コロン=シャイン

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3 治療後、サカヌキ村生活の実質的な初日 保護されていた神殿から出て

サカヌキ村に辿り着き、神殿の人々の慈悲で保護されたぼくたちだったが、神殿の小部屋で傷と体力の回復を待っている間に、生き延びてサカヌキ村に辿り着けたのは全部でたったの六名だったと知った。 そのうちの一人も、療養中に傷からの感染で亡くなっていた。 やっと生き残った五人の傷が塞がり、裸足でゆっくり歩けるようになると、翌日の朝、神殿から追い出された。 「それじゃ、ぼくたちはこれからどこへ行ったらいいんですか?」 額の禿げ上がった白髪の中年神官が、眉間や口元に皺を刻んだ厳しい顔で

    • NTTにブロードバンドルーターの交換を頼んだら、今までの(2014年製)よりも三年も古い機械が届いた。 しかも説明書は二箇所明らかな間違い入り。 これがNTTくおりてぃ。

      • 2 村からの逃亡

        あの夜、子供小屋で寝ていたぼくたちは外の見張りの声に起こされて藁の床から跳ね起きた。 戸が荒々しく開けられ、見知った大人の顔がぬっと入ってくると、叫んだ。 「お前たち!急いで此処を出るんだ!」 「きゃーっ!」 「父さんはどうするの!?」 「黙れ!何も聞くな!今すぐ行け!サカヌキ村へ!」 素直に何も聞かずに外へ出た途端に、見えてしまった。 ひたひたと津波のように村に押し寄せる、人に似た奇怪な怪物の大群が。 「きゃああーっ!」 「おかあさーん!」 「見るな! 見るんじゃあな

        • 1 サカヌキ村に到達、保護される

          晴れた早春の日の朝だった。 万年雪がかかる高い標高の山岳地帯を北へと突っ切るように、長く緩やかに下ってゆく広大なジンメ渓谷。 その豊かな幅をもつ谷間は、夜明け前からかかった雲に覆われて、まだ薄暗かった。 谷間から山の稜線へ緩く這い上る道を辿れば、尾根の上には濠で守られた城門。 暗い奥行きのある城門の前に、兵士が一人。 煤けた黒革鎧と硬革兜に身を固めて、門番の当直に立っている。 兵士はゆっくり歩きまわって、霧の冷たさに耐えている。 もう少し濃い霧ならば、奇襲のリスクがある