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5号機以降の制御とかそれに関する長い昔話

※語り継ぐ人が少なくなると、誰も思い出してくれなくなりそうな話についてダラダラ思い出を綴りました。
昔話です。


抑圧されるリール制御

パチスロが4号機から5号機になるときには概ね悲観的な予測しかありませんでした。
出玉が大幅に抑制されるという事がユーザーの一番の関心事だったと思います。
そして、もう一つはリール制御の問題です。

旧来、一つのフラグが複数のリール制御を持っているのは普通の事でした。 
同じ様にただのハズレであってすら、ズルスベってみたり、時にはビタ止まりしてみたり、出目で熱くなる為には様々なリール制御を持っているのは当然の事で、そこになにか疑問を差し挟む余地すら無かったように思われます。

所が5号機になる際に持ち込まれた規制が「1フラグ1制御、成立フラグは最大限引き込まなければいけない。小役とボーナスが同時成立している場合はボーナスを優先に引き込む」というものでした。(後に小役優先制御も作れるようにはなりましたね)
今となっては、「4号機時代はそうではなかったという事」に驚くユーザーさんの方が多いかもしれません。
これを聞いた時の私の悲観的な思いは結構なものがありました。

「どうやってパチスロ作るんじゃ」と。

当時のパチスロ機、特にリーチ目マシンと呼ばれた機種たちはヒネリの効いた制御と、ある意味では変態的なリーチ目も人気となる一つの要素でした。

とは言えパチスロに制御だとかリーチ目だとか、そんなもん全然求めてない人達の方が多数派だったかもしれませんね。
出玉こそ全てみたいな。
なので、それが全てという訳ではなく、あくまで一要素ではありますね。

さて、「1フラグ1制御〜」から始まるリール制御規制を聞いた時の我々(俺)の絶望。

・枠上にビッグ図柄がビタ停止でビッグ一確
・通常平行に小役がテンパイして小役ハズレ目を形成する所、斜めテンパイなら激アツ
・中リールが1コマスベリ以内でリプレイハズレ目を形成したらちょいアツ
・程よい頻度で枠下にガセ滑りするバー
・ビッグテンパイを嫌ってるビッグ2確目
・難解としか表現できない謎法則リーチ目
・2リール目で小役を取りこぼすと、テキトーな制御を取りがちな故にきちんと小役とりこぼし目を形成すると逆にアツイ

色んな機種の思い出が蘇りながら、「これ全部ダメになるのか……」という虚脱感が去来したものです。
また「引き込み最大」という規則にはリーチ目云々以前の問題がありました。
当時、噂の様な段階で聞いた話はこうでした。

「左リールにボーナス図柄とチェリーを並べて置けなくなる」

なんじゃそりゃ、と思いましたが考えてみると確かにその通りです。
左リールのボーナス図柄の上にチェリーが付いていたら、ボーナス成立中にチェリーを枠内に押した場合にはフラグも立っていないのに、チェリーを枠内に留めなければいけない。
ボーナス図柄の下にチェリーが付いていたら、ボーナス成立中にチェリーを枠2コマ〜3コマ上に押したら、やはりフラグが立っていないのにチェリーを引き込まなければいけない。
フラグが立ってもいないのに小役が揃って払い出しがあったりしたらそれこそアウトです。
やはりこう思うわけです。

「どうやってパチスロ作るんじゃ」

当時の常識からすると我々ユーザーがそう思ったのも納得頂けるのではないかと。
ただ、こういう規制が生まれた背景も理解できない事ではありませんでした。
その辺りを書いていたら脱線が長くなったので、別記事にしました。

脱線だけでやたらと長い文章にはなりましたが、要するに4号機で色々やりすぎたので

「明文化してストック機能を禁止した上で、抜け道もあらかじめ潰したらこうなった」

というような感じだったのかなぁと想像はしています。
とにかく4号機と比べて出来ない事だけが多すぎる様に見えましたので、期待できる事なんて何一つ無いように思えました。
しかし、同じ様に、あるいはそれ以上に絶望
したであろう開発者サイドは流石でした。
5号機最初期から一つのアンサーを出してきました。

5号機リーチ目の源流を作ったクソ台

2005年9月リリースの5号機最初のパチスロ機、初代 新世紀エヴァンゲリオンです。
4号機に慣れた我々からすると、コイン持ちが良いだけ。
演出は至極単調。
低い機械割。
リーチ目もバリエーションが少なく、4号機が残存してた時代にはけして褒められるような出来栄えではありませんでした。

二転三転したはずなので詳細は割愛しますが、ゲーム性の良くなさには小役ナビに該当するものにボーナス告知としての機能を持たせづらかったのもあったかと思います。
ナビがハズレちゃいけないとか、成立小役の入賞を阻害するようなナビが出せないとか。
この辺は後のリプパン機の隆盛とそれの禁止にもつながっていくものがあったのかなと。

