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ゾウの幼体はクラゲ

 今日は真面目に大嘘の記事を書こうかと思う。

 ※この記事に書かれていることは嘘でありデタラメであり、正しい事は写真のみとなっている。ぜひ騙されてみよう。



 みなさんはゾウをご存知だろうか?(ご存知ないかもしれないな)
 ゾウとは、長鼻目ゾウ科に属する哺乳類の総称である。
 一般的なイメージとしては、鼻が長い、耳がデカい、めっちゃ重たそう、という”とにかく巨大である”という印象が強いと思う。

これはアフリカ象。見ての通りクソでかい。わりに目がつぶらである。

 そんなクソデカいゾウの幼体をご存知だろうか?
 実はみなさんが動物園などで目にしている象はすべて成体であり、幼体はめったに確認することが出来ない。上記の画像の通り、四足歩行になっている時点ですでに成体なのである。

 ではゾウの幼体は一体どんな姿なのか?

 実はゾウの幼体は”くらげ”なのである。

 皆さんはゾウクラゲをご存知だろうか?(ご存知ないかもしれないな)ゾウクラゲとは、半透明であり、うねうねと動く不思議なイモムシみたいな生き物である。沿岸から外洋の浅い暖水域を漂っていて、時折漁師に発見されたりもする愛らしい生物だ。

ゾウクラゲの図。確かに非常にゾウに似ている。

 このゾウクラゲだが、実は今までは謎の生き物とされてきた。あまりにも独特な生態や姿を持つので、「クラゲの幼体か?いやしかし、刺胞動物にも当てはまりそうな気がする……でもよく考えると、ひょっとしたら巻き貝の仲間かも」と論争を繰り広げてきた。

 その論争に終止符を打つ発言が飛び出たのは、2017年(平成29年)の事である。アメリカの科学者スーシルー・スーシー博士が「待てよ。この鼻……ゾウに似ていないか?」と気がついたのである。なるほど確かに。胴体に対して長い鼻は、非常にゾウに酷似していると言える。

 しかしゾウといえば陸上生物であり、しかも哺乳類である。
 哺乳類の特徴といえば、胎生(体内で卵を孵化させ、小さくて”か弱”すぎる時期を親からの栄養補給によって賄う出産形態)であり、乳を使って子を育てる種が一般的である。確かにカモノハシのように、哺乳類でありながら卵を産む種類もいるが、それにしても海で幼体を育てる哺乳類など前代未聞である。

 この一論には当然批判的意見が殺到したが、スーシー博士は観察実験により説を証明するに至った。すなわち、”ゾウクラゲはゾウの幼形態であり、成体になると哺乳類としての性質を獲得する。”という事であった。

 しかしそうなるとおかしな事実がある。ゾウは普通に出産しているのである。インターネットで動画を検索すれば、出産の瞬間を収めた映像はいくらでも出てくる。これらすべてを”嘘”だと論じるのは流石に無理があるだろう。

 だが勿論、スーシー博士はこれらにも答えを出していた。彼が主張した論文によると、ゾウの生態は下記である事がわかったらしい。

◆1.ゾウは雌雄で交尾をする。

◆2.受精した雌は、産卵時期になると水辺(又は海)へと移動し、排泄によく似た産卵を行う。今まで不自然だと思われていた海への排泄行為は、実は産卵だったのである。

◆3.水辺(又は海)に放出された卵は、近くの海藻などに付着し孵化する。

◆4.プランクトンとして出生したゾウの幼体は、藻や海中の栄養素を取り込み成長する。

◆5.半年ほどでゾウクラゲへと成長し、サルパ類やウミタル類を捕食しながら更に成長する。

◆6.一年が経った頃、人類の手のひらほどのサイズになったゾウクラゲは、ゾウの雌に捕食される。ただし消化はされず、特殊な器官(入卵口と呼ばれる)を通り、母体へと戻る。

◆7.更に一年ほどの時間をかけ、母体の中で成体へと成長し、いよいよ産み落とされる。この瞬間が、いままでゾウの出産だと思われていた部分である。

 つまりゾウとは、一旦海へと子を産み落とし、再度母体へと戻すという不思議な出産形態をとっていたわけである。ゾウは他の哺乳類と比べて妊娠から出産への時間が長いことで知られていたが、確かにこうしてみると長い事にも納得がいく。

 勿論ここまで来ても、まだ「ありえない」と論ずる者の声は多かった。しかし言われてみれば、海とは母なるもの。海で生物が生まれるのは摂理にかなっていると言える。

 以上の事から、「ゾウの幼体はゾウクラゲである」という事実がついに明るみに出たのであった。

 スーシー博士もこの研究成果に驚いており「我々の知ることができる事実は数少ない。先入観というものは、いつだって真実から目を背けさせるのだ……その事を、ゾウの生態は教えてくれたのだ」と語っている。

 確かに、固定観念や先入観といったものは、しばしば進歩を阻害する。伝統や、すでにある知識に敬意を払うことは勿論重要だが、時にはそういった考えを端に避けて考える必要があるのかもしれない。


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