:Classic: N3XT L3V3L Futurenatural Performance Review
実は履いてましたシリーズ。
あまりに書くペースが挙げられず、実は履いてたけどレビューを書けていなかったモデル&それに合わせて復刻モデル等も今後は<Classic>というタイトルで投稿して行こうと思います。
はえあるこのタグの1作目は…Classicと呼ぶにはあまりに新しい感じもするのですが、2021年にリリースされた………あ、もう3年も経っているのか…。本当に時の経つの早いこと…。
そういう悲しみは置いといて、今回は”adiads N3XT L3V3L Futurenatural”
を見てみようと思います。
2019年にシリーズ1stモデルが出た時は本当に衝撃的でした。
この当時、Nikeとadidas間で2つの技術競争が勃発していました。
1つ目はもちろん”シューレースレス化構想”。
そして2つ目に”ニット素材の転用”。
両者のアプローチは対局にあったと思います。
Nikeにおけるシューレースレス構想の起点ははもちろん”AIR MAG”の存在と思います。
The ハイテクシューズと呼べるテクノロジーの結晶。シューレースに変わるフィッティングテクノロジーを開発し、様々なモデル搭載していきました。
最終点として”AIR MAG”の世界観を一番体現したであろうADAPT BBのリリースを持って完結したと言えるかと思います。
一方adidasは「構造体」でなんとか出来ないかをひたすら突き詰めていた様に自分には見えていました。
遡ると…どこまで遡るかはあれなんですけど、自分の記憶レベルではそれこそDAME 1 / Harden vol.1 まで遡ることができると思います。
特にHardenシリーズにおいてシューレースは粗フォローレベルで、フィットの大半をインナー・アッパーで粗完結できることを目指していた様に見えます。
そこに”ニット素材の転用”という要素が加わってきます。
ここでも別々のアプローチで、Nikeは強度と軽量・フレキシビリティ、adidasは上記も見つつ”伸縮性”にも着目しました。
この結果、adidasはソックスライクを更に加速させることで、完全なシューレースレスへ発展することに成功し、それによって生まれたのがこのN3XT L3V3Lになります。
にしても本当にすごいですよね。夢がありますよ。
コートについて足を入れるだけですぐにプレイが出来る状態になる。
数多あるシューレースが結びづらいシューズ・フィット感を均一にできない課題が一気に解決してしまうわけです。最高じゃないですか。
…まぁただ、皆様ご存知の通り、2024現在ラインナップがシューレースレスで占拠されている世界線では全く無く、いまだにシューレースは残り続けている訳で。
まぁ、一筋縄では行かないわけですよね。
でもその技術は今も確実に生かされている訳で、Harden Vol.7 / 8等のフルスリーブモデルはこの系譜上にあるかと。
話を戻しまして、完全シューレースレスモデル。
(そして、その最後のモデル)
しっかりとメリット・デメリット見ていってみようと思います。
今回チョイスしたカラーはホワイトにオレンジのラインが見えるモデル。
シューレースがないのでスタイリッシュに見えるんですよねー。
■ディティール
ではまず外観から…の前に、すみません先に誤っておきます。
興奮のあまり写真を撮る前に着用を開始してしまった関係で既に汚い状態となっております。
お見苦しい写真で本当に申し訳ございません…。
それでは気を取り直して。
外観から見ると”もはやソックス”意外の感想が出てこないです。
それか、アウトソールだけが見えている状態なので、”地下足袋かな?”という感想が…。
Futurenaturalの表記が示す通り、皆様もすでにご存知の通り、このシューズはインサートモデル。
故にミッドソール周りが露出していないことから更に靴下感がまして見える結果に。
ただ、これ以前のモデルに関してもできる限りミッドソールの存在を主張せずにソックスライクなルックスを作ってくれていました。
ソックス上端の関係でハイカットに見えますが、実質的にはロー・ミッドななサポート。
Primeknitで作られたワンピースアッパーで、トゥボックス部分はナイロンメッシュなシースルーな素材。
うっすら透けるネオンオレンジのラインがワンポイントで良いアクセントに。
シースルーを通して見るので、どぎつくもなく、良い色に調整されているなと。
ヒール周りも至ってシンプル。
マイナスデザイン、大好物です。
ヒールタブとタンのタブが少しギザギザしてて可愛い。
■フィット
では早速堪能させてもらいます。
いやー、楽です。足をいれる、それだけ。
足をいれるだけで足の周囲のスペースがうまく殺され、しかも剛性感もしっかり感じられる仕上り、これ本当に凄いです。
これを成しているのは、ニットによる伸縮性・各所に適切に配置されたパッド・うっすら透けて見えているオレンジのバンドの3つの要素。
兎にも角にもニット(Primeknit)の存在。
