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期間限定、「終わり」の意味。

3月末日まで有効の優待チケットをもらった。
期間限定だ。この期間を逃すと、ただの紙切れになってしまう。
スタバの季節限定メニューや、コンビニの季節限定スイーツなど、期間限定ものもそうだ。そのうち試そうと思っているうちと、知らぬ間に終わりを迎えている。
なので、どうしても欲しいもの、試したいものに「期間」が設置された場合、即座に、もしくは、早いうちに動いている。
推しのCDアルバムや映像作品のBlu-rayの初回限定盤、お気に入りのブランドの期間限定生産商品、終わりが設定されているものは、「逃すわけにはいかない」という気持ちが働くものらしい。

ドラマや映画が配信サービスで観られるようになり、「いつでも観られる」ぬるい気持ちから、観ないまま放置しているものが増えた。
どうしても観たいものは、即座に観るけれど、「いついつまで」という期間がないと、なんとなくずるずるしてしまいがちだ。

仕事でもそうだ。
締切があるから、それに合わせようとして動く。
やりたいことがあっても、締切がないと、ずるずる延ばして、いつまでたっても着手できず、やる気がしぼんでしまったものも多い。
「期間」は、背中を押す効果的ボタンかもしれない。

「期間限定」で思うのが、うちの母親のことだ。
彼女は、この3月までで東京エンジョイライフを終え、田舎に帰る。
5年前に、ある目的を持って東京に住む娘(私)のもとにやってきた彼女は、当初から戻る時期を設定し、「期間限定」の移住と決めていた。
4つあった目的をすべて果たし、再び元いた場所に戻るのだけれど、この5年を振り返り、「来てよかった」という。

おそらく、戻る時期を決めずに、東京でずるずると暮らし始めたなら、途中帰りたくなったかもしれない。
好奇心旺盛に動き回ることもなかったかもしれない。
母娘がお互いを面倒に思い、ぶつかることもあったかもしれない。

が、「いついつまで」がわかっていたので、不安になったり、イライラしても、我慢できた。「いついつまで」だから、いろいろなことに挑戦もできた。
期間限定だったからこそ、東京での生活を存分に楽しめたのだろう。

そういえば、占い師の先生が、「不安に思うのは、見えない先を見すぎているから」と語っていた。
何が起こるかもわからない先のことを考えすぎると、不安になってしまうものだという。
うちの母親も、いつまで東京にいるかわからない状態だったとしたら、「この先、どうなるんだろう」という気持ちに悩まされたかもしれないなぁ。
「ここまで」と区切ったことで、明確な「先」が彼女を突き動かしたのだろう。

「終わり」を決めるって、大きいなと思う。
たとえば、仕事でプロジェクトを動かしているとき。
終わりが決まっているから、「あと少しがんばろう」ができる。
夏休みや冬休みも、期間が決まっているから、楽しい。
逆に、一生永遠に休み、だったらつらいかもしれない。ある俳優も語っていた。
「作品ごとに終わりがあるから、たとえ大変でも、その時間を楽しめる」と。
これが、終わりなき戦いだったら、エンドレスの作業に脳がフリーズしてしまうに違いない。

ちなみに、韓国ドラマに『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』という大ヒット作があるけれど、あの主人公は、不老不死で永遠に続く命に苦しんでいた。
実は、「永遠」が一番怖いかもしれない。
命に限りがあるのには、意味があるんだろう。
スタバのメニューが期間限定なのも、意味があるんだろう。
締切よ、ありがとう。
そして、気になっている映画は、公開中に観に行かなきゃなぁ!


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