~デュエプレ殿堂・ナーフカード解説~vol.5「連珠の精霊アガピトス」
※記事執筆中に「連珠の精霊アガピトス」の再録及びナーフ前に戻るアッパーが施されたので、正直もうナーフカードとして解説する意義はほとんどありません…が、こちとらもう止まれないので記事はそのまま出します。ご了承ください。
今回紹介するのは、第8弾「極神創世譚 -VIOLENCE FUSION-」に収録された「連珠の精霊アガピトス」です。
【能力解説】
「連珠の精霊アガピトス」は、バトルゾーンに出たときに山札から光のコスト3以下のクリーチャーを踏み倒す能力と、自分のコスト3以下のクリーチャーが出たときに、相手のパワーが一番小さいクリーチャーをタップする能力を持ちます。
この「コスト3以下のクリーチャーを踏み倒す」能力は、一見あまり強くないように見えると思います。コスト3なんて並んだところで所詮は小型、ゲームを大きく動かすことはできません。
実際、このカードが公式Twitterで発表された際には、当時の光文明デッキの代表格「天門」にコスト3のクリーチャーが入らないこともあり、ほとんどだれも「アガピトス」に見向きしていませんでした。
しかしDMPP-08発売後に評価は一変。「アガピトス」はあらゆるデッキを蹴散らし環境の頂点に君臨することとなります。
このカードの真の強み、それは圧倒的なまでの「選択肢の多さ」にあります。
「アガピトス」から主に踏み倒されたのは、
「霊騎幻獣ウルコス」
「剛勇王機フルメタル・レモン」
「居合のアラゴナイト」
の三種類です。
「ウルコス」は出たときにマナブーストができます。白緑と色が優秀でマナ置きしやすく、「青銅の鎧」と同じように初動として運用できるので序盤にも腐りません。また種族も優秀で、特にドリームメイトを持っているので3→5で「独裁者ケンジ・パンダネルラ」に進化できます。クセがなく扱いやすいクリーチャーですね。
「フルメタル・レモン」は相手の攻撃によって敗北するとき、山札から8枚を墓地に送ることで敗北回避ができます。当時は「ドンドン吸い込むナウ」を始めとした軽量の汎用除去カードは少なかったので、かなり高い確率で1ターンは時間を稼いでくれます。
「居合のアラゴナイト」はSAとパワーアタッカー4000を持ちます。比較的シンプルなクリーチャーです…が、アガピトスの二個目の効果により相手のクリーチャーがタップされるため、疑似的なアンタップキラーとして運用することが出来ます。
まとめると、アガピトスは出たときに「マナブースト」「敗北回避」「アンタップキル」の3つを自在に選び、相手の行動に対して「後出しじゃんけん」ができます。
例えば相手が「コッコ・ルピア」のようなシステムクリーチャーを出してきたら、「アラゴナイト」でしばくことが出来ますし、自分が負けそうなときには「フルメタル・レモン」でターンを稼げます。相手が何もしていなければ、「ウルコス」でマナを伸ばし自分のフィニッシャーの着地を早められます。
相手がどんな行動をしようが関係ありません。
アガピトスはすべての行動に後出しで対処できます。
この圧倒的な理不尽、どこかで味わったことありませんか…?
そうです、このカードは「超次元リュウセイ・ホール」です。
【環境での活躍】
環境では、同じく8弾で登場したぶっ壊れカード「超鎧亜キングダム・ゲオルグ」と組み合わせたグッドスタッフデッキ【5cゲオルグ天門】で採用されました。
「アガピトス」で相手をいなしながら時間を稼ぎ、並べた小型と「キングダム・ゲオルグ」で相手を轢き殺すこのデッキは、その圧倒的なコントロール性能に加え、「ゲキメツ」などのサブフィニッシャーの多さ、生半可なビートダウン相手には「ヘブンズ・ゲート」「フルメタル・レモン」で封殺できるという異常なまでの不利対面の少なさから瞬く間に環境トップに躍り出ました。
「5cゲオルグ天門」の台頭に伴い、ほぼすべてのデッキはこのデッキの対策を強いられることとなりました。中でも使用率が高かったのが「無頼勇騎ガレック」で、「アガピトス」を破壊しながらハンデスができるこのカードは、赤と黒が入るデッキには確実に投入されるほどでした。
なんならゲオルグ天門もガレック使ってます。
8弾実装後の環境を荒らしに荒らし、ユーザーのヘイトを買いまくったゲオルグ天門。運営もこの事態を重く見たのか、2021年3月25日にナーフ処置が行われることとなりました。
これであの憎きアガピトスを見なくて済む…と思われたのも束の間、まさかのナーフされたのは「フルメタル・レモン」。アガピトス本体にはノータッチでした。
なぜ「アガピトス」がナーフされないのか。その理由は「アガピトス」がWIXOSSとのコラボカードとして選ばれたことにあります。
デュエプレにおいて、プライズカード(左下にPRとあるカード)は原則分解することができません。
ナーフ措置を施されたカードは生成レートと同じ分ポイントが保障されるので、従来であればナーフされたとしても損をしないような仕組みになっています。
しかしPRカードは分解できないため、課金してこのカードを買ったユーザーだけが損をすることになってしまいます。そのため、運営としてはアガピトスは極力ナーフしたくない存在だったんですね。
このようなPRバリアーに守られたアガピトスはさらに最強になりました。
「フェアリー・ギフト」を使用して最速3ターン目にアガピトスを射出し、手札消費の激しさを「G.A.E」で補いながら「竜極神ゲキメツ」でフィニッシュする【アガピトスエンジン】というデッキタイプが登場し、環境はアガピトス一色に。「アガピトスマスターズ」と揶揄される事態になりました。
【ナーフ後】
このようにユーザーのヘイトを買いまくった結果、ついに運営のアンケートに「Q.アガピトスは好きですか?」という名指しの質問が実施される事態に発展。
2021年6月10日のアップデートにより、アガピトスにもついに天罰が下ります。
踏み倒せる対象がコスト3以下からコスト2以下になり、「ウルコス」や「アラゴナイト」を始めとしたクリーチャーを踏み倒せなくなりました。
WIXOSSとのコラボカードは異例の措置として、PRカードであるにもかかわらず分解することが可能になりました。
ナーフ後においても、「光陣の精霊ムルムル」を始めとした光の軽量ブロッカーを多く運用する【サンゾン天門】において採用されました。アガピトスの一番ダメだったところはどのデッキにも入る汎用性なので、カードの良さを残した素晴らしい能力調整だと思います。
まぁ戻ったんだけどさ。
犯罪者集団ばかりのDMPP-08でもトップクラスの強さを誇ったこのカードは、間違いなくデュエプレの歴史の一部であると言えるでしょう。
今回は「連珠の精霊アガピトス」を紹介しました。
次回の更新は12/19(火)、「魔光大帝ネログリフィス・ルドルフ」を紹介予定です。
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