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みゆきちゃん

私の小学生の頃の思い出。
自閉症のみゆきちゃんの話。

わたしのクラスにはみゆきちゃんがいる。

いつもふたつ結び。
絵本ばかり読む。
水色のセーターが好き。
歌はうまくて、絵は下手で
口癖は「けんかはやめて」だった。

指はいつも咥えているからふやけていて、
洋服には鼻水がついていた。

そして、

クラスメイトから嫌われていた。

しょうがない。

忘れ物も多くて、
ときどき、大声をあげて泣いた。

給食の時間が終わる。
みゆきちゃんはひまわりクラスに行く。

ある日の授業。

2人組でわかれるとき
いつも余るから、
私が一緒に組もうといった。

ねえ、みゆきちゃん。
クラスメイトとうまくいかないのは
私も一緒だよ。

彼女は自閉症だった。
幼い私にも、わかる。
この子が違うって。

ある年の2月14日。
私はみゆきちゃんの家に
チョコレートを渡しに行った。

みゆきちゃんのお母さんは泣いて受け取った。
泣いていた。

「ありがとう」
と泣いた。

お母さんも苦労してそうと思った。

お返しにもらったチョコレート。
みゆきちゃんが作ったチョコレート。
不格好で、
あんまりおいしくなくて、
私もなぜか泣いた。

ねえ、みゆきちゃん。
あなたの口癖は、
みんなを守るためじゃない?


大人になって、
私は障害を持つ児童と関わる仕事に就く。

みゆきちゃん。
私たくさん頑張るよ。

みゆきちゃんも
がんばってね。

いつもふたつ結び。
絵本ばかり読む。
水色のセーターが好き。
歌はうまくて、絵は下手で
笑うとすごくかわいかった。

わたしの心の中にはずっと、

みゆきちゃんがいる。

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