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ひかる短編集

高校 1

「死なねぇよ・・・」

私は中学三年の時、病気に為り入院を1か月していました。

担任の先生にに推薦で行った方がいいぞと言われ、私学の高等学校を推薦受験しました。

合格発表は自分で見に行きましが、その日は珍しく東京に大雪が降り国鉄は動いていましたが私鉄が止まっていました。

この駅から普段なら乗り換えですが、歩いても30分で行けると説明会の時に教えられてたので、私鉄が止まっているので歩くことにしました。

途中で公園を抜けると早く着くと教えられていたので、無謀にも初めての道を、それも雪で真っ白な道を、自分の方向感覚だけで歩き始めました。


もう一時間歩いています、道に迷って兎に角前へ前へと進んできましたが、目的の学校は見えません。

何の店かも分かりませんが、店先にベンチが有ったので座りました。

(もうダメかもしれない。俺はこんな処で死ぬのかよ)

そしたらどこからか声がしてきます。

「どうしたんだい?」

二階の窓からおじーさんが顔を出しています。

「ちょっと待ってな、今降りてくから」

店の戸が開いておじーさんがでてきました。

「穏やかじゃ無いねぇ、店先で死なれたら困るよ。どうしたんだい?」

「高校の合格発表を見に来たんですけど、電車が止まっていて歩いてきたんです」

「んッで、道に迷ったのかい」

「はい」

「どっから歩きなすった」

「〇〇駅からです」

「おぉ頑張ったねぇ、兄さん間違っちゃいないよ。この道を真っつぐ行けばお目当ての所にに着くよ」

「ほんとですか」

「困ってる学生さんに、嘘なんか言うもんか」

「良かったぁ」

「兄さん何も無いけど、このパンと牛乳を飲んできなー」

「ありがとうございます」

嬉しくて涙が出そうになると

「目でぇてぇ門出の日だ、泣いたら湿っぽく為っていけねぇや、それになぁこの雪じゃあ死ねねえぞ」

あの独り言を聞かれてたのかと恥ずかしく為り、お礼を言って歩き出すと

「あと5分も歩けば裏門が見えてくるよ、それをうっちゃっといて塀伝いに行きゃあ正門にでるよ」と怒鳴ってくれてます。

良かったぁ「死ななくて」と、こんな事が入学前に有りましたが無事入学しました。


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