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毎日が記念日(文字通り)

 今日、3月3日は何の日か皆さんご存知だろうか?

 実は今日、3月3日という日は「桃の節句」である! つまりそれは「ひな祭り」でもある。だがそれだけではない。実は「耳の日」でもあり、「耳かきの日」でもあるし、「民放ラジオの日」も今日であるし、「平和の日」とも言われている。更に「金魚の日」かと思えば、「結納の日」であったりもして、しかも「サルサの日」だし「ジグソーパズルの日」とも言える。も一つおまけに「三の日」であり、「三十三観音の日」であり、「桃の日」、であり、「ささみの日」でもあるのだった。

 もりもり過ぎない?

 もりもりにも程がある。丼から明らかに溢れてしまっている。最高でも三つくらいにしておかない? 3月3日という小さな器の中に、こんなにたくさんの記念日を詰め込んでどうするのだ。あんまりだ。

 しかし実はこのモリモリ現象は、3月3日に限った話ではない。3月4日も、「ミシンの日」「サッシの日」「バウムクーヘンの日」「三線の日」「円の日」「雑誌の日」「酸蝕歯の日」ともりにもられている。3月5日も、3月6日もまぁそれなりに多い。というか日々毎日めっちゃもられてる。毎日記念日現象が発生しているのだ。

 なぜこんなに記念日が多いのか?

 それは、いろんな営利団体(会社とか)が記念日を申請しまくっているからである。なぜ申請するか? それは簡単な話で、マーケティングのためである。バレンタインデーという日にチョコが狂ったように売れ、チョコレート業界がめっちゃ儲かるみたいな現象を起こせたら超うれぴーわけなので、とりあえず制定しておこっかぁみたいなノリなのであった。(多分)

 ではこの記念日制定、どうやればできるのだろうか? 実は記念日を正式に認めて制定してくれる機関が存在する。それが「一般社団法人・日本記念日協会」なのだ。そのまんまなのであった。一般社団法人とは、いわゆる非営利団体(株主とかがおらず、事業で得た利益を配当してはいけない団体の事)の事である。

 まぁようするに、記念日の申請を行うと審査してもらうことができ、OKなら記念日として認可してくれる組織である。

 記念日申請は、「登録申請書による申し込み」→「審査(毎週火曜日に審議してるらしい)」→「合格通知」→「記念日登録書の発行」→「正式登録」という5ステップによって成り立っている。最後まのステップまで踏めた誉高き”記念日”は、無事に日本記念日協会の公式ホームページのデータベースへ登録されたりするようだ。
 この審査というのは、記念日に込められた目的とか想いを評価するらしく、まぁどういう評価基準なのかはイマイチわからない。でも適当に書くと弾かれることだろう。
 ちなみにこの申請登録は、登録料として15万円を請求される。同一記念日を年2日登録(多分、”肉の日”を1月29日と12月29日に登録した場合等)する場合はすこしお安く25万になる。お得。お得か?お得。

 というわけで、それなりの理由や事業理由があり、かつ登録料を払えば記念日制定はいくらでも可能なのであった。そりゃ無限に増えるわけだ。調べてみると23年10月の段階で、記念日は2600件を超えているらしい。多すぎだ。シンプルに12ヶ月で割ったとしても、1ヶ月につき216個の記念日が制定されていることになる。たしかに一番記念日が多いと協会が発表している11月は、なんと363件もあるのであった。多分理由は、11月は良いって読めるからなんでも使えそうというものだと思う。11月29日でいい肉の日とか。

 ちなみにこの日本記念日協会の公式ホームページでは、登録されているすべての記念日が確認できるようになっている。色々見ているとなかなかおもしろい。多分がんばれば個人とかでも登録できるのではないだろうか。例えば、すごく大好きなペットが初めて家にやってきた日みたいな、家のカレンダーに書き込む程度の小事(もっとも、ペットが家にやってきた日は小事ではない。大事である。ただしここは便宜上小事と書かせていただく。誠にごめんなさい)であっても、頑張ったら登録できちゃうのではないだろうか。ダメかな。ダメかも。

 私も15万円が地面に落ちていたら、何か面白い記念日を申請してみたいなぁと思う。その時のために、日々記念日を自分の中で制定し続けて生きていくと良いのかもしれない。記念日制定練習である。

 じゃあ例えば今日は~なんの記念日かなぁ~そうだなぁ~。

 シンクの掃除をしたのでシンク掃除記念日。
 
 びびるほどオチが弱かったから、オチ弱記念日だなこれ。


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