三尖弁閉鎖不全症(犬)

【概要】
■原発性or■二次性→右心不全

【症状】
・経静脈の怒張、肝腫大、腹水貯留
・努力性呼吸、チアノーゼ

【検査】
フィラリア抗原検査
身体検査:雑音+(軽度症例は聴取できないことも)
レントゲン:心陰影の拡大
腹エコー:うっ血肝、CVC拡大
心エコー:三尖弁逆流
     →右心房/右心室の拡大
     →心室中隔の扁平化
     逆流が2.8m/s以上→肺高血圧症疑
      (筆者は3m/s以上で肺動脈の拡張+で肺高血圧症とする)

【治療】(犬の治療ガイド2020より)
■軽度症例
 2.8m/s以下症例は無治療
■進行症例(薬剤使用法コンセンサスは得られていない)
 ・左心房、左心室の拡大+→ACE阻害薬、スピロノラクトン(血行動態改善)
 ・頸静脈怒張うっ血肝  →ピモベンダン、ループ利尿薬
■MR併発症例(犬と猫の治療ガイド2015より)
 。MR治療の見直し
 →血管拡張薬(アムロジピン)や強心薬(ピモベンダン)も効果が得られる可能性
■肺高血圧症
 ・シルデナフィル酸塩(肺動脈拡張)、べラプストNa
■腹水抜去

■食事管理
 ・腹水抜去を頻繁に繰り返す症例
  →腹水とともにタンパク質を失いやすい
  ➡高蛋白&高カロリーの食事(100kcal中に5.1g以上のタンパク質)
 ・サプリメント(ω3脂肪酸EPA,DHA)ー心臓悪液質の予防

【予後】
比較的予後良好で、数年生存する症例を多く経験(2275日)
※うっ血性心不全を併発すると予後は悪い(181日)
※体重減少/削痩があるとさらに予後は悪い

【インフォームドコンセント】
血管拡張薬や利尿薬のリスクを処方時に説明する
→元気や食欲の低下が見られたら2~3日の休薬期間を設ける
→回復したら容量を半減して再開


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