完全に「美しい人の登場曲」(プロレスか)となってしまいました。

この旦念亭でのシーンは、庭木の緑と花の赤、誘蛾灯の青と電飾の黄色がお互いの色を補い合って大変美しく描写されています。中でも目の醒めるような赤いツツジを背負って輝くように美麗な圭介が、気取ったり深刻であったりせずに終始コミカルであるのがまたツボです。(可愛いあかりちゃんが、ボヤキまくりの圭介の言葉をニコニコと聞いたあと「発散した?☺️」と、包み込むように返すのもなんかいいなと)
現場で演出をつけながらそのギャップを楽しまれたのだろう、水谷監督のチャーミングな遊び心が感じられました。

あと単純にやっぱり、町田さんの演技好きだなーって☺️

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