それこそ本当にソックスライクで、足を入れればその伸縮性から適度な密着感を提供してくれます。
…ただ、多分これが一番難しいかもしれません。
それこそ靴下程安易に広がってしまうと、縦横無尽に動くバスケットボールという競技に於いてはサポート不足になることが容易に想像出来ます。
この為、伸び方向に対してかなりの強度を持たせつつ、初期状態も少しタイト目にセットしているような状態。
また、履き口付近にフィットを増せるように太め・強めのラバーバンド付き。故に足入れは結構大変です。
突っ込んでぐいっとやれば入ります。入りますが、大半の人は「キツイ…or足入らない…」という状況にもなり得る状況。
特に足幅の広い方・甲の高い人は選択肢に上げることすら出来なかったと思います。
ラストとしては極自然な感じ。
縦・高さともにちょうど良い、横幅だけは少し広め。
基本的にはマイサイズを基本としていただいて問題ないと思います。
まずは足を入れられるか、そこからです。
足が入ってしまえばもう快適の一言。オレンジのバンドがとても良い仕事しています。
広がり方向に絶妙に丁度よいテンションを掛けてくれ、切り返しやジャブステップでも遅れること無く着いてきてくれます。
レスポンスという面だけでいうと、同じコンセプトのHarden Vol.5の硬いアッパーの方がダイレクトな感じですが、これでも十分な反応を示してくれます。
唯一の欠点というか、構造的にどうしてもラバーバンドだけでロックダウンを掛けている状況から上方向からの抑え込みに対して若干の逃げがあります。
特に”脚”では無く”足”でプレイされる方には少し物足りなさを感じるかと。
ヒールパッドはこちらもHardenと同じく肉球的な複数パッド配置。
きのせいか、Hardenよりも少し高めに設置されている様に感じます。
Harden Vol.5ではヒールを抑え込むには少し低かったので、これは嬉しい誤算。
抜け方向だけ注意点ありますが、フォローの高さがミッドカットレベルにあり、Harden Vol.5よりこちらの方が総合的にフィットが良いモデルと評したいです。
■ソールフィール
続いてソールフィール。
…なんですが、これに関してはすでにHarden Vol.5で評価済み。
且つ、パフォーマンスが良いのは実証済みなので、なんの不安もなく踏んでいけま。
Futurenaturalたる所以のこのインサートフォーム。
Lightstrikeフォームをベースに、1枚Boostフォームを敷き詰めた構造。
通常構造のミッドソールとして単体で踏むといずれもソフト寄りの特性なんですが、インサート化しつつアウトソールでケージされることで広がりが抑制されレスポンスとして返ってきます。
また、さらに柔らかいBoostフォームもLightstrikeのバスタブでケージされていることでこちらもレスポンシブな仕上り。
これらの組み合わせによりadidasの中では随一のレスポンシブなミッドソールと呼べると思います。本当に快適。
アウトソールはHarden Vol.5と同じ…と思ったら全然違うんですねw
Harden Vol.5の方は大きくうねったウェブパターンだったのに対して、このシューズではうねりが控えめのウェブパターン。
…あれ、グリップ力はこちらの方が高いぞ…?
Harden Vol.5のそれよりも粘ってくれる感触。
おそらくカラー(混合比)の違いと、こちらの方が各パターンの間隔が狭いことで接地面積に差が出ているものかと。
これなら安心して踏んでいけます。
■重量
最後に重量。
26.0㎝で458.5g。
あ…れ?Hardenより軽いぞ…。
(25cm /457g ※同サイズ比にすると軽くなってしまう…)
■Over All
ということで、以下に評価してみようと思います。
フィット … 9/10
グリップ … 9/10
ベンチレーション … 7/10
クッション … 8/10
コスパ … 8/10
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ALL … 41/50
人によって評価難しいポイントはあろうかと思いますが、個人的にはHarden Vol.5の上位互換の様に映っています。
特にフィット面に大きな癖のあったHarden Vol.5より足への密着感が強く、ヒールの引っ掛かりの弱点がミッドカット化したことで影を潜める事が出来ているのは大きなメリット。
反面、Hardenではシューレースによるロックダウンが有り、足を下方向に抑えつける力を作れるので、どちらを取りますか?となりそうです。
あとは単純に足が入るか問題…。
フィットするのであれば、Hardenだろうがこのモデルだろうが、ソール周りは抜群なので、買って損のなかったモデルと呼べると思います。
市場的に基本的にフレックスなソールが多く、またニーズが高いのも重々承知ですが、一度こういったハードなソールを体感してみると違う世界が見えてくるかもしれません。
もし見かける機会があれば、ぜひ一度足入れしてみてください。