さて。エヴァンゲリオン。
まあクソ台だなあとは思いましたが、成立しているボーナスの種別毎に制御を変えてしまう事で、5号機導入前に私が懸念していた「ほどには」リーチ目は単調なものとならなかったのです。
「ベルハズレのリーチ目なら黄色ビッグ」「リプハズレのリーチ目なら青ビッグ」「チェリーハズレのリーチ目なら赤ビッグ」といった塩梅です。
特に最後のチェリーハズレが大事だったように思います。
小役の配当表を見るとわかりますが、小役としてのチェリーの払い出しを左リールではなく、右リールに委ねる事によってボーナス図柄とチェリーを並べて置けないという問題に対する一つの解答が出てきました。
これが各メーカー同時多発的に考えていた手法なのか、これを参考に各メーカーが開発したのかはわかりませんが、この手の発想が後々効いてきたように思います。
チェリー問題は後になって他にも回答が色々出てきましたね。
ただ残念な事にはトータルではクソ台です。

5号機の礎を築いたもう一つのクソ台。

さてもう一つの過渡期のエポックメイキングが2005年10月の初代デビルマンですね。
(同時期のサクラ大戦については割愛)
二段階設定、⑥でも103%。
今聞いても冗談のような仕様で、打つ気も起こりませんでした。 
しかし導入初日、ネット掲示板を見てたら何やら様子がおかしいのです。

「スイカの後すぐ当たった。スイカ熱い?」

みたいな書き込みがやたら目に付きます。
4号機ストック機ならいざ知らず、ストック機能が禁止された5号機では、レア小役でボーナスに当選する道理がありませんので、まあ馬鹿げた話だなと思いました。
もちろん、そういった類の書き込みには「たまたまだろ」と言った冷ややかな反応が目立ちました。
4号機のノーマルAタイプ時代からそんな書き込みは時々ありましたので、ちょっと引っかかりはしたものの、すぐに忘れてしまう、そんな程度のエピソードです。
しかしそのほんのちょっと後に、攻略誌やネット上には「小役重複」の文字が踊る事となりました。

そう、4号機には小役重複なんて無かったのです。
これも5号機以降にスロットを打ち始めた方には信じられない事かもしれませんね。
当時はなんたる新機軸!と思ったものです。

4号機当時、ボーナスの成立自体は全て今で言う単独ボーナスですし、擬似ボーナスなんてのもありません。
ノーマルAタイプならレア小役は揃ってしまった時点でただのレア小役です。
チェリーに至っては一殺であり、ボーナス成立ゲームの可能性はゼロでした。

4号機でもレア小役を契機にボーナスが当選する事は有りましたが、それはあくまで「レア小役でボーナスを揃えられる状態に移行する抽選に通った」ということであって、それは「重複」ではなく「解除」と呼ばれるものでした。
ボーナスを一緒に引いてきた訳ではありません。
サイレントストック機ならボーナスはとっくの昔に機械内部に溜め込まれていて、いつ引いたかはわかりません。

そんな訳でかつてはあるはずも無かった「小役重複」がどういう経緯で認められたのかはわかりませんし、規格策定の段階で既にあったシステムなのかもしれませんが、この存在が無ければ5号機がもっとひどい事になっていたのは疑いようの無い事かなと思います。
小役重複によって極めて単調になりがちな5号機の通常時に可能性が拓けたのです。

また、覚えていたスイカ絡みのエピソードだけ取り出しましたが、デビルマンはスイカだけではなく、チェリーや1枚役とのボーナス重複もあり、間違いなく今に続く流れを作った台です。
そういう意味では未来を拓いた1台ですが、でもデビルマンもやっぱりクソ台です。

その後の5号機

さて、デビルマンで小役重複を手にした5号機はその後、リール制御でも演出の面でも大きく発展を遂げることとなります。
5号機のリール制御の可能性を大きく知らしめたのは2007年6月の青ドンでしょう。
既知の要素だった「小役orボーナス」「小役+ボーナス」による期待感に加えて、「小役+小役」の組み合わせでレア小役のテンパイラインによる期待度変化が5号機でも出来ることを広くユーザーに知らしめてくれました。
そして青ドンと同じく2007年6月にエヴァンゲリオンの2代目となるスロット、「まごころを君に」もリリースされています。
前作には無かった小役重複、特リプなどが搭載されていて、青ドンと合わせて5号機Aタイプの大枠が固まったと言える時期だったのかと思います。
小役カウントが一般的になったのも、エヴァまごからでしたよね。

その後も様々な工夫をこらしたマシンがリリースされ、1フラグ1制御の縛りを感じさせない機械が多く生まれました。
2010年8月のルパン一族の秘宝なんかも、4号機のリーチ目の多くを再現しつつ、複数のチェリーの見た目をしたフラグをチャンス目として据えるという新機軸が盛り込まれていて、平和のオールドファンとしては感心したものでした。
ただ、これって1ライン機だったんですよね。
このような少ラインで、時には変則ライン機が多く作られ、それはいくつかの問題を解決する便利な方法ではあった様ですが、当然の帰結としてそれらの機種は見た目の入賞役と実際の入賞役が乖離していました。

