本当の豊かさとは

ここ10年、便利さと引き換えに、気づいたら消費社会に肩まで、いや頭まで浸かっている気がする。

たとえばファッション。学生の頃と比べて、ありがたいことに欲しいときに欲しいものが買える余裕はできた。
欲しい服をたくさん買って、出かける時はその中から選んで着る。
でもその分、本当に好きな一張羅を見つけ、毎日のようにその服を着たり、履き潰すまでスニーカーを履くことがなくなってしまった。着ない服や靴の方が圧倒的に多い。買った時がピークで、だんだん興味が薄れていく。

たとえば本。読みたい本をいつでも買える幸せがあるけれど、いつの間にか読みきることが目的になっていて、時間を気にせず本当に読書をしたのはいつだろう?
ハリーポッターが発売するたびに文字通り寝食を忘れて読みふけった頃のような読書体験が最近できているだろうか。

昔よりたくさんの本を読んで、流行りのビジネス書を次から次へと買っているが、どれだけ自分の血肉になっているか、本当の意味での読書体験がどれだけできているのか。

欲しいものは大概がSNS広告など、外からの造られたもので、心から欲しいものなんてほとんどないのではなかろうか。

こんな違和感をずっと抱え、この夏は久しぶりにシーズンの服を買わず、昨年のものを着回してみた。
これが案外困らない。困らないどころか、むしろ今まで買った服や靴を何度も着るうちに、昔は感じなかった愛着が生まれ、もっと着たい、履きたい、と思うくらいだ。

デトックスのように、少しずつ、一歩ずつ消費社会から抜け出して、本当の豊かさとともに生きる方法を考えていきたい。

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