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湯気 6/2

宝物は探すより、
作ってしまう方が簡単で、

有り余る時間は
ある限り使った方がいい。

過ちは全て若さのせいにして、
苦しみは全部時代のせいにした。

庭にできたばかりの小さな茄子を
半分にして蒸した。

湯気が上がる。

もくもくとあがる。

その奥から少し顔が見えた。

その顔は笑っていて、
きっと私も笑っていると思った。

いつまでもそんなことをしていたい。

ダイスキな人とダイスキなことを。

ダイスキなことといえば、
居酒屋の締め寄る蕎麦屋。

ラーメンは少し重い。
蕎麦ぐらいが丁度いい。

不安なことに襲われたならば、
そっと抱きしめ寄る側に。

腰で感じる、
あなたの手は温かいことを。


書きかけの手紙に
宛名を書いてしまう。



毎日書けば、
毎日きみを思い出せるでしょう。

いつか渡す時
それは私が死ぬ時でしょうか。

私が死んだらきっと
地球は少し静かになる。 

きみは悲しみに明け暮れる。

好きでよかった。
そんな始まりと共に、

送り主の名前に
まだ苗字だけ書くのはやめた。

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