それは多くの現行機種でもそうですね。
すると中で何が起こってるのか、何が揃ってるのか把握するのが難しかったり、ボーナスが揃えられるラインが限定されてしまう、という「問題」という程ではないけど、少し物足りないと思ってしまう点はありました。
変則押しOKの機械でも変則押しすると出目がグチャグチャになったり……
基本的には開発者の創意工夫に快哉を叫びながらも、変則ラインって少しアレやな……とかは思ったりはしてて。

そんな感じで演出やシステム面、更に出玉でも5号機初期からは考えられないくらいに進歩を遂げていった5号機ですが、出目とか制御については不満とは言えないまでも、なにかずっと物足りないなあと思いながら、遊技をしておりました。

そんな中、5号機の歴史も半ばを過ぎた2015年に登場したのが5号機Aタイプの到達点、ハナビであり翌年のバーサスです。
(異論は大いにあるかと思いますが)
工夫を凝らされた複数の1枚役構成と特リプからなる出目と打感は往年のそれと遜色無いものでしたし、4号機当時は一部で「ユニバ制御」と呼ばれていた左リールの単調さが無くなって、かえって毎ゲームに期待感が残る仕上がりでした。
当時の自分は「5号機でよくぞここまで……」と感動を覚えたものです。
 
打ち込んだ結果、5号機ハナビとバーサスについては4号機より好きだと言えるし、実際に4号機のそれよりも打ちました。
レギュレーションから産まれるどうしても無くせない違いを、そこまで大きな違和感もなく、しかも新しい要素まで盛り込んで5号機に落とし込んでしまった事は、個人的にはほとんど期待していなかった中でとても嬉しい出来事でした。

ハナビの開発の話については漫画化されたものが現在YouTubeで見れるので、こちらもご覧いただければと。
全部で3本の動画ですね。
開発者すげえ。

そう言えばユニバーサルは1998年に一旦「アルゼ」と社名変更していますが、こっちの方が馴染み深い人も多いかもしれませんね。

尚、バーサスと同じ2016年にはクランキーセレブレーションが登場しています。
これも5号機最高峰クラスのリーチ目機だとは思っていますが、ボーナス中の技術介入のみならずボナ判とかで少し敷居が高すぎた所もあったのかもしれません。
自分の行動範囲ではなかなか稼働が上がらず、結果として高設定を打つ機会にも恵まれませんでした。
もうちょいライトユーザーがとっつきやすい仕様だったら、もしかして……と思っていましたが、この辺のさじ加減はなかなか難しいんでしょうね。
一方で2018年に5.9号機として登場したディスクアップは要ビタの技術介入機にもかかわらず、甘い低設定とゲーム性で人気を博したりしてますし、技術介入機だからヒットしないなんて事もありませんしね。

あと、あんまり人気は無かったと思うんですが、5号機末期にハナビ、バーサスと並んで個人的に溺愛していたのが、ディスクアップの2ヶ月ほど前に出た5.9号機不二子タイプA+です。
獲得枚数の振り幅が大きいビッグボーナスを搭載するなど、野心的な仕様に加えて、出目演出も5号機ルパンシリーズ最高峰に洗練されていて、これが不二子なのよ……と何度も思ったものでした。
ただボーナス成立ゲームでのレバーオン強演出の割合が高くて出目が死にがち……とか、ノーマルビッグだるすぎる……とかの割と大きい不満はあったので、あんまり人にはプッシュ出来ませんでしたね。
撤去直前まで打ちましたけど。

6号機Aタイプのどうこう

そんな訳でまど2や番長3が話題に上がることが多い5号機撤去間際でしたが、リーチ目マシンの数々も大いに楽しませてくれました。

5号機があんなに面白くなるなんて古参ユーザーは誰も想定してなかったんじゃないかなと。

ハナビやバーサスは6号機でも後継機が出ていますが、技術介入度合の問題やビッグボーナスの獲得枚数との兼ね合いもあって、5号機ほどには広い支持を得られていない様に感じます。
こっちも面白いんですけどね。

制御とか出目よりも短期出率の問題で、いわゆるAタイプの新作にはちょっと難しい時代になっているのかなと感じています。
しかもジャグラー、ハナハナ、アクロス系に加えてディスクアップもある中でボーナス主体の機械を新たに作るのは、メーカーにとっても割に合わなそうにも見えますしね。
クランキークレストも面白そうですし、ゲーム性については良い機械も産まれていますので、今後も発展に期待したいところです。

とは言え、レギュレーションが変わらないと難しい問題もありますが、ナイツやハードボイルドを見るに、リアボじゃなくても良ければそれっぽいものは作れるのかも知れません。
スマスロの横暴が許されるなら1ビッグ300枚くらいは許して欲しいところですが、これは遊技機規則の問題で7号機になるまでは変わる可能性すら無いので、今後どうなるやら。
規制緩和に期待して結びとします。

ついでに余談

基本的には5号機ハナビ面白いよねと言いたいだけの文章になる予定だったんですが、脱線が長すぎました。
他にも書きたいことは少しあったので、余談として更に別記事へ。
これはリアル知人に向けて書いた文章に追記したものとなりますが、むしろこっちだけで良かった。


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