歯周病
【概要】
・犬の口腔内はアルカリ性で歯垢が歯石に変化するのが早い(3日)
・3歳以上の犬猫の多くは歯周病に罹患している
(噛むものを与えられた犬の方が歯石の付着が軽度)
【症状】
■口腔周囲の問題
ペリクル(糖蛋白の被膜)に細菌付着
→6~8時間後に歯肉炎
→辺縁性歯周炎
→根尖周囲病巣(歯髄壊死→刺激物質が歯周組織(歯根の先端)に悪影響)
→外歯瘻
→外歯瘻/口鼻瘻管/内歯瘻/小型犬では歯周病性下顎骨骨折(by骨吸収)
■全身の問題
・細菌、サイトカイン、内毒素などが全身循環に入り悪影響
→心臓、肝臓、腎臓において炎症性細胞浸潤を認める
【検査】
■口腔内検査
歯肉の炎症程度、歯垢の付着程度などを評価する
■レントゲン検査
【治療】
■歯垢歯石除去
Aスケーリング(歯垢・歯石除去)
ー超音波スケーラー:歯石除去
*注意点*
・咽頭喉頭に水が貯留しないようにバキュームの挿入操作を行う
・超音波スケーラーはチップが発熱するため冷却水を注入しながら
・超音波スケーラーは15°以内の角度で軽度に当てて操作する
・歯質が削れないように、同一歯には15秒以内(理想5秒以内)で当てる
→鎌型スケーラー:歯の隣接面や凹部の細かい歯石を除去
・ロッキングモーションで行う
・歯面に当てる角度は80~85°で引く動作をするとよい
→歯肉縁下用チップを装着した超音波スケーラー
・ポケット底に平行に挿入して、80~85°でフルストローク(引く動作)
Bルートプレーニング:汚染されたセメント質(細菌)を除去
・垂直、斜め、平行方向にストロークを繰り返す
※過剰にセメント質を除去すると知覚過敏や歯肉の再付着阻害
Cキュレッタージ(歯肉縁下掻把):歯周ポケット内の歯肉壁を掻把
→歯肉を根面に密着させる
Dポリッシング(歯面研磨):粗造な歯面をなめらかに
→歯石が付着しにくくなる
E洗浄:研磨剤や歯石を除去(残存していると歯肉が治癒しにくい)
■抜歯
歯周組織の約2/3が破壊されている場合、修復困難
抜歯すれば歯周病関連症例が改善
■歯周病治療後の管理
衛生管理(歯ブラシ)を行わないと急速に歯垢・歯石が付着
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